【連載】「若者VOICE vol.11:バンタン卒/ハプニング所属デザイナー」枠にとらわれず、狂ったようにやれ!

ファッションをテーマに活動している若者のリアルや、同世代へのメッセージを届ける連載企画「若者VOICE」。第11回目となる今回は、2年前からフリーで活動中のヴァネッサさんに、バンタンに入った経緯や在学中の経験、今後の展望について聞いた。

 

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【連載】「若者VOICE:vol.11バンタン卒/ハプニング所属デザイナー」枠にとらわれず、狂ったようにやれ!

Profile: 石居・ヴァネッサ・ナオミ( @_vane0328_ )
2年前にバンタンデザイン研究所を卒業。在学中はバンタンカッティングエッジという、学内最大の大会で2連覇を果たした。現在はファッションチーム「The HAPPENING(ハプニング)」に所属する傍らフリーで活動中。デザイナーという枠もファッションという枠も超えて他を圧倒する作品を作っていくのが目標。

 

ヴァネッサさんの作品(本人インスタグラムより)

 

―現在ファッションの世界でフリーで活動中のヴァネッサさんですが、ファッションの道に進む最初のきっかけは何だったのでしょうか?

ヴァネッサ:バンタンへ入学したことがきっかけだったのですが、もともとは、ファッションの道に進もうとは考えてもいませんでした。高校生までの夢はファッションとは全然関係なくて、絵本作家になることだったんです。それで、高校三年生の頃、あちこちの絵本の専門学校へ体験入学に行ったりしていました。でも実際に体験してみると、ずっと机で小さな絵を描いているだけだったので、「これ家でもできるな」って思えてしまって(笑)想像してた以上に楽しめなかったんです。そんなときに親からファッションの学校に体験入学でも行ってみたら?と勧められて、バンタンに行ってみたんです(笑)最初はそのくらいの軽い気持ちでした。

 

―そうなんですね(笑)バンタンへの進学の決め手はどんなところにあったのでしょう?

ヴァネッサ:その体験入学というのが、一日だけじゃなく3日間連続のプログラムだったんです。課題もあって、グループでテーマを決めてスタイリング、撮影、プレゼンテーションをやるというものだったんですが、たまたま親の勧めで参加したにもかかわらずその3日間は毎日徹夜するくらい夢中になっていました。そこで初めて自分がファッションに関わることが好きなんだと気が付いて、その時はまだ何になりたいとかは決まっていませんでしたが、バンタンのスタイリスト学科に進学しました。

 

―家族の何気ない提案がなかったら今とは全く違った道に進んでいたかもしれないと思うと不思議ですね。しかも入学後は学校の大きな大会で2度も優勝されていると聞きました。

ヴァネッサ:バンタンカッティングエッジという全学年・全学部生で行う大会があるんですが、その大会で1年生の時と2年生の時に優勝することができました。1年生の時は出る基準が厳しくて、応募資格があるのは100人の中で、成績が良かった上位20人だけ。そんな中、私は、ギリギリ20位でなんとか、大会に出場することができるという状態でした。でも、サポートしてくれるスタッフさんと「優勝目指そう!」って約束して、ブラッシュアップを何度も何度も重ねて最終的に優勝することができました。その次の年も岡本太郎の有名な言葉をそのままテーマにした『芸術は爆発だ!』という作品で2度目の優勝を手に入れました。

 

2013年最優秀グランプリ受賞作品『tripman』
出典:http://annex.transtyle.jp/news/1093

RUNWAY WAVE部門グランプリ.jpg

2014年最優秀グランプリ受賞作品『芸術は爆発だ!』
出典:https://www.vantan.com/topics/blog/detail/1502.php

 

―1年生で優勝、しかも20位からというのは驚きです。それでも確かに、どちらの作品にもかなりパワフルな独創性がありますね。

ヴァネッサ:私はもともとはファッションよりもアートにすごく興味があったので、そういうところが洋服という枠を超えた作品作りに影響している気がします。もちろん評価してくれる人もたくさんいますが、反対に「こんなのファッションじゃない。自分の好きなことだけやるのはどうなの?」とか「派手なだけじゃん」といったことを言われることも多く、いつも悔しい思いをしていました。しかし、自分の好きなことをこんなに自由にできるのは学生のうちだけなんじゃないかなという考えを常に持ち続けていました。言われたとおりにやるのはいくらでもやる機会があるけど、こんなに自由な作品作りができるのは今しかできない、そう思っていたので、アドバイスも聞くことはあるけれど、自分の好きな表現をやることに徹していました。

 

―批判を受けることがあっても自分のやり方を貫くというのは、すごく精神力のいることだと思いますが、何を糧にして学生生活を送っていたのでしょうか?

ヴァネッサ:バンタンでの日々は正直楽しかったことよりも苦しかったことの方が多くて、泣いてばかりの毎日でしたが、そんな時に励みになったのがバンタンの入学式で山本寛斎さんがおっしゃっていた「狂ったようにやれ」という言葉でした。山本寛斎さんのことはそれまで知らなくて、入学式で初めて知ったんですが、その言葉を聞いて「なんだこの人は、すごい!!」って感動して、在学中はその言葉を時々思い出し、自らを鼓舞していました。あとは、本屋でたまたま見つけた岡本太郎さんの『自分の中に毒をもて』という本にも勇気をもらっていました。「人と反対のことをやれ」といったことが書かれているんですが、人から何を言われても逆のことをやっちゃうみたいな、ダメだって思われても自分がこうだって信じたことをやるという感じに共感し、毎日のように読んでいました。

 

―山本寛斎さんや岡本太郎さんは実際に批判と戦い逆境を乗り越えてきた人だからこそ言葉に重みがありますね。現在フリーで活動中ということですが、在学中とはまた違った苦しみがあるのでしょうか?

