【連載|関西アイズvol.1】「大阪大学×倉敷帆布のバッグブランド、9Rcotton」  良いものは守るべき。阪大生が伝統産業にイノベーションを起こす?!

 

関西を中心に、ファッションをテーマに活動を行う若者の魅力や思いを伝える新連載。記念すべき第1回目の今回は、大阪大学経済学部のゼミ活動で倉敷帆布とのコラボバッグブランドを企画・運営する3人の学生に、彼らの活動や伝統産業に対する思い、そして将来について話を聞いた。


profile:(写真左より)

碓井栄太郎 大阪大学経済学部4回生 

植田壮大郎 同学部3回生

渡部稜 同学部3回生

 

ーーまず初めに、9Rcotton(キューアールコットン)について教えていただけますか。

渡部:はい。9Rcottonは、昭和8年から日本の帆布(*1)業界を牽引してきた、岡山県・倉敷市にある伝統企業・丸進工業さんのブランド「倉敷帆布」と、僕たち大阪大学経済学部中川ゼミのコラボブランドです。

丸進工業さんは、化学繊維の発展が止まない現代で、「シャトル織機」(*2)という今ではあまり使われなくなってしまった由緒ある機械を使いながら、日本伝統の技術を受け継いできました。彼らにしか出せない味わいは世界でも認められていて、帆布のプロダクツを愛用する人は世界中で増えています。帆布のシェアは、国内3%、海外97%というデータもあるほど海外での人気が高いです。さらにその国内のシェアのうちの70%を倉敷帆布さんが占めています。

そして「9Rcotton」という名前には、「9号帆布とリング糸(*3)を使いここにしかない技術で作り上げた本物」という意味があります。ちなみに何故9号かというと、強度と軽さを持ち合わせているからです。僕たちの作っているバッグは一応若者のメンズ向けなんですが、持ち運びやすいということや、使い回しを考えた上でもこの9号が最適だと考えました。

 

*1.帆布…元々は帆船の帆に使われていたことからその名が付いた、綿や麻などで織られる厚手の布のこと。キャンバスとも言う。体育のマットや跳び箱、学生鞄、すもうのまわしなどに使われてきた。

*2.シャトル織機…旧式力織機とも呼ばれる。この織機で織られたセルビッチデニムも有名。 製造メーカーが既にない、今ではとても貴重な織機。

*3.9号帆布…昔のJIS規格による、帆布の号数。1〜11号まであり、号数が低いほど分厚くなる。リング糸…強度が高い糸。

 

9Rcotton HP:https://kurashikihandai201.wixsite.com/9rcotton-home

9Rcotton Instagram:https://www.instagram.com/9rcotton/

倉敷帆布公式HP:https://store.kurashikihampu.co.jp

 

 

ーー大阪大学と倉敷帆布。このコラボが生まれた理由を聞かせてください。

植田:僕たちは大阪大学経済学部の中川ゼミに属していて、毎年企業とコラボして経営戦略やイノベーションについて学んでいます。僕らのゼミの昔の先輩が倉敷帆布さんとインターンで繋がりを持っていて、コラボが始まりました。今回で倉敷帆布さんとのコラボは4期目になるのですが、バッグを共同制作し始めたのは去年で、9Rcottonというブランドは今年で2年目になります。マグロの監視システム、AIなどプロジェクトチームによって研究内容は様々ですが、掛け算思考、デザイン思考などを学びながらインプットをしつつ、活動を通してアウトプットしていくという感じです。

 

碓井:まずは僕らがアイテムのデザインをして、それから倉敷帆布の方と会議を重ね一緒に製品を形にする。その後のHP・インスタなどのプロモーションの企画なども僕らが考えてやっていく、というような流れでこのプロジェクトを進めました。

 

 

 

ーー日本の伝統産業を活かし、守っていくことに対して、どのような思いを持って活動していらっしゃるんでしょうか?

