世界的にも注目されているファッション都市、東京。それぞれ個性的な特徴を持つ名古屋・大阪・福岡。こうした都市部から様々なメディアを通じて全国へと発信されることが当たり前になっている今、あえてオシャレとは無縁に思える田舎に住む、大学生がファッションを考える。そんな地域密着型新連載企画「オシャレしなくていい街で、オシャレする。」の導入となる第一弾は、山口のファッション事情を紹介!

とてつもなく田舎=山口県

山口県の代表的な観光地、「錦帯橋」

山口県に馴染みのない人はこの県に対してどんなイメージを持っているだろうか?私自身山口県に住み始めるまでは“ふぐ”と“カルスト台地”があるという一般常識的な情報しか知らなかった。おそらく世間的な山口県のイメージも同じようなものだろう。そして実際に住んでみて感じることは「とてつもなく田舎である」ということだ。広島・福岡という太刀打ちできない都会に挟まれ、尚且つアクセスもさほど良くない。そのため山口県民、特に山口県中部に住んでいる人にとっては、県外に出かけるのは一大行事なのである。

地方に住んでいた経験のある人であれば共感していただけると思うが、我々田舎人は都会に行くときにはいつも以上にオシャレをしようとする。上述したように、都会に行くことは非日常的なイベントなのでオシャレをするのは当たり前の感覚だと思われるかもしれないが、この感覚こそが“田舎ではオシャレを楽しめない”という考え方につながるのではないだろうか。ここからは、この感覚を山口と都会の違いから紐解いてみようと思う。

価格の二極化と若者不足

 まずそもそも、都会を比べると山口県には圧倒的にアパレルショップが少ないのだ。学生に人気のあるブランドやセレクトショップのお店はほとんどないと言っても過言ではない。実際にはドメスティックやインポートをセレクトしているショップはあるのだが、それらの洋服の多くは服オタクではない人にとっては簡単に買える価格ではないかもしれない。価格帯の選択肢が二極化してしまっているため、“ある程度のオシャレはしたいけど、そんなにお金はかけたくない”という大多数の若者は、ファストファッションかzozotownなどのECサイトを活用するしかなくなってしまうのである。

そして、山口県に限ったことではないが地方においては人口の過疎化と高齢化が都会に比べて進んでいることも関連してくる。過疎化と高齢化は街の活気や文化に大きな影響を与えてしまうのだ。例えばファッション文化に限定していえば、若者の母数が少ないうえに、オシャレな服を買える場が少なく消費の機会が限定されてしまっていることで、山口という街がおしゃれをする場所ではなくなってしまっている。おしゃれをして行きたい場所がなければ、そもそも洋服を買う必要も少なくなる。こうした負の連鎖が続いているのが山口県、そして地方における現状なのではないだろうか。

さいごに

今回は、山口県在住の方が読んだら不愉快になるくらいネガティブな内容になってしまったが、この連載では“オシャレをしなくてもいい街”でオシャレを楽しんでいる人や盛り上げようとしている人をフィーチャーしていき、地方からファッション業界を盛り上げていきたいと思う。次回以降は読んだらちょっとおしゃれしたくなるような内容を発信していくので乞うご期待!


野口耕平(READY TO FASHION MAG 編集部)

1996年生まれ。山口大学に在学中、アルバイトで古着の買い取り・販売に携わっている。