【REPORT】リネット×ベイクルーズ×GINZA現代に求められるファッションとの正しい付き合い方

 

2016年12月1日〜25日にかけて、業界初のネット完結型宅配クリーニング リネットを運営する株式会社ホワイトプラスと、ファッションだけでなく、フード、家具・インテリア、フィットネスなどライフスタイルに関わる様々な事業を運営する株式会社ベイクルーズが、コラボレーションキャンペーン「LOVE MORE FASHION〜好きなファッションをもっと好きになろう〜」を実施し、2017年2月23日にそのキャンペーン結果の報告会*が行われた。

本レポートは、ベイクルーズの取締役 森秀人氏と雑誌GINZAの編集長の中島敏子氏を招き「ライフスタイルとファッション」というテーマで行われた、トークセッションの内容をお届けする。お二人の考えるファッションを社会との繋がりを軸にお話し頂いた貴重な内容になっている。

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【登壇者】
株式会社ベイクルーズ取締役 森秀人
株式会社マガジンハウス『GINZA』編集長 中島敏子
【モデレーター】
株式会社ホワイトプラス 代表取締役社長 井下孝之

 

【ファッション業界に入ったきっかけ】

井下考之(以下、井下):まずはお二人がファッション業界に入ったきっかけをお伺いさせて下さい。

森秀人(以下、森):中学生の時に映画のバック・トゥ・ザ・フューチャーを見て、アメリカの1950年代のライフスタイルやファッションというものに出会ったのですが、その時は電気が流れたかのような衝撃を受けました。この映画が、ファッションに興味を持ったきっかけです。

中島敏子(以下、中島):私は中学が私服通学だったので、その頃から洋服に興味を持つようになりました。ただ、そこからファッション誌を目指したのではなく、カルチャー誌の方に興味を持ちました。そのため、マガジンハウスに入社してもブルータスやリラックスなどを担当していました。なので、ファッション誌であるGINZA(ギンザ)を担当することになった時は青天の霹靂でした(笑)。ある日突然役員に「ファッション好きだよな?じゃあGINZA(ギンザ)のコンテンツ考えてみてよ。」なんて言われたのがきっかけでした。こういう無茶ぶりをする会社が好きだな、なんて思って引き受けちゃいましたね(笑)。

 

 

【社会の流れとファッションの関係】

井下: 現代におけるファッションにはどのような役割があると考えますでしょうか?

中島:震災があった頃に、避難所に暮らしていた女の子の話なのですが、その女の子は、6万円もする靴をなんとか買いたいと声を漏らしたそうです。どうしてその靴が必要なのかと聞くと、「それがあれば明日から頑張って生きていける気がする」と彼女は答えました。その話が足元だというところにもぐっときたのですが、震災で0からやり直すというそんな時に欲しいと思うものは、安いスニーカーではなくて6万円のしっかりしたものだったのだなと思いました。きっといろんな思いが彼女にはあったと思います。全てがなくなってしまうという可能性がある時代に、長く続くものの大切さみたいなものはすごく感じたのではないでしょうか。私はその話を聞いて“ファッションの役割ってそういうこともあるんだ”と彼女に教えてもらった気がします。

流行のように瞬時に通り過ぎていくものは、それはそれで良いと思うのですが、そういうものとはまた別に、残っていくものと付き合うというスタンスは、若い人の心のどこかに芽生えているのかなと思います。

井下:心を打たれるお話ですね。最近の若者のそのような感覚はどんな背景から出てきたのでしょうか。

中島:なんとなく社会が鬱々としていて、今後日本の経済が右肩上がりになることはないということを、みんな感じているからではないでしょうか。とはいっても日々消費活動はあります。2000年代にファストファッションが出てきた頃は、若い人たちの間では、新しいものを買っては売るということを繰り返しました。でもその“虚しさ”みたいなものが今も心の中に残っているのではないかと思います。だからといって何も買わないわけではなくて、何かを買おうと考えた時に以前と同じ金額のものでも、今の方がきちんと考えて買っているのではないのかなと思います。

森:そうですね。値段ではなくて、本当に価値があるかどうかということが判断基準になっていると思います。私は店舗にもよく出向くのですが、セールだから買うという感覚がお客様の中になくなってきているなと感じます。定価でも自分が本当に欲しいと思うものを選ばれるお客様が最近は多い傾向にあります。

 

 

【洋服との新しい付き合い方】

井下:GINZA(ギンザ)の最新号では無印良品とのコラボ企画などがありましたね。そういった企画も世の中の変化と関係がありますか?

