【REPORT】通常の消費サイクルとは違う挑戦 |ONFAddの世界で勝負するためのモノづくりとは。

 

2017年10月19日(木)、株式会社ニューピースは、日本のモビリティカルチャーをコンセプトとしたプロダクトブランド「ONFAdd」(オンファッド)をローンチし、10月19日(木)~21日(土)には、プロダクトを体験できるインスタレーション、ブランド開発プロセスを語るトークセッションを開催した。
本記事では1日目に行われた”TALK1『日本文化輸出 – 世界に勝負するための日本のモノづくり再構築』”の様子をレポート。

 

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登壇者プロフィール:

宮浦晋哉:ファッションキュレーター
株式会社 糸編の代表。 杉野服飾大学、ESMOD JAPON東京の夜間部でパターンメイキングとファッションデザインを学ぶ。大学卒業後、London College of Fashionに進学し、「Secori Gallery」を創業。国内の繊維産地を回りながら、執筆、編集、展示会企画、メディア、スペース運営、素材・商品開発、産地活性などに携わる。2013年よりコミュニティスペース「セコリ荘」が活動拠点。2015年には「セコリ荘金沢」が開店。2017年はテキスタイルメディア「TEXTILE JAPAN」と、人材育成と産地活性を目指して「産地の学校」を立ち上げる。

 

早川和彦:プロダクトディレクター
多摩美術大学を卒業後、アメリカのアートセンター・カレッジ・オブ・デザイン在学中、2008年からセイコーウォッチ株式会社にてプロダクトデザイナーとして従事。母校の非常勤講師などを勤めながら、2014年に独立し「早川和彦デザイン事務所」を設立。現在ではプロダクトの企画やデザインを中心に、ブランディング、パッケージ、インテリア、空間など幅広い提案を行っている。

 

高木新平:NEWPEACE inc. 代表
1987年、富山生まれ。早稲田大学卒業後、2010年、(株)博報堂に入社。SNSなどを活用したクリエイティブ開発に携わった後、独立。「よるヒルズ」や「リバ邸」などコンセプト型シェアハウスを各地に立ち上げ、ムーヴメントを牽引する。またネット選挙運動解禁を実現した「ONE VOICE CAMPAIGN」などを主導。そのライフスタイルが、NHKなど様々なメディアに取り上げられる。2014年、多様なクリエイターを集め、NEWPEACE Inc.を創業、代表に就任。社会課題からストーリーを組み立てることで、新しい形のブランディングを実践している。

 

ブランド公式 HP: https://onfadd.com/
ONLINE STORE :https://store.onfadd.com/

 

 

高木:まず初めに「ONFAdd」の説明から。このブランドはクリエーターのためのブランドです。そもそもプロダクトの着想は日本文化の本質はモビリティにあるという発見でした。その文化を我々なりに再解釈し、移動し続けるクリエイターのためのプロダクトを様々な領域のクリエイターとコラボレーションして、各々からインスピレーションを受けながら作っています。そのためブランドサイトにはパタンナーや工場の人の名前もフラットにクレジットに載っています。

今日はそんな「ONFAdd」を企画の初期段階から進めてきた2人とトークをさせていただけましたらと思います。
まず、ブランドのクリエイティブディレクションをしている早川さんから見た「ONFAdd」の面白さって何ですか?

 

 

早川:先ほども触れていますが、「ONFAdd」は様々な得意分野を持ったクリエイターとコラボレーションしながら生まれています。なのでもちろん、面白みを感じるポイントも参加している人によって異なりますが、私個人的には考古学的なアプローチからモノづくりをしている点が面白いと感じますね。単に昔のものや歴史を理解するのではなく、過去に存在した日本文化的事実やその空想を踏まえ再解釈し、それをプロダクトとして再構築するアウトプットは新鮮だと思います。

 

 

高木:なぜ日本の文化に着目しているかというと、現在の日本が経済的に飽和している点にも関係します。特にファッション産業に関しては、日本だと停滞産業、海外では成長産業です。その状況で日本が勝負できるところを模索し、このブランドが生まれたと思ってます。早川さんとイタリアのミラノサローネに行った時に、吉岡徳仁氏や佐藤オオキ氏のnendoの作品を見て、なんで 彼らの作品は海外でウケるのかを考えたんです。その共通点は日本的な解釈でアウトプットをしているということ。さらにそれを現代的な素材やアプローチで構築しているから海外では新鮮に写るんですよね。