渡部:昨今の日本のアパレルのサプライチェーンの問題の中で、倉敷帆布さんのような昔ながらの日本の伝統技術を用いたプロダクツを作っている企業さんは、商社に商品を卸すというような従来のやり方でなく、自分たちでアイテムを作りファクトリーブランドとして生き残っていくというのが今の流れだと思います。でも、そういうファクトリーブランドって一般の方達からするとまだまだ馴染みがないので、僕らはそれを広めるお手伝いができたらいいと思っています。何もその企業に勤めてという立場ではなく、自分たち若者の意見や経験を活かして、多くの人に広め、買ってもらい、工場を元気にしていくことが目標ですね。

 

植田:以前に岡山の工場に行かせてもらったことがあるんですが、置いてある機械すべてがヴィンテージみたいな環境で、貴重な職人技を用いて、実際にめちゃくちゃいいもの作ってるんですよ。伝統産業って言っても、淘汰されるものもあるだろうけど、やっぱりその中でも良いものは守っていくべきだと思います。そのためには、年配の方じゃなくて僕たち若者の視点で発信できたら、もっと多くの人が知ってくれるんじゃないかな、という思いでやってますね。

 

 

ーーみなさん、3回生、4回生ということで、将来を考える時期に来ていると思います。これからの進路についてお聞かせください。

植田:僕は服が好きで、大阪大学でFtoSという服飾団体も運営しています。進路としては、やっぱりアパレル業界に興味がありますね。でも、具体的にこれがしたいとかこれを変えたいとか明確になくて。だけどもし将来自分がやりたいことができた時に出来るような人間になるために、成長したい。そのためアパレルも含めたベンチャー系を視野に入れています。

進路については悩んでるんですけど、世界にもっとカッコイイ服を溢れさせたい、という想いはあります。毎日着る、なくてはならないものだし、せっかくだったら洋服がもっと人の生活を豊かにするコンテンツであればいいなと思います。

そのためにはかっこいい服を作る才能のあるデザイナーは支援した方がいいし、そういうデザイナーが増えるためには、服にこだわるきっかけを作って、服を買って楽しむ循環を、もっと多くの人を巻き込んで作っていかないと、アパレル業界全体が良くならない気がします。

もしかしたらやりたいことは決まってるのかもしれません。(笑) 

関連記事:

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渡部:ゼミの活動では広く言えばファッションに関わることをやっていますが、自分自身特にファッション業界で働きたいという思いは特にある訳ではないです。人に応えたい性格なので、コンサルティングがやりたいですね。僕自身大阪で生まれ育って地方に行ったことがなくて、今回のコラボで初めて岡山に行って、地方ならではの魅力に刺激を受けました。それがきっかけで、コンサルの内容も例えば地方創生とか、官と民を繋ぐような職業につけたらいいなと考えるようになりました。

 

碓井:僕もこれから就活に入るんですけど、特にアパレル業界で働くことについては考えてないです。今から自分に合う業界を見つけていこうかなって感じですね。

 

 

 

ーー今回は関西の連載ということで、関西の若者・ファッション、または最近のファッション業界について思うところはありますか?

植田:関西というくくりでの若者やファッションの違いは特に意識していませんし、あまり感じないです。あるとすれば、ファッションブランドやデザイナーさんなど作り手の数や、例えばアマゾンファッションウィークなど、オシャレして出掛けられる場の数がやっぱり関東、特に東京は多いとうことくらいでしょうか。

デザイナーさんが地方でものづくりをされている例もあるみたいですし、何しろこの情報化社会なので、ファッションについての情報格差は無いと思いますね。

渡部:僕も、それこそITの進化のおかげで、関西と関東の地域性の違いは感じないですね。それに最近は日本だけではなくどの国も比較的裕福になってきて、ファストファッション離れも起こっていると聞きます。衣食住としての服ではなく、ファッションとしての服を楽しめる人たちが世界的にも増えてきて、言ってしまえばお国柄すらなくなっていくのかな、と思います。ただ、関東・関西の地域差があれば面白いな、とは思いますけどね。

 

碓井:普段から関西と関東の違いを意識することはないですが、僕は漠然と東京の若者の方がオシャレ、という意識はありますね。あとは、父親がアパレル企業を経営していて、業界全体が厳しいという話をよく聞きます。若い人がファッションに対してお金を使わないとか。気持ちはわかるんですが、やっぱりどうにかしてそれを改善させるべきだなというのはありますね。

 

ーーありがとうございました。

 

 

 

普段なら知らなかった、または気に留めなかった伝統産業でも、身近な大学生という存在がこうして若者向けにアップデートして発信することで、より多くの人の興味を惹く。「クールジャパン」が叫ばれて久しい昨今だが、来年に迫った東京オリンピックも相まって、日本の良さを海外にどう広めるかに更に注目が集まっていると感じる。9Rcottonのように、まずは日本の若い世代に伝統産業の良さを知ってもらい巻き込んでいくというのは、ひとつの解決策になりうるのではないだろうか。


text: Akane Yamazaki(READY TO FASHION MAG編集部)

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