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【プロジェクトストーリー#3】危機を乗り越え、顧客のPBへの参入に導いた逆転劇
「来シーズンから、この商品はもう扱わないかもしれません」
アパレル業界では、担当バイヤーの交代や顧客企業の方針転換によって、
長年続いた取引が突然、終わりを告げることがある。
それは、会社の売上の柱を失いかねない、大きなリスクだ。数年前、私たち丸久も、まさにその危機に直面していた。
これは、一人のマーチャンダイザー(MD)が、取引終了寸前の崖っぷちから、
いかにして顧客最大のプライベートブランド(PB)へ参入できたのか、
その粘り強い挑戦の物語である。■丸久のモノづくりを体現する、若きMD
物語の主人公は、衣料事業部で子供服のMDを務める1人の社員。
専門学校でアパレルを学び、新卒で丸久に入社した彼は、
アシスタントとしてキャリアをスタートさせた。
そこでデザイナーや営業、工場と連携しながら、仕様書の作成から生産管理、
コスト算出に至るまで、モノづくりの基礎を徹底的に叩き込まれた。顧客の要望を直接ヒアリングし、その想いを最適な形で製品に落とし込み、
工場の生産ラインに乗せるまでを一貫して担う。
彼は、まさに丸久のモノづくりの中心を担う存在へと成長していった。一方で、当時の丸久は大きな変革期を迎えていた。
2011年にバングラデシュに設立した自社工場という新たな「武器」を
手に入れたのだ。
これにより、単なる価格競争力だけでなく、独自の品質や機能性を追求した、
より付加価値の高いモノづくりが可能になっていた。
この新たな武器が、後に絶体絶命の危機を救うことになる。■崖っぷちからの挑戦。「危機」を「好機」に変える思考
最大の試練は、彼が入社して数年が経った頃に訪れた。彼が担当していた大手顧客のベビー・子供用品専門店の担当バイヤーが
交代になるタイミングと重なり、長年取り扱いのあった主力商品が、
ラインナップから外される可能性が浮上したのだ。これまで築き上げてきた関係性や実績がリセットされ、
取引そのものが終了しかねない。
まさに、会社の屋台骨を揺るガスほどの崖っぷちの状況だった。しかし、彼は諦めなかった。
彼はこの危機を、新たな関係を築くための「チャンス」と捉え、
すぐに行動を開始する。まずは、新しく就任した担当者の元へ足繁く通い、
これまでの取引実績や丸久が持つ強みを丁寧に説明。
そして、過去の実績だけでなく、これから丸久がどのような価値を
提供できるかという未来のビジョンを提示した。
対話を重ねる中で、顧客が本当に求めているものは何か、
その本質を探り出していった。見えてきたのは、「価格」だけではない、「品質」への強いこだわりだった。
■丸久の「武器」を最大限に活かした提案
顧客の真のニーズを掴んだ彼は、すぐさま行動に移す。
白羽の矢を立てたのは、丸久が誇るバングラデシュの自社工場だ。「この生産背景を最大限に活用すれば、必ず顧客の期待を超えるものが
作れるはずだ」彼は、デザイナーや工場の技術者と一丸となり、新たな素材開発に着手。
「丈夫で、毛玉になりにくい」といった、子供服に求められる機能性を
徹底的に追求した。何度も試作を繰り返し、コストと品質の最適な
バランスを探り続けた。そして、完成した新しい機能性素材。
彼は、その魅力を伝えるためのプレゼンテーション資料を練り上げ、
熱意を持って提案を続けた。目指したのは、単なる商品の継続ではない。
顧客のプライベートブランド(PB)の根幹を担う
パートナーとしてのポジションを獲得すること。
彼のその熱意と、提案の具体性が、ついに担当者の心を動かした。■取引終了寸前から、最大のパートナーへ
彼が執念で開発した新しい機能性素材は、
正式にPB商品として採用されることが決まった。この商品は、顧客と市場から瞬く間に高い評価を受け、年々取り扱いが拡大。
かつて取引終了の危機にあった同じ顧客との間で、
今では「一番大きい売上」を誇る、文字通りの主力商品へと成長を遂げたのだ。崖っぷちの状況から、顧客にとってなくてはならない最大のパートナーへ。
彼の起こした逆転劇は、彼一人の力だけでは成し遂げられなかった。
彼の挑戦を信じ、後押しした上司や、一丸となって最高の製品作りに
協力してくれた仲間、そして、年齢や社歴に関わらず、
良い提案であれば積極的に採用し、挑戦を後押しする丸久の社風が
あったからこそ、成し得た成功だった。私たちは、単に商品を売るのではない。顧客が抱える課題に対し、
自社の強みである生産背景や開発力を駆使して、最適な解決策を提案する。この物語に共感し、困難な状況でも決して諦めず、自らの手で新たな成功を
掴み取りたいというチャレンジ精神を持った仲間を、私たちは待っている。アパレル 営業 MD グローバル 市場開拓 挑戦を後押し ものづくり 採用情報
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