アパレルやインテリアの印象を大きく左右する「生地(テキスタイル)」。そのデザインやクオリティをゼロからつくり上げるプロフェッショナルが「テキスタイルデザイナー」です

「ファッションに関わるクリエイティブな仕事がしたい」

「モノづくりの根幹に携わりたい」

と考えている方に向けて、具体的な仕事内容から求められるスキル、気になる年収、未経験から目指すルートまでを分かりやすく解説します。

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テキスタイルデザイナーとは?

テキスタイルデザイナーとは?

テキスタイルデザイナーとは、洋服やバッグなどのファッションアイテムをはじめ、カーテン、壁紙、カーペットといったインテリアに使われる「生地(織物やプリント柄)」を企画・設計・デザインする職種です

魅力的な見た目(デザインや配色)をつくるだけでなく、手触り、軽さ、耐久性、コストといった「機能性と商業性」までをトータルで設計するため、デザインセンスと専門的な技術の両方が求められる技術職でもあります

ファッション業界における「テキスタイルデザイナー」の重要性と役割

ファッション業界において、テキスタイルデザイナーは「ブランドのクオリティと世界観を、素材から定義する仕掛け人」です。

どれほど優れたファッションデザイナーが美しいシルエットの服をデザインしても、それを表現する生地の質感が合っていなければ、イメージ通りの1着には仕上がりません。衣服のドレープや発色、着心地のすべては生地によって決まるため、アパレル製品の完成度の「7割」は素材にかかっているとも言われています。

テキスタイルデザイナーは、衣服になる前の糸の段階からデザインを始めます。コットン、ウール、シルクなどの天然繊維から、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維まで、異なる特性を持つ繊維をどう組み合わせれば理想の服地になるかを科学的・感覚的にアプローチする、服づくりの根幹を支える存在です

ファッションデザイナーとの決定的な違い

  • ファッションデザイナー: 「服の形(立体的なシルエット、カッティング、ポケットやボタンなどの仕様)」をデザインする職種
  • テキスタイルデザイナー: 「服になる前の素材(平面の生地そのものの構造、柄、風合い)」をデザインする職種

ファッションデザイナーが描いたイメージをもとに、最適な生地をゼロから提案したり、糸の選定から共同でオリジナル開発したりすることも多く、お互いの専門性をぶつけ合いながらひとつのコレクションをつくり上げていきます。

活躍の舞台

アパレルメーカーや独立したデザイン事務所はもちろんのこと、糸を紡ぐ繊維メーカー、生地を流通させる素材問屋、伝統的な織物・染色工場、インテリアメーカーなど、布地を扱うさまざまな企業で活躍の場があります

テキスタイルデザイナーの仕事内容と具体的な流れ

テキスタイルデザイナーとは

テキスタイルデザイナーの業務は、机の上で図案を描くだけではありません。企画から実際の生産ラインまで、モノづくりの全工程に深く関わります

1. デザイン・図案の作成

ブランドのコンセプトや、マーチャンダイザーが分析したトレンドの配色・仕向け地をもとに、生地のデザインを考案します。

  • 織物: 糸の種類や太さ、織り方を組み合わせて独特の風合いをつくります。
  • プリント柄: 花柄や幾何学模様などの図案を描き、柄の配置や色の組み合わせを決定します。

2. 素材(糸)や仕入先の選定

デザインが固まったら、理想の生地を実現するために最適な糸を選びます。コストや納期を意識しながら、世界中の糸問屋や、国内の優秀なテキスタイル産地と交渉・選定を行います。

3. サンプルの作成と職人への指示

選定した工場(へ仕様書を送り、試作を依頼します。 テキスタイルデザイナー自身が現場の工場へ足を運ぶことも多く、職人さんと直接相談しながら「糸の染まり具合」や「織りの立体感」を細かくチェックし、理想の色や質感が出るまで修正指示を重ねます。

4. 量産・品質の管理

サンプルが完成し、本生産(が決まった後は、スケジュール通りに進行しているか、品質にブレがないかを管理します。企業の生産管理とも緊密に連携を取りながら、製品が店頭に並ぶまで責任を持ちます。

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テキスタイルデザイナーの年収・給料の目安

テキスタイルデザイナーを目指す上で、どのくらいの収入を得られるのかは大切なポイントです。

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、テキスタイルデザイナーが属する分類の全国平均年収は 539.6万円となっています。アパレル業界の専門職のなかでも、技術が評価されるため安定した水準です。