ヴァネッサ:卒業して個人での活動を始めて2年目になりますが、楽しめるようになってきたのはつい最近でそれまでは不安だらけでした。私はこう見えても小心者で結構周りのこととか気にしちゃうんです(笑)友人たちは会社に入っていたり、スタイリストのアシスタントをしている中で私はフリーでやっていて、しかもまだ仕事をもらえるほどでもなくて、本当に不安でした。これから先どうしようとか、どうやったら仕事がもらえるんだろうとか、分からないことばっかりで。とりあえずバイトをしたり、作品撮りをしたりしていましたが、肝心の作品撮りも停滞期で、いまいちだなって思ってしまって、本当に毎日悩んでいました。そんな時に声をかけていただいたのが今所属しているファッションチーム「The HAPPENING(ハプニング)」でした。

 

―ハプニングではどんな活動をしているのでしょうか?

ヴァネッサ:ハプニングのことはホームページを見ていただいた方が伝わるかもしれません。前衛的なデザイナー達でチームを組んで、原宿のラフォーレ前でゲリラショーをやったりとか、そんな活動をしています。

 

―声がかかったのはいつごろどんな理由だったのでしょう?

ヴァネッサ:去年の10月あたりです。在学中に原宿の「Dog(ドッグ)」という古着屋で個展をやったことがあったんですが、その縁で、お店にあった古い打掛(うちかけ)のリメイクを頼まれたんですね。ダクトと組み合わせたデザインで作ったんですが、それがハプニングのメンバーの目に止まったことがきっかけでした。

 

打掛(着物の一種)をリメイクした作品

 

―積極的に行動を続けたからこそ、そういったチャンスがやってくるのですね。実はドッグで個展をした際には山本寛斎さんにも招待状を出したんですよね?それがきっかけで現在も交流があると伺いました。

ヴァネッサ:そうですね。実際は寛斎さんにはスケジュール等の関係で来ていただくことは出来ませんでしたが、その招待状がきっかけとなって、寛斎さんのもとでインターンをさせて頂いたり、今後の活動のアドバイスをもらったり、とてもお世話になっています。私はスタイリストでもなくきっちりとデザイナーというわけでもなく、どのジャンルにも属さないやり方をしているので、「あなた自身が目立ちなさい。外を歩いている人をお客さんだと思って、自分でデザインした服を着て毎日ファッションショーをしなさい。」と言われています。なので最近は早起きをして少しずつ自分が身に付けるアクセサリーを作り始めています。それから「バイトでもなんでも自分が進みたい方向へ時間を費やした方がいい。」ということも言われたので、今後はアパレル関係のアルバイトもしていく予定です。今の時代って、ショップの販売員で原宿とかを歩いていて、スナップされてインスタで話題になって…ということも多いですよね。なのでこれからはアパレルバイトをして毎日原宿や渋谷を練り歩こうかなって考えています。そんな風にこれからは自分自身をモデルとして表現していきます。これまでの活動からガラッと変わるんじゃないかなと思います。

 

―すごくスケール感がありますね。聞いていてとてもワクワクします。そんなヴァネッサさんの目標を教えてください。

ヴァネッサ:エンターテイメントを通じてファッションとアートが融合する”舞台”を作るのが目標です。『芸術は爆発だ!』という作品のファッションショーで、その様子を自分で見た時に何かつまらないなと思ったんです。例えばここに生演奏があったり、ステージがもっと派手だったりしたらどれだけ面白いんだろうなと思えてきて。その時にエンターテイメントをやりたいっていう目標ができたんですね。撮影している時も正直物足りなくて、ファッションだけじゃなく、いろんなものを融合させて誰も見たことがないようなものをやりたいなと。そうやって考えた時に自分がやりたいことに一番近いのは寛斎さんのショーでした。だからこそ寛斎さんにアプローチしたという経緯があります。普通だったらこういう話をすると「それほんとにできるの?」と否定的なことを言われてしまうけれど、寛斎さんのそばにいると、「夢って叶うんだな」って思います。困難なことも多いと思いますが頑張っていきたいです。

 

―では最後に同世代の若者に向けてメッセージをお願いします。

ヴァネッサ:枠にとらわれないことが大切だと思います。枠を決めつけてしまわずにいろんなものに触れることで、その枠の中だけでは出来なかったようなより面白いことができると思っています。例えば自分はファッションに関わっているから音楽には興味がないなど、そういう線引きみたいなものを自分の知らないうちに引いているのではないでしょうか。でも自分が知らないだけで、面白いものって外の世界にも沢山あるはずなので、いろんなことに積極的に関心を持ってほしいと思っています。

 

―ありがとうございました。

 

Photo:S.Takano (READY TO FASHION inc.)
Text:Miyu.H (READY TO FASHION MAG 編集部)
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