あっ…   …という間に2月。

早すぎません?

一説によると、人生を80年として考えたときに体感速度としては19歳で人生の折り返しらしいです。

思い立った時にすぐに行動しないと、どんどん時間が過ぎて行ってしまうんですね。気を付けます。

さて、皆様からの質問にお答えするこの連載。今回はこちらの質問にお答えしたいと思います。

なるほど。今回は他の業界(スタートアップベンチャー)と比較した時のファッション業界についての質問ですね。

「ファッション業界」といっても様々な企業がありますので、全てを一括りにして答える事はできませんが、一般的な傾向としてお答えしていきたいと思います。また、スタートアップも業界によって異なりますが今回は対比がしやすいITベンチャーとの比較で考えていきます。

当然、目指す成長の姿によって比較するポイントは変わりますが、「より早く色々な事が経験できる」という成長機会の違いという点で見ると、他の業界のスタートアップの方が遥かにスピード感は早いです。

ただ、それには構造的な理由もあるのでいくつかの視点に分けてお応えしていきます。

商品作りに関する考え方の違い

大きな違いに繋がる事の一つとして、商品企画~販売(提供)までの構造の違いがあります。

ファッション業界では各シーズンごとに商品が変わりますが、ざっくり大きく分けると春夏・秋冬の2シーズンで商品を揃えていきます。そしてそれらの商品は半年~1年ほど前から準備に入っています。逆に言うと企画段階から商品の展開までは短期で仕上げることは難しいと言えます。つまり各シーズンにおいて「やり直しが効かない=失敗が許されない」というプレッシャーが大きく、最初から100%の状態を目指していかなければいけないのです。

それに対してITベンチャーでは、最初から完璧なものを展開するということよりも70%ぐらいの完成度で進めていき、お客さんや市場の反応を見ながらサービス展開後に修正を加えていくという進め方を優先します。

皆さんも自分の身の回りを振り返るとわかるとおもいますが、IT関連は非常に多くのサービスが生まれ変化のスピードも激しいですよね。なので、最初から100%を目指して慎重に話を進めていたとしても、いざ完成したころには市場が変化してしまっている可能性が高いんです。つまり、スピードが命なんです。

こうした商品サイクルの違いから、ITベンチャーの方がより早く、色々な経験が積める機会は多いでしょう。

テレビのリモコンに見る大きな組織の小さな組織

次に、大きな企業(ある程度組織が確立された企業)とベンチャー企業(少人数)という視点で見ていきましょう。

テレビのリモコンを思い浮かべて欲しいんですが、ボタンの数凄く多いですよね。新しい機能が加わるたびに(つまり進化するたびに)ボタンが増えていく。パカっと開くと中にも多くのボタンが。すべての機能を使いこなせる人、います?かなり少数だと思うんですよね。

一つ一つのボタンにそれぞれ違った役割を与えて、仕事が細分化されていく。まさに大きな企業の構造と同じです。会社が大きくなると、より効率良く進めるために組織を細かく分けていき、それぞれの専門性を追求していく。その為じっくりと専門分野における基礎や専門スキルを身に付ける事が出来る一方、幅広いスキルは身に付けずらくなります。また、色んな部署との調整や相談が必要になるので、何かを実行するまでにどうしても時間が掛かる傾向にあります。

一方、Apple TVのリモコンって見たことありますか?ボタンも数個だけの非常にシンプルなデザイン。一つのボタンがその時々によって役割を柔軟に変えて幅広く機能する。これがベンチャー企業の構造です。逆に言うと人数が少ないが故に一人が何役もこなさなければ回らないわけです。つまり、そうした組織の方が大きな組織よりも早く色々な事を経験できると言えます。逆に言うと、しっかりと基礎を学んで専門性を磨いていくという点では厳しい環境になると思います。

ファッション業界の変化

ここまで、ファッション業界の一般的な傾向として話をしてきましたがファッション業界にもベンチャー企業は存在します。

最近だとFashionとTechnology(ITなど)を組み合わせた、面白い取り組みで注目を集める企業も増えていますし、圧倒的な売上高を誇るUNIQLOにおいても、環境の変化に柔軟に対応しスピード感をもって事業を進めていく取り組みとして「有明プロジェクト」と称して非常に興味深い体制を作っています。※詳細は別の機会にお伝えできればと思いますが、簡単に言うと大きな会社の中に小さなベンチャー企業をたくさん作ってそれぞれの意思決定スピードを上げていくような取り組みです。

そして、こうした傾向は今後益々ファッション業界の中でも増えていくと思います。

ファッションの会社も他の業界も、大手企業もベンチャー企業も、どちらが「良い・悪い」という事ではなく、自分が目指したい成長はどちらにあるかによって、「合う・合わない」で判断をしていく事が重要です。

是非自分の思い描く成長にフィットする会社選んで欲しいなと思います。

それではまた何かあれば相談お待ちしてます!

この連載は皆さんからの質問にお答えする形で進めていきます。是非お気軽にご質問ください。

質問はこちらから:https://naoyayoshida.sarahah.com/

【注意事項】質問頂いた内容は、連載内でご紹介させていただく場合もございます。 また、全のお問い合わせに関しまして、お答えできかねますのでご了承ください。

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吉田直哉

ファッション業界への就職を目指し、新卒でバーニーズジャパンに入社。 その後リクルートエージェント(現リクルートキャリア)にて様々な業界における転職支援、採用支援を経て、現在はファッション業界のヘッドハンターとして活動しつつ、ファッション業界におけるキャリア教育、コンサルティング業務、コミュニティー企画・運営など幅広く活動中。