経験年数による給料のステップアップ

最初はアシスタントからスタートすることが多いため初任給は低めですが、経験を積むごとに大きく給料が伸びていくのがこの職種の特徴です

  • 実務経験 0〜4年(スタート期): 月給の目安 約28万円 まずは先輩のサポートをしながら、素材や仕様書の書き方を覚える時期です
  • 実務経験 5〜9年(一人前期): 月給の目安 約36.6万円 1人で工場や機屋(はたや)さんと交渉し、オリジナル生地を任されるようになります
  • 経験15年以上・ディレクター: 平均年収 640万円以上 年齢別データでも50代後半で「646.85万円」と最高額に達しており、ベテランの手腕が高く評価されています

独立・フリーランスという選択肢も

テキスタイルデザイナーの就業形態は、実は全体の「61.1%」が自営・フリーランスというデータも出ています。 業界内で名前が知られるようになれば、複数の大手アパレルブランドと業務委託契約を結んだり、自身のスタジオを立ち上げたりすることで、年収700万〜1,000万円以上の大きなステップアップを狙うことも十分に可能です。

参考:テキスタイルデザイナー – 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)

日本・世界で活躍する有名なテキスタイルデザイナー

テキスタイルデザインの世界には、生地ひとつでブランドの価値を何倍にも高めたレジェンドや、世界中にファンを持つ日本人デザイナーが数多く存在します。彼らの実績やアプローチを知ることは、専門性を深める第一歩です。

野口 真彩子(のぐち まさこ)氏 | NOMA t.d.

デザイナーの佐々木拓真氏とともにファッションブランド「NOMA t.d.(ノーマティーディー)」を手掛けるテキスタイルデザイナー。 彼女の最大の武器は、ハンドドローイング(手描き)の持ち味を活かした唯一無二のオリジナルテキスタイルです。 その圧倒的なクオリティとコンテンポラリーなアート性は、世界的なストリートブランド「STÜSSY(ステューシー)」とのカプセルコレクション(2022年)や、NIKE(ナイキ)を加えたトリプルコラボスニーカー「Vandal(バンダル)」(2023年)などにも起用され、国内外のストリート・モードシーンで今最も熱い注目を集めています。

玉木 新雌(たまき にいめ)

兵庫県西脇市の伝統産業である「播州織(ばんしゅうおり)」に新たな息吹を吹き込んだデザイナー。ヴィンテージの織機を自ら操り、糸の1本1本にまでこだわった、空気のように軽くて柔らかいショールやウェアは国内外で高く評価されています。産地とデザインが直結した、現代の理想的なテキスタイルモノづくりの形を示しています。

皆川 明(みながわ あきら)氏

ファッションブランド「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」の設立者。時の経過とともに愛着が増すような、オリジナルのテキスタイルを軸とした服づくりを展開しています。織りや刺しゅう、プリントなど、日本の職人の卓越した技術を最大限に活かしたデザインは、衣服に留まらずインテリアの分野でも世界中を魅了し続けています。

Marimekko(マリメッコ)と北欧の巨匠たち

フィンランド発の「Marimekko(マリメッコ)」は、テキスタイルデザインの力を世界に知らしめた代表格です。マイヤ・イソラ氏ら名作デザイナーたちが生み出した「Unikko(ウニッコ/ケシの花)」に代表される大胆な構図と鮮やかな色彩のプリント地は、洋服としてはもちろん、カーテンやクッションカバーなどのインテリアデザインとしても確固たる地位を築いており、世界中で愛され続けています。

テキスタイルデザイナーに求められるスキルと素質

仕事

企画から生産までを一貫して行うテキスタイルデザイナーはセンスや色彩感覚からコストの感覚、コミュニケーション能力など、各方面にバランスの取れた能力が必要です。

IllustratorやPhotoshopなどのグラフィックソフトのスキル

テキスタイルデザイナーがプリント柄や織物などの柄を作成するには「Adobe Illustrator」「Adobe Photoshop」を使用する事が多く、テキスタイルデザイナーなら必須ソフトといえるでしょう。使いこなせると即戦力として見てもらえることも多いスキルです。

創意工夫できるセンス

テキスタイルデザイナーは今まで世にない柄を考案して商品化していくため、数ある手法や工程から創意工夫し、流行に合った配色や模様を生み出すセンスが必要です。生まれ持った感覚もテキスタイルデザイナーには必要ですが、たくさんのものを吸収し、経験を積みながら自分の引き出しを増やしていくことで創意工夫に繋がります。

ゆたかな色彩感覚

テキスタイルをデザインするという面で色彩感覚は必要ですが、サンプルや量産のチェックでは指示した色通りにできているのかどうかなど、色の確認もテキスタイルデザイナーは行います。質感や発色の微妙な差異で仕上がりが変わるため、色の微々たる違いにも対応できる色彩感覚がテキスタイルデザイナーには必要です。

コミュニケーション能力

どのような職場に身を置くかにより、関わる人が異なりますが、企画から生産まで一貫して行うテキスタイルデザイナーはたくさんの人との関わりを持ちます。その関わりの中で相手の意図を理解し、コストを意識しながら商品化に繋げていきます。

未経験や独学からテキスタイルデザイナーになるには?

