ファッション業界に旋風を巻き起こす企業のトップたちに、インタビューを行う本企画。企業の成長に欠かせない”人”についてどのように考え、どのような採用方法を取り入れているのか、第一回目となる今回は、メガネのファッションブランド「OWNDAYS」の代表取締役である田中修治氏に、同社が先日発表した”インフルエンサー採用”について話を伺った。

 

田中修治

メガネ販売チェーン「OWNDAYS」の代表取締役社長。2008年に債務超過に陥り破綻していた「OWNDAYS」に対して、個人で52%の第三者割当増資引き受け、同社の代表取締役となった。また、OWNDAYSが10年間で奇跡のV字回復を遂げて、売上150億、世界10カ国に進出するまでの物語を綴ったブログ、「OWNDAYS 再生物語」でも注目を集めている。

OWNDAYS

メガネ等の販売を行う、全国チェーン。現在は、日本、シンガポール・台湾・タイ・フィリピン・マレーシア・カンボジア・オーストラリア・ベトナム・オランダの計10カ国、200店舗以上を展開している。

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ー御社は昨今、眼鏡の販売事業の他に、「TripBiz※」や「STAPA※」など、「人」に着目した事業をやられている印象があります。まず、田中さんにとって「会社と人」の関係をどのように捉えているのでしょうか。

田中:まず会社を経営するのには、色々な考え方があると思っていて、例えば、他者と競争して勝つ・負けるという捉え方でやっている人もいるし、社会を良くしたいという気持ちでやっている人もいるし、金儲けをしたくてやっている人もいる。だから会社は自分の目的に対する一つの「手段」だと思っている。

会社は突き詰めていけば、優秀な人材を集めたところが勝つようにできている。社長のアイデアで伸びることは伸びるのだけど、ある一定のラインまでいくと結局は人の獲得合戦みたいにはなってくる。その最たる例が、Google社や Apple社で、世界中に根を張って、どうやって優秀な人材を集めてくるかしか考えてない。優秀な人材を集めれば、その人達が何かを面白い事を考えて、事業に繋げてくれる。だからそういった優秀な人材を集めるための手段として成長させなければならない。

※TripBizとは:日本初、ビジネス出張者に特化した民泊プラットフォーム。 観光客や旅行ではなく、ビジネスマンをターゲットにしていることが特徴の一つである。

※STAPAとは:OWNDAYSが取り入れている福利厚生制度の一つ。出勤や売り上げ達成などで「マイル」を貯め、獲得数に応じて商品や旅行などの特典と交換することができる福利厚生システム。

 

 

ー最近は海外展開にも力を入れていますよね。そうなると、より、「人」というのが重要になってくると思うのですが、そこに関して工夫している点はありますか?

田中:海外で事業を伸ばしていこうと決めたのが5年前になるんだけど、当時は、社内に英語を話せる人が2人しかいなかった。だけど、海外で事業を伸ばすには、海外で働きたいという意思を持っている優秀な人を集める必要があったんだよね。その為には、給料だけではなくて、カルチャーだったり、制度だったり、待遇だったりいろんな面をまずは整える必要があったから、日々試行錯誤しながら整えていったかな。

 

ーインフルエンサー採用はどのような思いからスタートしていったんですか?

田中:電車の駅のホームで人々を眺めていると、ほとんどの人がスマホを見ている。これからは、業種業界に関わらず、ありとあらゆる人がスマホの画面に自分をどう写していくかということを考えないとやっていけない時代になってきているんだよね。そういったものは、意識的にやらせるというよりも、最初からインターネット上で自分から何かを発信することが好きで、関心が高い人の方が発信していく力が強い。だから初めからそういった人たちを集めてきたほうが手っ取り早いんじゃない?と思ってこの採用方法を導入してみた。

今の若者はネット上での交友関係とプライベートの関係と線引をしていなくて、とてもシームレスになっている。いずれは、オフィスに出勤せずにネットの中でしか、仕事をしない人も出てくるだろうしね。ネット上で仕事して、仮想通貨みたいなものでお給料をもらって、それで生活が成り立っちゃうみたいな。だからこそ、インターネット上の世界とリアルな世界に対して、壁を持っていない、そこをシームレスに捉えられている人を採用したいなと思っている。

そういうスタッフがお店に沢山いれば、積極的に自分のことやお店の事を発信してくれて、それがお客さんに伝わり、結果的に何よりも強いプロモーションになる。スタッフ個々人がSNS等を通じてファンを創っていくことで、お客さんは今後もその人から商品を買ってくれるようになると思う。こういった連鎖を作りたくてインフルエンサー採用を始めたかな。

 

オンデーズのインフルエンサー採用:OWNDAYSを世の中に広めるインフルエンサーを募集します!
※SNSのフォロワー数1,500人以上が応募条件となっており、選考フローの大幅カットで、優先的に最終面接へ進むことが出来る。

 

ーということは、“今影響力がある人”というよりかは、インターネット上の世界とリアルな世界に対して、壁を持っていない、そこをシームレスに捉えられている人を採用したいという認識でよろしいでしょうか?

