この記事では、セレクトショップの概要から、ブランドとの違い、また代表的なセレクトショップをご紹介。

セレクトショップとは?

セレクトショップ

セレクトショップとは、独自の販売コンセプトに沿って複数のブランドの商品を仕入れ、販売する業種のこと です。以前はインポートショップとも呼ばれ、海外の製品を日本に輸入して販売する形態が一般的でした。ただ現在のセレクトショップは、国内外やブランドの知名度問わずコンセプトに沿った商品をセレクトし販売しています。

セレクトショップとブランドショップの違いって?

しばしば混同されるのが、セレクトショップとブランドの違いです。セレクトショップの特徴は前述した通り、同一店舗内で複数の他社ブランドを取り扱っているショップを指します。その一方、ブランドショップは、その企業(ブランド)が展開する単一ブランドのみを取り扱っているショップ です。違いを端的にいえば、複数のブランドを取り扱っているか否か、です。

では、なぜセレクトショップとブランドが混同されるのでしょうか。それは、セレクトショップが自社で企画・生産を行うオリジナルブランド(いわゆる“セレオリ”)を展開する事例が増えたのが要因の一つでしょう。本来は外部のブランドを“セレクト”しているはずのセレクトショップ が、セレクトショップの名を冠するオリジナルの“ブランド”商品 を店頭で展開する。しかもそれが多く並んでいるため、ブランドショップと混同してしまう事態が生まれていると考えられます。

セレクトショップと百貨店の違いって?

ブランドショップに次いでわかりづらいのが、セレクトショップと百貨店の違いです。それぞれ同一店舗内で複数の他社ブランドを取り扱っている点は共通しているのですが、その商品の仕入れ方に大きな違いがあります。

百貨店は、売れた時点で仕入れ扱いとなる消化仕入れが主流で、売れ残りなどのリスク回避や仕入資金の節約ができますが、独自の売り場運営ができない場合があります。

対してセレクトショップは、商品を買い取ることで仕入れる買取仕入れの方法をとっています。そのため、百貨店とは異なり独自の品揃えや空間・サービスでショップイメージを創出しているのが特徴です。またオリジナルブランドを展開することで、買い付けで不足する商品を販売することができ、提案したいスタイリングに幅を持たせられるというわけです。

セレクトショップの仕事の内容に興味のある方は下記の記事からご覧ください。

セレクトショップの具体例

ここでは「大手セレクトショップ」と呼ばれるセレクトショップをご紹介します。商品の平均単価が1.5〜5万円前後の、いわゆるミドルブランドのアイテムを多く取り揃えているショップです。

UNITED ARROWS (ユナイテッドアローズ)

創業は、1989年。国内最大手のセレクトショップで、国内外からセレクトしたカジュアルなスタイルからフォーマルまでの幅広い商品や自社のオリジナルブランドの商品をミックスして販売しています。

「BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS(ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ)」、「UNITED ARROWS green label relaxing (ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング)」、「6(ROKU)(ロク)」など人気を集めるブランドを展開しています。

BEAMS (ビームス)

1976年に、アメリカンカジュアルの専門店として創業開始。「アメカジ」をベースとしたカジュアルな商品展開から、自社のオリジナルブランド・雑貨まで多様な商品展開が特徴です。

「こどもビームス」や「ビームス ゴルフ」、「Bギャラリー」、「ビームス レコーズ」など、子供服・スポーツウェアからアートやカルチャーに関するまで幅広い年齢層、ジャンルにアプローチするオリジナルブランドを展開しています。

BAYCREW’S(ベイクルーズ)

新ブランドも次々に誕生しており、ファッションだけでなく、食やインテリアなどライフスタイル全般に関わる事業を展開し、37を超えるブランドを持ちます。

上質なディテールで洗練されたスタイリングを提案する「IENA(イエナ)」やスタンダードとトレンドをミックスしたスタイルの「JOURNAL STANDARD(ジャーナルスタンダード)」は、広く人気を集める主力ブランドです。

その他のセレクトショップも知りたい方は下記からご覧ください。

セレクトショップの会社一覧

セレクトショップの3つの魅力

あえて3つに絞る理由もありませんが、セレクトショップの魅力は?と聞かれたら、まず挙げられるのは以下の3つです。

別注アイテムで特別感が得られる

セレクトショップといえば、他社ブランドに別注した、いわゆる別注アイテムが毎シーズン並んでいます。それを手にいれるメリットといえば、やはり特別感を得られる点でしょう。ブランドの通常ラインでは展開されていない仕様の商品であることに加え、中には即完売するものあり、手にいれることでちょっとした優越感を覚えることができたり。基本的には同じ仕様で別注品が復活することは稀なので、その意味でも特別感があると言えます。店頭には吟味できないほどの商品が並んでいますが、困ったらとりあえず別注品をチェックするのも手ですね。

コーディネートをワンランクアップしてくれる

セレクトショップといえば、お店の顔となるスタッフの存在も忘れてはいけません。プロとしての商品知識の深さはもちろんのこと、彼ら自身もファッションを楽しむ一人。セレクトショップという性質上、様々なテイスト(ブランド)の服に袖を通してきているがゆえに、提案の幅も広いです。いざ来店した際には、当日着用している服に合う商品を提案してくれたり、心機一転まったく別のスタイルを求めている場合でも自分のキャラに合ったコーディネートを組んでくれるはず。「いま、何がイケてるんですかね?」。そんな気軽な質問からショップスタッフとの服選びを楽しんでください。

トレンド感のあるものが買いやすい値段で手に入る

セレクトショップの定義にも書いた通り、独自の販売コンセプトに沿って複数のブランドの商品を仕入れているのがセレクトショップです。当然、トレンドを加味したアイテムも並んでいるため、街で今着ても恥ずかしくないアイテムが揃っています。基本的に、大手セレクトショップと呼ばれるところであればなおさらのことです。特にオリジナルブランド(いわゆる“セレオリ”)で展開する商品はトレンド性が強い傾向にある、かつ比較的買いやすい値段に設定されているのでチェックしてみてください。


セレクトショップの求人一覧

ファッション・アパレル業界に特化した求人サイト「READY TO FASHION」では、セレクトショップの求人を多数掲載しております。大手のアパレル企業はもちろんのこと、業界特化ならではの企業の求人情報も掲載しております。セレクトショップでの仕事に興味のある方はぜひご覧ください。

セレクトショップの求人はこちら

また働き口として興味のある方に向けて、セレクトショップの仕事内容や求められるスキルなども解説しています。気になる方は合わせてご覧ください。

【参考文献】
「ファッション辞典(第4版)」(大沼淳、萩村昭典、深井晃子 監修、文化出版局、1999)
「増補新版 図解服飾用語辞典」(杉野芳子 編著、ブティック社、2003)
「1秒でわかる!アパレル業界ハンドブック」(佐山周、大枝一郎、東洋経済新報社、2011)
「ファッション業界大研究[第2版]」(ファッション&ソフトマーケティング研究会 編著、産学社、2019)
「ファッション業界大研究【改訂版】」(オフィスウーノ 編、産学社、2008)
「アパレル素材企画 プロフェッショナルガイド」(野末和志、繊研新聞社、2019)
「役に立つアパレル業界の教科書」(久保茂樹、文芸社、2016)


三谷温紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

2000年、埼玉県生まれ。青山学院大学文学部卒業後、インターンとして活動していた「READY TO FASHION」に新卒で入社。記事執筆やインタビュー取材などを行っている。音楽、ドラマ、食、本などすべてにおいて韓国カルチャーが好き。

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