人気繊維商社、徹底比較!

株式会社READY TO FASHIONは2020年7月16日(木)〜22日(水)の1週間、ファッション・アパレル業界のキャリア・市場の動向などを知るライブ配信イベント「READY TO FASHION LIVE WEEK」を開催しました。

本イベント内で業界を牽引する14社と共に各日で行った、EC・スタートアップ・業界動向・キャリア・繊維商社の5つのテーマについてのオンライントークセッションの様子をレポートしていきます。

今回のテーマは「人気繊維商社、徹底比較!」。

繊維専門商社を代表する企業3社が登壇。繊維商社の基礎情報から各社の取り組みについて伺いました。


パネルディスカッション登壇者

石川博規(瀧定名古屋株式会社 人事課)

1994年入社。レディーステキスタイルを20年以上、企画・生産・販売を経験。東京地区担当を15年以上、大阪地区担当を5年以上担当。2年前に人事課へ異動。新卒採用、中途・派遣採用、教育・研修を主に担当。営業経験を活かし、仕事の面白さ、厳しさ、を伝え採用活動している。

堀内凛太朗(豊島株式会社 人事部 採用チーム)

学生時代は同志社大学に在学。幼少期からサッカー一筋で、同期や先輩後輩には約20名近くのJリーガー中には日本代表もいる。サッカー時代ではなれなかった日本代表になるために2019年、豊島に入社。一年目から人事部採用チームで採用担当。誰よりも近い立場で会社の魅力をお伝えします。 YouTubeでは昨年内定チャンネルに出演。

森康智(タキヒヨー株式会社 東京総務課 採用プロジェクトチーム)

2012年東京大学文学部、2014年東京大学大学院を卒業後新卒でタキヒヨー入社。IR・広報室を経て現部署にて新卒採用、採用広報全般を担当。国家資格キャリアコンサルタント、PRSJ認定PRプランナー。


そもそも繊維商社って?

──まずは繊維商社とはどのような業種なのでしょうか?

石川:まずは繊維商社についてご説明いたします。そもそも商社とは、「輸出入貿易を中心として世界的な規模でモノを仲介する業種」と言われており、世界中から良いモノを仕入れてきて、そこにマージンを乗せて売っています。

商社も大きく分けて総合商社と専門商社の2種類があります。総合商社は例えて言えばラーメンからロケットまで、非常に幅広い分野の商品を扱っている商社です。それに対して、専門商社は得意な分野だけを扱っている商社になります。

総合商社は七大商社と呼ばれるような大手がありますが、専門商社は鉄鋼や食品、機械、燃料などがあり、本日登壇した3社は繊維の専門商社に該当します。商社を目指される方のなかで、世界を股に掛けて大きなビジネスをしたいと言う人は総合商社に向いているかもしれません。また、自分が好きなことにこだわりを持って、その分野のスペシャリストを目指したいと言う人は専門商社に向いているかもしれません。

参考記事↓

堀内:専門商社は特化した分野で働いていますので、イメージとしては1から10まで働くことができる点が特徴かと思います。総合商社はグループ会社などと連携しながら業務にあたることが多いかもしれませんが、専門商社は企画段階から最終的にお客様に届けるまでを担当するので、一通りにビジネスをやり遂げたいという人にはやりがいや魅力を感じられるのではないでしょうか。

森:そもそも商社は日本固有のビジネスだと言われることがよくあります。総合商社は資本を特定の企業や業界に投下することで利益を回収することもあるため、投資銀行に近いとも言われています。その点で見ると、辞書的な定義としての商社が残ってるのが専門商社だと思っています。

本日登壇した3社は繊維、服などのモノを中心に勝負し続けていて、堀内さんがおっしゃる通り、1から10までサプライチェーン全体に関われる点が専門商社の定義であり、面白さだと考えています。

石川:お2人がおっしゃる通り、企画生産販売全てに関わりながら仕事ができるのが一番の魅力であり、面白さではないかなと思いますね。

繊維業界の黒子に徹する瀧定名古屋のビジネス

──皆様ご説明ありがとうございます。ここからは、ご登壇いただいた皆様の企業の概要や事業内容について伺います。まずは瀧定名古屋の石川さんからお願いします。

石川:瀧定名古屋株式会社はいまから156年前、江戸時代末期の1864年創業の呉服の生地問屋として始まった会社です。瀧定名古屋という非常に変わった名前ですが、これは創業者の瀧定助(たきさだすけ)の名前から屋号をとっています。