中島:そうですね。MUJI Laboという新しいレーベルができて、 “洋服は必要なものだけ買えばいいよね”というようなことを打ち出しています。大ヒットした『フランス人は服を10着しか持たない』という本がありましたが、少ないから良いとか多いからどうというよりは“自分にとって必要かどうかということを見極めることが大事”という、世の中の流れになってきているんだと思います。

私たちは売る側なのでつい買ってくださいという姿勢になりがちですが、洋服は買って終わりではなく育てる楽しみがあると思います。“洋服との良い付き合い方”って、買って使ってそのまま捨てるのではなくて、まるでペットのように自分の家に招いて、今まで持っていた洋服と組み合わせたりして愛情を育む。そして何年か経つとまた流行が来たね、というような感じで使ったりすることなのかもしれません。

井下:なるほど。服を育てていくというのは凄く良い話ですね。お二人には、そのような服がありましたか?

中島:私は初めて買ったコムデギャルソンのジャケットです。大学生の時にお金を貯めて、それこそ清水の舞台から飛び降りるような気持ちでジャケットを買いました。どこに行くにもそれを着て出かけましたし、20年弱着ていましたね。

森:僕は大学生の時にどうしてもヴィンテージのジージャンが欲しくて、宅急便屋さんで一晩働いて小銭を稼ぎました。当時、十数万円位したと思います。今日着ているジージャンはその時買ったものをリメイクしたものです。なので、モノ自体は20年以上経っています。もうボロボロではありますが、僕の中では一張羅なんですよ。

 

 

 

【洋服を大事にするということ】

井下:やはりお気に入りの洋服って長く大事に着ますよね。洋服を大事にすることに関連して、昨年末にリネットとベイクルーズがコラボして実施した、洋服の購入時にクリーニングチケットを同時に配布するプロジェクト「LOVE MORE FASHION〜好きなファッションをもっと好きになろう〜」にも同じことが言えますよね。

森:そうですね。以前から、商品を売っておしまいというだけではなく、買って頂いた後も何かしらお客様に貢献できないだろうかと話し合ってきました。そこで我々は、商品の購入時にアフターケアのことまでお客様に伝えていければ、お客様自身の中でその商品への愛着が深まったり、またそこから繋がって購入したアイテムに合わせるものをお買い上げ頂いたりと良いサイクルになるのではないかと考えました。 実際に店舗に立つスタッフからも「お客様から、そんなところまで考えてくれてるんだという好リアクションを頂けました。」という声もあり、キャンペーンを実施して本当に良かったと思っています。

 

 

【SNSの時代に考える将来のビジョンとは】

井下: 今後のお二人のビジョンをお聞かせください。

中島:いろいろありますが、今はSNSの時代なので反響のある服というものがやはりSNS映えするものなんです。時代の流れもあるので、もちろんそういった服も良いと思いますが、そういったものばかりにとらわれるのではなく“この服は写真だけでは全てが伝わらないかもしれないけれど、すごく良い商品なんですよ”といったこともしっかりと伝えることが私たちの役目の一つだなと思っています。時代の流れはデジタルによりがちですが、そこに溺れることなく、“大事なことは大事で、良いものは良い”と伝えていける媒体でありたいと思っています。

森:ベイクルーズグループではインターネットでの売り上げがどんどん伸びていて、まだまだ伸び代があると思っています。確かにインターネットでの買い物はお客様にとっていろいろと便利なのは事実ですし、これからも会社を支えていく大事なマーケットになると考えています。でもその一方で、これからもリアルな店舗を運営する意味があると思うんです。お店に行くと個性豊かなスタッフがいて、そういったスタッフとお客様が話をしていく中で、 “ファッションってこうだよね”というマイルールみたいなものを、良い意味で壊していくということがまだまだ大事なのかなと思いますし、そのような存在でありたいと考えています。

 

【editor’s view】

今回のトークセッションを通して、ファッションが人に与えるものとは一体なんなのだろうかと考えさせられた。ある人にとっては人に会うための社会性を持った単なるツールであったり、ある人にとっては明日の自分の道を照らしてくれる灯りであったり、そしてある人には自身の気持ちを上げてくれる存在であったりと様々だ。ただ、服を纏うことによって人は気持ちが変化するということには変わりない。それはいつの時代でもきっと共通な感覚なのであろう。そう考えると、毎日服を選ぶことは何気ない行為だが、大げさかもしれないが、自分の人生をよりよくしてくれるための一歩だと考えれば、服を大事にする気持ちが今までより増すのではないだろうか。

Text:Reiko.SREADY TO FASHION編集部)

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