田中:特定のインフルエンサーを採用したい、ということではなくて、インターネット上の世界とリアルな世界をシームレスに捉えられている人を採用していって、徐々に会社をそういうカルチャーに変えていきたいと思っている。10年前にオンデーズをはじめたとき、数年後は日本人だけでは、小売業に人が足りなくなると思ったんだよね。オンデーズはその当時から外国人を雇用していて。もちろん、始めは戸惑いもあったけど、いろいろ工夫していくうちに今は外国人が沢山働いていることになんの抵抗もないカルチャーが出来上がっている。今、本社には50人位社員がいるけど、半分は外国人だしね。

 

 

ー御社は今、「OWNDAYS SUMMIT」など、社内でのコミュニケーションっていうものにすごく力を入れていますよね。この“コミュニケーションの方法”に関して、今後、更に力を入れていきたいことはありますか?

田中:今まで、「OWNDAYS SUMMIT」は社内でやっていたんだけど、今後はお客様も来られるような形式にしていきたいと思っている。今、「短パン社長※」とネット上だけでモノを売ろうということを始めているんだけど、そこで商品を買ってくれた特典を「サミットに行ける券」にしようか、と。そこでの売上って、全体にしたら大した額ではないけど、その商品を買ってくれる人はコア層で、その人達はオンデーズのお客さんと社員の中間に位置する、“ファン”だと思っている。だから、今後も客数ではなくて、“ファンの数”を増やしていくための取り組みをしていきたい。

※株式会社ピーアイ 代表取締役。ニックネームは、1 年中短パンを履いている ことから「短パン」または「短パン社⻑」。2014 年には、自身のブランド「KEISUKE OKUNOYA」を立ち上げ、SNS のみ発表・発注という業界初の販売方法で展開 している。

 

ー”ファンの数”を増やす為の取り組みという点に付随するのですが、以前、キングコングの西野さんが、認知度より人気度が大切だということをお話されていました。その考えと共通することもありますよね?

田中:今、「OWNDAYS 再生物語」っていうテーマでブログを書いているんだけど、そのブログを読んで、応募しましたっていう学生も嬉しいことに増えてきているんだよね。

そうやって興味を持ってくれた方は、お客さんにもなり得るし、働く人にもなり得る。更に、その人が辞めてまたお客さんになるかもしれないし、その人の友人が働きにくるかもしれない。そういった意味でも今は、お客さんと働く人の垣根がなくなってきている時代。今回、インフルエンサー採用を始めたのも、それも一つの話題作りになればいいかなと思っていて。「今更インフルエンサー採用?」って叩かれたりもしたんだけど、わかりやすくアピールするためには最適な言葉だと思ったんだよね。炎上マーケティングじゃないけど、そこで議論が生まれた方が当然いいからね。あんまり尖ったボールを投げても拾える人はほとんどいないから、採用したい人数を考えて内容を試行錯誤している。実際、今回のインフルエンサー採用も、スタッフに対して、また、世の中に向けて、もっと「SNSを活用してもいいんだよ」っていうメッセージ的な意味を込めて、やっているところはあるかな。

 

ー最後に学生に伝えたいことを教えてください。

田中:好きにやってみたら良いんじゃない?の一言だね。僕は自分の価値観で好きにやってきたからこそ、いろんなことにチャレンジできている。20歳の時にインターネットが出てきたんだけど、インターネットが全くなかった10代と、インターネットが出てきた20代と色々なことがまるっきり変わっている。インターネットが出てきて世の中が大きく変わった瞬間を目の当たりにしているんだよね。

その分親の世代とも価値観が違っていて、親の言う通りにやっていたら今の自分はいなかった。
今の学生たちは、インターネットが当たり前という環境で育ってきているから、僕ら世代とも価値観が違うと思う。結局、人生っていうのは、自分のやったことの結果でしかないからね。大金持ちになるかもしれないし、歴史に残れるような人間になるかもしれないし、犯罪者になるかもしれないし。でもそれは結局自分の価値観に基づいた行動の結果でしかないから。だから何者にもなれないとしたら、それは何者にもなれない程度の行動しかしなかったってことだと思ってるかな。

 

Text:Moeka Sato (READY TO FASHION  MAG編集部)

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