清水菜津美(しみずなつみ)/ CLANE新宿ルミネ店 店長
1995年兵庫県生まれ。2019年 CLANE DESIGN株式会社に入社。2021年より現職。趣味は服巡りとご飯巡り。

代表取締役兼クリエイティブディレクターの松本恵奈氏が率いるブランド、「CLANE(クラネ)」。ベーシックながらも都会的な雰囲気を纏うファッションアイテムで20代、30代を中心に幅広い世代から人気を誇るブランドです。

今回は、「CLANE」新宿ルミネ店の店長として働く清水菜津美さんにフォーカスし、「CLANE」のチーム作りや販売員として大切にしていることなどを伺いました。

「発展途上国の教育にファッションを通して還元したい」と語る清水さんは、アパレル業界や販売員をどのように捉えているのでしょうか。

ファッションを通して発展途上国に還元する

ーー転職してCLANEに入社されたとのことですが、前職ではどんなお仕事をされていたのですか?

前職でも学生時代からアルバイトとしてアパレルブランドで3年ほど販売員をしていました。

上京するタイミングでそのブランドを卒業する予定だったのですが、東京にも店舗があるからと誘っていただき、都内の店舗で働かせていただいていました。

ーーそこからCLANEへ転職されたのはどういったきっかけで?

その職場が銀座三越で、CLANEもテナントとして入っていて。そこで当時のCLANEの店長やマネージャーの方と顔見知りになり、仲良くさせていただいたのがきっかけです。

ーー偶然の出会いで入社されたんですね。CLANEではどのようにキャリアを積まれていったのですか?

約4年前、ルミネ店をメインにアルバイトとして働かせていただいたのが、CLANEで働き始めたきっかけです。その後、大阪の店舗の立ち上げ時に店長として正式に入社しました。店舗立ち上げを行った1年後にまた都内に戻ってきて、現在は新宿ルミネ店で店長を務めています。

ーー店長のポジションで入社されたんですね。知り合い経由での入社や大阪と東京をまたぐキャリア形成は社内で一般的なんでしょうか?

あまりないと思います。先輩方をみている感じだと、一般的には3〜4年でキャリアアップしていくのではないでしょうか。

アルバイト時代は、もともと違うお仕事をしていて、CLANEにはお手伝いという形で関わらせていただいていました。正社員として入社して初めのポジションが店長だったので、少しイレギュラーではあったと思います。でも、ありがたいチャンスだったので大阪には骨を埋めるくらいの覚悟で行きましたね。

ーー入社される前には、スタイリストもされていたとお聞きしました。

販売員としてのコーデ提案がとても好きだったので、それを職にするスタイリスト業に興味が湧いたんです。自分で今後ブランドを作りたいという思いもあったので、スタイリングを勉強するために挑戦しましたね。

ファッションに関連するお仕事はなんでもやってみて、知識を得たうえで自分の夢に繋げたいと、当時若いながらも思っていました。

ーー販売職やスタイリスト業など、ファッションに対する熱量はどこからくるのですか?

根本には、教育関連の夢があるんです。学生時代に発展途上国の教育に関することを専攻していて、当時は自分でプログラムに応募して、年に数回は東南アジアの山村地域に足を運んでホームステイなどをしていました。

なので、自分が好きなファッションを通して、衣類繊維の原産地である東南アジアなどの国々に教育関連のことで還元できるようになりたいという思いがあります。

CLANE販売員としての定義や軸を持つ

ーー実際に入社してみて、もともとのイメージとのギャップはありましたか?

CLANEは世界観がしっかりしているイメージだったので、敷居が高く華やかなブランドだと思っていました。ただ実際に入社してみると、仲がよく、気さくでフレンドリーなスタッフばかりで、すごく良いギャップを感じました。私自身もお店に立つなかで、お客様から愛されているということを日々実感しているので、そこはCLANEの魅力や強みにも通じるところだと思います。

ーーYouTube動画でも、新宿店の魅力はスタッフの明るさだとおっしゃっていましたよね。

そうですね。明るいところは、どこの店舗にも通じていますね。特に新宿店の魅力は、販売員としての仕事に自覚と誇りを持っていることです。お客様に対しても誠心誠意向き合い、いつも感謝を怠ることなく働いてくれていると思います。

ーー清水さんが感じる、CLANEの販売員として活躍している人の特徴は何ですか?

販売員として自分なりの定義や軸を持っている人ですね。私自身も働くうえで一番大事にしていることです。なので、キャリアに関係なく新人スタッフにもしっかり持ってもらうようにしています。もちろんすぐには見つからないと思うので、それを見つけるためのフォローや提案は意識的に取り組んでいますね。

他にも、お客様はもちろんのこと、スタッフに対する想像力や思いやりに長けている人が活躍していると思います。

ーー個人ノルマを設定せず「店舗ごとにチームとなり目標を達成する環境」を会社として掲げていますが、そんなCLANEのチーム作りで心がけていることはありますか?

