【連載】「古着の取扱説明書 vol.1: なぜ今、古着を着るの?」

みなさんは古着に対してどんなイメージをお持ちだろうか?安くて個性的でおしゃれ、といういいイメージを持っている人もいれば、汚そう・他人が着たものを好んで着る意味が分からないという思いを持つ人もいるだろう。ファッションに対する価値観はそれぞれであり、簡単に定義づけすることはできないかもしれない。

しかし、一つ言えるのは”古着が注目されている”ということである。各ファッション誌において古着特集が組まれたり、人気の俳優やモデルのSNSなどに古着を着用している私服のスタイリングが投稿されていたりと、古着に対しての注目度が高まっているのではないでしょうか?

そこで、「なぜ古着を着るのか?」「古着の魅力とは何なのか?」をテーマにした新連載「古着の取扱説明書』をスタートし、ただの流行ではない古着の魅力や、より古着が好きになる情報をお届けする。第一弾の今回は「なぜ今、古着を着るのか」考察していきたいと思う。

 

【連載】「古着の取扱説明書」 vol.1: なぜ今、古着を着るの?

ストリートファッションの流行した1990年代は古着ブームの全盛期でもあった。リーバイスの501やAir-maxシリーズ、CASIOのG-SHOCKなど、現在も定番のアイテムとして活躍しているアイテムが人気を博したのもこの時期である。当時を過ごした方には、寝るときもお風呂に入るときもリーバイスのジーンズを穿きっぱなしにして育てていた人や、エアマックス狩りにビクビクしていたなんて人もいるのではないだろうか。しかし現在の古着ブームにおいては、こうした“一点豪華主義”的な考え方は少数派になっているのかもしれない。

では、今古着を着ている人たちは、何を思って古着を選んでいるのだろうか?

 

(Levis vintage clothing |instagramアカウント)

 

【古着を着る=個性を着る】

ファッションに対しての消費傾向の変化によって、若者の間で“古着を着ること=まわりとの差別化”というイメージが生まれているということが一つの理由ではないだろうか。

海外発のファストファッションブランドが次々に日本に進出しファストファッション人気が高まったことで、ブランド間での競争も激しくなった。そうした業界の動向の影響もあり、安くておしゃれなデザインの服をたくさん持つことが可能になったのだ。しかし、あまりにもファストファッションが流行しすぎたことによって、同じ服や似ている服が大量に流通してしまったのである。皆さんの中にも、学校や職場で「打合せしていないおそろコーデ」になってしまった経験がある人は少なくないだろう。

こうした理由もあって、安く、そして簡単に自分の個性を表現できる古着に注目が集まったのではないだろうか。最近スナップなどを見ていても、50sのロカビリーや60s頃ののヒッピーカルチャーを彷彿とさせるような派手目の柄や色や刺しゅうのアイテムなど、個性的な古着を取り入れたコーディネートをよく見かけるのだが、このようなコーディネートの傾向からも古着をアクセントとして取り入れるという考え方が伝わってくる。古着が持つ独特の雰囲気を身に纏うことは、個性を着るということなのではないだろうか。

 

 

【憧れのあの人も古着を着ている?】

古着を愛用する芸能人やモデルの人が目立つことも、古着ブームの一因といえるだろう。古着を着用しているスタイリングに憧れて古着を購入するのはもちろん、「着用している物の値段が高くて手が出せない!」といった人が、似た雰囲気のコーディネートをするために、手の届きやすい古着を使うといったパターンも考えられるだろう。

また、そういった憧れの対象が生まれるプロセスも変化しているのではないだろうか。いつの時代も映画やドラマや雑誌など多種多様なコンテンツからファッションアイコンと言われるものが誕生する。ファッションアイコンとは簡単に言えば、その時代一番オシャレで多くの人に真似される人やスタイルのことである。しかし現代においてはTwitterやInstagramなどのSNSによって、自分の好きな芸能人やモデル・インフルエンサーをフォローして彼らのセンスを真似ることができるようになったのだ。

言い換えれば、それぞれの人にそれぞれのファッションアイコンがいる時代になったのかもしれない。

 

ガールズアワード来てくれてありがとうございました!

柳俊太郎さん(@shuntaroyanagi)がシェアした投稿 –

(柳俊太郎|instagramアカウント)

 

【スキニーからワイドパンツへ】

 トレンドの変化も古着ブームの後押しをしている。2001年、エディ・スリマンがディレクターを務めた「Dior Homme」のコレクションをきっかけに一気に市民権を得たスキニースタイルは、長い間メンズのスタイルにおいて定番の選択肢として選ばれてきた。しかしここ数年、ディオールオムを含めた様々なブランドがこぞってワイドパンツを売り出し、実際にルーズなシルエットの着こなしをしている人をよく見かけるようになった。このトレンドの変化によって、スキニースタイル登場以前の定番であった、90年代当時のストリート系のファッションに見られるようなルーズなシルエットの洋服に注目が集まるようになったのではいだろうか?Ralph LaurenやTommy Hilfigerなどの90年代頃のアイテムの人気の高まりもこういった背景によるものかもしれない。

 

#KVASQUAD shot by Stef Mitchell, styled by @MauricioNardi | @Kris_Van_Assche’s #DiorHomme Summer 2018 collection #PFW

Dior Homme Officialさん(@diorhomme)がシェアした投稿 –

(Dior Homme|instagramアカウント)

 

このように現在のファッションの消費傾向や流行の変遷をたどってみると、「なぜ今、古着を着るのか」が少し客観的に見えてくる。とは言っても、“安いから”“流行ってるから”“周りと違う服を着たいから”だけで古着を着るのはもったいない。

次回以降も、古着の魅力の本質とも言える部分のお話をしていくので、「古着にチャレンジしたいけどなんか難しそう」と思っている人だけでなく「もっと古着に関する知識をつけたい」という人にも楽しんでもらいたい。

 

illustration : Akari.K(READY TO FASHION MAG 編集部)
Text:K.Noguchi(READY TO FASHION MAG 編集部)
ファッション業界と繋がる
この記事をシェアする
READY TO FASHION をフォローする