瀧定名古屋株式会社

瀧定名古屋はオーナー企業にあたり、代々瀧という者が代表を務めています。事業所は愛知県名古屋市中区にあり、連絡所を東京、大阪にも置いています。瀧定名古屋に就職していただくと、名古屋で勤務しながら出張ベースで東京や大阪、あるいは現地法人のある上海、アムステルダム、ホーチミン、カンボジアなどに出向いていただきます。

資本金は15億円、自己資本比率が50%を超えています。商社で自己資本比率が50%を超える企業は少ないため、瀧定名古屋は比較的経営が安定してるということが言えるかと思います。従業員は約600人、男女比率はおよそ1:1です。売上高は2019年度で約629億円。1人あたり1億円以上の売上を持っているので、経営効率も悪くないかと思います。

営業部門では、テキスタイルとアパレルの2分野を扱っています。アパレルではメンズとレディースの両方を扱っており、メンズはドレスラインを中心に、レディースは幅広い年齢を対象に展開しています。

テキスタイル部門も同様にメンズとレディースの両方を扱っており、メンズでは国内一のシェアを誇っています。特に、スーツ素材は国内の7割近くのシェアを持っているので、当社の生地が使われたリクルートスーツを着ていられる方もいるかもしれません。

ほかにも国内では綿や合繊など、中国でウールを韓国で合繊をものづくりしながら、ヨーロッパでインポート素材を仕入れつつ、国内のアパレル企業に生地を売る仕事をしています。

レディースの素材のバリエーションはメンズより多いので、プリント、ジャカード、レースあるいはジャージなど幅広いテキスタイルを扱っており、メンズ・レディースそれぞれのテキスタイルをヨーロッパやアメリカ、アジア圏などの海外に販売する事業も行っています。

冒頭で商社の定義として挙げた仲介業を瀧定名古屋では基本的に行っておりません。我々はメーカーではないため自社工場を持っていませんが、あらゆる情報とものづくりのノウハウを持っています。お客様に生地やアパレル製品の企画を提案して販売するため、企画提案型の商社と言えます。

瀧定名古屋は典型的なBtoBの企業なので主な取引先は、流通業、小売業、メーカー、百貨店、量販店、専門店、通販、アパレル問屋、生地問屋など多岐にわたります。業界外からだと事業内容がわかりづらいかもしれませんが、国内のほとんどのアパレル企業と直接的、あるいは間接的に生地または製品でお世話になっていると言えるかもしれません。瀧定名古屋はこの繊維業界の中で黒子に徹して商売をさせていただいてます。

サステナビリティに長年向き合い続ける豊島の取り組み

──続いて、豊島の堀内さんよろしくお願いします。

堀内:豊島株式会社は今年、創業179年目をむかえております。いままでもリーマンショックなどの大きな経済的な危機に直面しつつも幾度も乗り越えてきました。豊島には建設部門、雑貨・EC部門などもありますが、素材部門と製品部門を大きな軸として「専門力 × 想像力」をテーマに事業を展開しております。

豊島株式会社

素材部門では糸や羊毛、綿花など川上の原点から商売に携わりながら、製品部門で皆様が店頭で手に取るような商品を届けております。最近では雑貨・EC部門にて、オンラインプラットフォームを立ち上げてEC施策にも力を入れています。

繊維業界内でサステナビリティが注目されていますが、豊島は1980年代からテンセル(再生セルロース繊維)の使用開始するなど、ここまで注目される以前からサステナブルな施策に取り組んでまいりました。

2005年からは国内最大級のオーガニックコットン普及プロジェクト「Orgabits」の開催、近年では廃棄食材を再利用して生地の染色などに応用するプロジェクト「FOOD TEXTILE」や生産工程の水使用量を従来の3割程度に抑えた「サステナブルデニム」の製造なども手掛けております。

2019年10月にはWWFジャパンと業界初のパートナーシップ契約を締結、今年はクラウドファンディングプラットフォームのMakuakeとタッグを組み無駄のない生産に取り組みMakuakeアワードを受賞するなど、今後業界内で活躍できるよう率先して取り組んでおります。