スタッフ同士でのフォローのし合いを常に意識しています。個人ノルマのない環境は初めてだったので、最初は戸惑いました。チームの一人ひとりが目標を背負いすぎてしまうこともあったんです。なので今は、チームでひとつの目標を達成しない限り、自分のやりたいことはできないということを日々教えています。自分の理想を追求するためにも、まずはチームで出来ることはやろうっていうことをスタッフも理解してくれていると思います。

人と人とのアナログな部分が重要

ーー幅広い層の方に愛されているとおっしゃっていましたが、CLANEの魅力は何だと思いますか?

ディレクターやデザイナーのこだわりが洋服を通じてきちんとわかるのがCLANEの魅力です。

ベーシックなデザインに程よくアクセントの加わったアイテムが多く、またワンシーズンのアイテムが100点以上あるというのも幅広いお客様に愛されているポイントなのかもしれません。

ーー顧客作りの観点で言うと、SNSが中心なんですか?

正解のアンサーでお答えすると、多分SNSなんです。でも、個人的にはそこを重要視してなくて。

ご来店していただくきっかけ作りとしてSNSは利用していますが、実際の勝負はお店に来ていただいてから。店舗や私たちに対してどう思っていただけるのかを重要視しています。例えば、お会計の際に必ず名刺に「今日のワンピースすごくお似合いでした」といったメッセージを添えてお渡しするなど、パーソナルな気遣いを日頃から心がけています。

SNSでもコミュニケーションできるからこそ、実際にご来店いただいた際には私たちとの時間をより楽しんでいただけらなと。人と人とのアナログな部分が重要だと思っています。

ーーあくまでも入口としてのSNSなんですね。発信力やインフルエンス力だけに頼らない姿勢が、真に接客に向き合っている印象です。

もちろんSNSを利用することで相乗効果はあると思います。ただ個人のSNSを使わずとも実際にご来店していただいて、ファンになっていただけているのは自信になりますね。

ーーお客様との関わりのなかで印象的なエピソードはありますか?

大阪店、都内店それぞれで対応させていただいたお客様同士が、私を通して繋がり、どちらの店舗にも皆様でお買い物に来てくださったことがすごく印象的でした。

他には、仲良くさせて頂いていたお客様が販売員としてCLANEに入社してくれて、現在部下として働いてくれていることはすごく印象深い出来事です。

ーー清水さんを通してファンクラブができているようで、素敵ですね。

私がCLANEの販売員としてお店にいることで、お客様の輪がどんどん広がっていくのは本当に嬉しいです。私の異動が決まった時には、たくさんのお客様が会いにきてくださいました。中には、わざわざバルーンまで用意してくださるお客様もいらっしゃったり。本当にありがたいエピソードで溢れています。

ーーお客様はモチベーションの源泉でもあるんですね。

そうですね。理想論に聞こえてしまうかもしれないのですが、お客様がいらっしゃるからこその私たちだということです。お客様から温かいお言葉や思いやりなどをいただくたびに、自分たちが販売員としてここにいることの意義を感じています。お客様はCLANEを根本から支えてくださっていますね。

自分自身と一番向き合える仕事

ーー今後挑戦したいお仕事やポジションはありますか?

現在は新宿ルミネ店と大阪店を見ているのですが、今後は全体を見るマネージャーや、数字を扱う営業職にも興味があります。

ーーそれに向けて現在取り組まれていることはありますか?

客観的に数字を把握できるようにしています。数字の傾向の読み取りや、その数字をどういう結果として解釈すべきかなど、全体を把握できる力です。各スタッフへの教育でも、それぞれのポジションに数字を交えたアドバイスをするように心がけています。

あと、発展途上国の教育関連のことに関わりたいという夢はブレないと思います。CLANEを通して様々なことを経験して、一生のうちに叶えたいです。

ーーこれからファッション業界を目指す人に向けて、業界の先輩としてメッセージをお願いします。

一見、華やかな世界に見えますが、裏では体力仕事など華やかではない部分も多いお仕事です。ただ、どこの業種よりも人と人を通して色々な勉強ができ、自分自身と向き合うことができる仕事だと思います。販売員のお仕事が少しでも気になってくださっているのであれば、ぜひ一歩踏み出して頂きたいです。

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三谷温紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

2000年、埼玉県生まれ。青山学院大学文学部卒業後、インターンとして活動していた「READY TO FASHION」に新卒で入社。記事執筆やインタビュー取材などを行っている。音楽、ドラマ、食、本などすべてにおいて韓国カルチャーが好き。

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