• RESORT 2023 COLLECTION

    “Show Your Wounds”
    汝の傷を見せよ
    by Joseph Beuys

    今季私たちはドイツの芸術家ヨーゼフ・ボイスからインスパイアを
    受けてコレクションを製作しました。

    世界中でファッションがより商業化していく中で、私たちはこの明
    快でコマーシャライズされたファッションの世界に疑問を抱き始め
    ていました。私自身がファッションに導かれたのはそこに内在する
    テーマやコンセプトの表現であり、その表現過程におけるクリエイ
    ティビティーだったからです。
    私はある日ヨーゼフ・ボイスについて読んでいる時に彼の芸術に対
    する姿勢やその作品に内在するメッセージに強く心を動かされまし
    た。何故なら彼が作品に込めたのは答えではなく、社会への疑問だ
    ったからです。それはメッセージやコミュニケーションがベースに
    なったものであり、私が現在のファッションデザインに一番必要と
    考える事柄でした。

    ボイスは世界大戦の後、心と身体に多くの傷を負いました。そして
    彼が芸術家として活動を始めてからは一貫して“傷とその癒やし”が
    テーマになっていったと感じます。その様々な彼のアクション(彼
    の作品は多くの場合アクションと呼ばれるパフォーマンスであった)
    について考える時にそこには沢山の学びがありました。傷とは何な
    のか?傷を受容するとはどの様な事なのか?など。彼はその多くの
    メッセージをメタファーや隠喩を通して表現しました。

    私たちはファッションを通して自らの思想や決意、様々な姿勢を纏
    う事が出来ます。またその様な文脈を内包したコレクションを通し
    て様々なコミュニケーションが生じうると信じています。そこで私
    たちはボイスがその芸術活動で取り入れた様にコレクションにもっ
    とメッセージやメタファーがレイヤーされて良いのではないか?と
    いう考えに行き着きました。表現がその美しさに限定される事なく、
    様々な思想や造詣にリンクしていけたら素晴らしいと感じています。

    今シーズン私たちがデザインしたカットレースはドット柄と傷のよ
    うな形状の柄が混ざり合っています。これは”傷は美しさへ変容出来
    る”というメッセージから生まれたもので、傷の受容と自己肯定のメ
    タファーです。沢山のアイテムに使用されたスパンコールもデザイン
    の実験段階で製作した穴を象徴しています。つまり傷は考え方によっ
    ては美として受け入れられるという意味です。

    また今シーズンのグラフィックは花や黒曜石が液体に沈んでいるイメ
    ージで製作されています。これはvisibleとinvisibleというテーマで製
    作した柄で、私たちの視点のダイバーシティを表現したものです。自
    分が見えている物も他人には違って見えるという事象を隠喩したもの
    です。その他にも多くのメッセージとメタファーがこのコレクション
    には内包されています。

    私たちはコレクションを通して様々なスタイルや美しさ、新しさ等を
    纏う事が出来ますが、同時にそのアイテムに込められたメッセージや
    メタファーを纏う事も出来ます。そう考える時に洋服は女性をただ美
    しさへ導くだけでなく、その人の社会への姿勢や決意、また芸術への
    造詣や理解をも表明出来ると言えるのです。
    現代の様々な商業主義にあふれるファッションにあって、芸術性、象
    徴性、メタファー等が女性を鼓舞し続けますように願っています。

    AKIRANAKA collection designersbrand アキラナカ コレクション デザイナーズブランド

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