海外で勝負するにあたり、ファッションブランドに限らず、これからのプロダクトではこの特有の日本らしさがキーワードだと思ってます。そのため、「ONFAdd」では「FUTOKORO(懐)」「FUROSHIKI(風呂敷)」「FUTON(布団)」「SAMUE(作務衣)」というネーミングや、浮世絵をモチーフにしたブランドビジュアルを用いています。

 

 

 

早川:通常、日本のクリエーションシーンでは、直球で日本らしさを表すアウトプットは避けてしまいがちです。それは日本での販路拡大やファン作りの土壌を作ってから海外で勝負を仕掛けるケースが圧倒的に多いからだと思います。ですが、「ONFAdd」では日本で売ることを飛ばして、海外を狙っていこうと考え、日本の文脈を汲み取りそれをわかりやすい形で伝え、避けがちなジャパニーズワードをあえて大々的に打ち出しました。

 

高木:「ONFAdd」は「日本から世界に」という視点で動きだしてます。海外での留学経て、日本全国の産地を見てきた宮浦くんから見て、「ONFAdd」は海外で通用する可能性はありますか?

 

宮浦:海外で日本の物が受け入れられるのは、これからのアプローチ次第なところが多いですが、普段ブランドや産地の方々とモノづくりをしていて、日本の高い技術が国内では活かしきれないところが多いと感じています。これは国内の消費サイクルや価格設定などの壁で難しいところが多い。しかし「ONFAdd」のプロダクトは贅沢に日本の技術を使ってますね。プロダクトに非常に高いポテンシャルを感じます。

日本の素材は潤沢な予算を投じて開発する場合はハイスペックにすることが可能です。しかし、価格高くて日本ではなかなか受入れられづらい。海外のトップメゾンなどはそう言った素材を使用しています。僕も最近、素材の輸出を始めたのですが、数千円/1mほどかかる日本の素材は海外との取引が多いです。

 

 

高木:宮浦くんは「FUTON(布団)」やインナーバッグの工場を繋げてくれたんですが、日本には面白い産地がたくさんありますよね。アウトドアの素材とかにも強いイメージがあります。

 

宮浦:日本はクラフトマンシップを発揮した伝統的な素材はもちろん、アウトドアで使用されるような高機能素材も強いです。新素材の開発とかも興味を持ってくれる産地が多いですね。

 

高木:はじめてプロダクトの提案に行くと、大体の工場は驚いてますよね。笑

 

宮浦:開発したことない素材などは、最初に工場へ提案に行ってプレゼンをしても、なかなか受け入れてもらえないですが、そこからビジョンややりたいこと伝えて、理解を得てもらえると「これは普通のプロダクトではないな」と前のめりになっているのを感じます。

 

FUTON: COAT & QUIT

 

高木:ブランドのプロトタイプ作るために、たくさんの産地とコミュニケーションをして知ったのは、日本にとても良い素材がたくさんあるということですね。その素材や技術をもっと「Made in japan」として海外に広めていきたいと思っています。

 

宮浦:通常の消費サイクルから考えると技術には限界があります。ファッション産業だったら年2回のコレクションがあり、プロダクトだったら、「ここでリリースしたい」という事情もある。ですので開発しようにも、予算や時間の関係で、ある種の妥協をしてしまっている。インナーバッグの素材開発の時に驚いたのは、本当にいい素材を妥協せずに作り出したいという熱意ですね。予算・時間は二の次にプロダクトとして満足のいくものを作る姿勢。何度も試作して、工場も今までやったことのない素材開発をしっかり時間をとってできるのは新鮮だったのではないでしょうか。

 

FUTOKORO: INNER_JACKET_LAPTOP_BACKPACK

 

高木:コレクションブランドが成し得ないサイクルでモノづくりができる環境を整備し、妥協せずにプロダクトをリリースできたと思います。シーズンの売り方をしない。通常だと展示会もバイヤーやプレスを呼ぶところを、ユーザーをたくさん呼んで実際にプロダクトを体感してもらう機会にしました。

 

宮浦:インナーバックも、あらゆる生地をボンディングすることから初めて、約2年くらいかかってるんですよ。工場の人もこんなことやったことないと言った反応で新鮮でしたね。
そして、プロダクトはお世辞抜きにすばらしい。しかし大事なのは「どう売るのか」というところですね。

 

高木:「ONFAdd」のチームはモノづくり中心の人間が多く、その点は模索中でもありますが、自社のECで売りながら、コンセプトに共感してもらえる世界中ショップに卸していく予定です。さっきも海外のディストリビューションをしている人が展示会に来てくれていて、繋がりを大事にして、たくさんのプロの人を巻き込みながらブランドを展開していきたいです。

 

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Text: READY TO FASHION MAG 編集部
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