結論から言うと、テキスタイルデザイナーは非常に専門性が高いため、「完全な未経験・独学」から一足飛びにプロになるのは、アパレル業界のなかでも比較的ハードルが高いとされています。しかし、アプローチ次第で道は必ず開けます。

一般的な王道ルート

まずは、テキスタイルデザインや色彩、染織、服飾を専門的に学べる大学の芸術・工芸学科や、美術大学、ファッション系の専門学校を卒業し、新卒で繊維メーカーやアパレルメーカーに就職するのが一般的です。在学中に「衣料管理士(TA/テキスタイルアドバイザー)」や「色彩検定(AFT)」などの資格を取得しておくと、知識の証明になり就職活動で有利に働きます

未経験や独学からのチャレンジルート

学校に通っていない場合でも、以下のステップを踏むことでチャンスを掴むことができます。

  1. デジタルスキルの徹底習得:IllustratorとPhotoshopを使いこなし、テキスタイルに特化した図案や柄パターンの作成方法を独学でマスターします。
  2. ポートフォリオ(作品集)の作成:自分がデザインした柄のデータ、実際の生地へのプリント見本、服やインテリアに落とし込んだ際の見え方のシミュレーションなどを1冊の作品集にまとめます。
  3. アシスタント求人や産地(機屋・工場)の求人を狙う:まずは東京や大阪などの都市部で行われる「デザイナーアシスタント」の募集や、在宅・業務委託で図案を起こすテキスタイル塾などの門を叩きます。また、日本の伝統的なテキスタイル産地(機屋や染色工場)へ飛び込み、現場の職人として働きながら生地の構造を身体で覚え、デザイナーへとキャリアアップしていく泥臭くも確実なルートもあります。

すでにグラフィックデザイナーやファッションデザイナーとして実務経験がある人の場合は、その実績を武器にテキスタイル部門へ転職・転身するケースも珍しくありません

テキスタイルデザイナーになるためのキャリアプラン

採用条件

テキスタイルデザイナーの求人は、決して数が多くなく、業界内では「狭き門」と言われることもあります。しかし、サステナビリティ(環境配慮型の新素材)への関心や、他社ブランドとの差別化を図るために「完全オリジナルの生地」を求めるアパレル企業は増えており、優秀なテキスタイルデザイナーの価値はこれまで以上に高まっています

最初は先輩デザイナーの指示のもと、データの修正や仕様書の作成といったアシスタント業務からスタートし、徐々に自分のデザインした生地を任されるようになっていくのが一般的なキャリアプランです

自分がデザインした生地が1反(長尺の布)になり、やがて綺麗な洋服やインテリアになって、街中で多くの人に使われているのを目にしたときの感動は、この職種だからこそ味わえる最大のやりがいです

もしテキスタイルデザイナーの仕事に興味が湧いた方は、まずはREADY TO FASHIONで関連する求人や、アシスタントの募集がないかチェックしてみてはいかがでしょうか。あなたのクリエイティビティを刺激する、素敵なモノづくりの世界が待っています。

テキスタイルデザイナーの求人一覧

テキスタイルデザイナーは狭き門ですが、自分がデザインしたテキスタイルが世に出たときはとても嬉しい気持ちになるやりがいのある仕事です。

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【参考文献】
「ファッション辞典(第4版)」(大沼淳、萩村昭典、深井晃子 監修、文化出版局、1999)
「増補新版 図解服飾用語辞典」(杉野芳子 編著、ブティック社、2003)
「1秒でわかる!アパレル業界ハンドブック」(佐山周、大枝一郎、東洋経済新報社、2011)
「ファッション業界大研究[第2版]」(ファッション&ソフトマーケティング研究会 編著、産学社、2019)
「ファッション業界大研究【改訂版】」(オフィスウーノ 編、産学社、2008)
「アパレル素材企画 プロフェッショナルガイド」(野末和志、繊研新聞社、2019)
「役に立つアパレル業界の教科書」(久保茂樹、文芸社、2016)


READY TO FASHION MAG 編集部

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