豊島株式会社のMakuakeでの取り組み

採用活動に関しては、広報ツールの活用にも注力しております。豊島では採用アプリを運営しており、採用パンフレットや人事ブログ、内定者紹介、採用情報に関する動画配信などの複数のコンテンツを展開しております。昨年からInstagramにも力を入れておりライブ配信などを通して採用情報を発信しております。ほかにもtalentbook(旧PR Table)にて、社員のパーソナルな情報を公開しているので、応募を検討されている方はぜひ見てみてください。

豊島株式会社のtalentbookでのストーリー一覧

就職市場で高く評価されるタキヒヨー

──最後に、タキヒヨーの森さんお願いします。

森:タキヒヨー株式会社は269年の社歴を持つ江戸中期創業の歴史の長い会社です。繊維商社では少数派になりますが、タキヒヨーは上場企業です。本社は瀧定名古屋さん同様名古屋にあり、国内では東京と大阪、海外には欧米やアジア圏を中心に8つの支店を置いています。

タキヒヨー株式会社

タキヒヨーをご存知ないという方もいらっしゃるかもしれませんが、東洋経済掲載の2021年前半の新卒就職ブランド調査で、全業界・企業全体で91位にランクインしております。100位以内に入った商社は10社しかなく、繊維業界の企業は上位にほとんど入っていません。項目別ランキングでも「魅力的な社風である」で全体2位、「経営者の理念に共感できる」で全体9位、「グローバルな企業である」15位にランクインしています。ほかにも他社採用サイトにてアクセスランキング1位を獲得するなど、就職市場では高い評価をいただいております。

タキヒヨー株式会社

タキヒヨーでは就職希望者を対象として、染色工場での染め物体験や店頭でのマーケットリサーチ体験、商品企画体験ができる1日体験プログラムや前年度内定者との交流会など、複数のイベントを実施しております。そのほか具体的な企業説明や採用情報に関しては、READY TO FASHIONのライブ配信をご覧ください。

タキヒヨー株式会社 22卒 新卒向け WEB説明会動画

繊維商社は主に川中に位置するとされていますが、タキヒヨーでは、糸、生地、服をつくるところから、服を売るところまで川上から川下まで対応した部署をそれぞれ用意しております。

系・生地に関しては、タキヒヨーではイギリスの産業革命当時に使われていた型をベースとする古いイギリス式紡績機を使用して、膨らみのある糸・生地を生産しております。世界最高峰のテキスタイル見本市場である「プルミエール・ヴィジョン」でもタキヒヨーが生産した生地が評価されており、国内外の有名ブランドでご使用いただいております。

服に関しては、東京ディズニーランド、ディズニーシーで販売されているベビー服の多くはタキヒヨーが企画・生産しております。ディズニーのほかにも機関車トーマスやPEANUTSなどのキャラクターライセンスを持っているため、ベビー・キッズアパレルの卸売売上で日本一となっております。

また、社内に120人以上のデザイナーを抱えており、取引先企業と共同でアパレル製品の企画・デザイン・生産を手掛けています。ゴルフウェアブランド「ZOY(ゾーイ)」や韓国ブランド「WACC(ワック)」の展開、セレクトショップ「Melangetop(メランジトップ)」の運営をしながら年間約5000万枚生産しているので、タキヒヨーがつくった服を着ている方も多いかもしれません。

近年の取り組みとしまして、タキヒヨーではサステナブルチームという専門の部署を設けました。デニム生産時に出てしまう残布を再利用して糸・生地・雑貨をつくる「THE NEW DENIM PROJECT」など、社会課題の解決とビジネスの両立を目指したサステナブルな取り組みを進めております。

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秋吉成紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

ライター・編集者。1994年東京都出身。2018年1月から2020年5月までファッション業界紙にて、研究者インタビューやファッション関連書籍紹介記事などを執筆。2020年5月から2023年6月まで、ファッション・アパレル業界特化型求人プラットフォーム「READY TO FASHION」のオウンドメディア「READY TO FASHION MAG」「READY TO FASHION FOR JINJI」の編集チームに参加。傍ら、様々なファッション・アパレル関連メディアを中心にフリーランスライターとして活動中。