株式会社ジャストシステムが『モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2017年8月度)』の結果を発表。本記事では、このレポート調査から、ファッション業界にとって、大切な要素である”インスタグラム(Instagram)”とそのECを用いた新サービス「シーナウトウキョウ(@SeeNowTokyo)」を紹介する。
本調査の中でこの業界にとって最も関係のある、「ブランドを探す際に利用するサービス」についての調査は以下の通り。

調査結果の概要

Q.「自分が好きな企業やブランドを探す際に最もよく利用するサービス」は?
※対象:10代のスマホ保有者

1位「Google」(40.4%)

2位「Instagram」(19.2%)

3位「Twitter」(15.2%)

若い世代のインスタでの検索率が高い

結果からわかるのは、「ファッションとの相性◎」=「Instagram」という認識がありながらも、検索では「Google」にはまだまだ及ばないということだ。しかし、全世代(15歳~69歳の総合)と比べてみると、

1位「Google」(46.0%)

2位「Instagram」(6.2%)

3位「Twitter」(5.1%)

(全世代の利用率について)

10代が検索の際に、Instagramを使う割合は、3倍以上にとなっている。2016年に話題になった記事「Googleは使わない、SEO対策しているから」でインスタ有名人のGENKINGさんが以下のような発言をしているように、若年層のグーグル離れと、SNS上での検索をするようになっていることが数字として確認できる。

「一昔前ならGoogleで検索して化粧品のランキングを見ていたが、いまは見ません。結果にウソが多いのも若い子は知っている。自分が使っている化粧品が良くなくても、(ネットの)評価がいいと『ウソだな』と思う。Instagramは個人がやっているからウソがない」
参考記事
Googleは使わない、SEO対策しているから——Instagram有名人のGENKINGが語った10代の「リアル」

若者や、ファッション好きがInstagram上でファッションに関わる情報を得ていることは、すでにブランド側も理解しており、これを有効に利用し、消費者(ファン)とコミュニケーションをとっていることはわざわざ触れるまでもないだろう。

インスタグラムを活用した新サービスとは?

さて各ブランド、様々な思考を凝らしているそんな中、今年の東京コレクション(Amazon Fashion Week TOKYO 2018ss)では、ちょっと変わった、先進的な取り組みが行われているので、こちらを紹介する。

今年からお披露目となった”コレクションとECを繋ぐ”新サービス「シーナウトウキョウ(@SeeNowTokyo)」だ。

@SeeNowTokyo

では、一体どのようなことができるのだろうか。詳しくは、「シーナウトウキョウ(@SeeNowTokyo)」のサービス紹介サイト実際のサービスサイトインスタグラムアカウントでチェックできるのだが、分かりやすく、ピンとくる言葉で表現をすると、”インスタグラム/メディア連動の予約ECモール”のようなサービスではないだろうか。

【ブランド側】「展示会/ショー」「受注」「生産管理」「納品」

【シーナウトウキョウの運営会社側】「ささげ(撮影/採寸/原稿)/取材」「集客」「決済」「配送代行」

具体的な取り組みとしては、上記のようになっており、ブランドにとってはリスクなしの予約に特化した自社ECを持てるようなイメージだ。さらに、自社ECサイト上には、「予約」できる機能だけでなく、「インスタ連携機能」「メディア機能」がついている。

インスタ連携/メディア連携とは

さて、一体何がインスタ連携なのかというと、大きく分けると以下の2つとなっている。

①ブランド名の#がついている投稿を、フィード形式で表示
②インスタで「#ブランド名+@seenowtokyo」をつけて投稿すると、①のフィード上の写真に自動でアイテム購入ページへ移行するタグが挿入される。

つまり、ブランド側にとっては、インスタグラム上で「#ブランド名+@seenowtokyo」をつけると、自社ECの商品カタログを自動で作成できるというメリットがある。

最後に解説するのは、メディア機能で、こちらも大きく以下の2つとなっている。

①シーナウトウキョウの運営会社が、デザイナーに取材
②fashionsnap.comのコレクションレポート記事に、商品ページへのリンク挿入

本サービス最大の壁は、実際に見て、着ることができないという点ではないだろうか。更に言うと、コレクションで発表するアイテムは安くはない。この壁を越えるためにも、本サービス上では、商品だけでなく、作り手の気持ちやストーリーを発信。

さらに、ファッション業界の大手メディアfashionsnap.comのコレクションレポート記事と連携をしており、コレクションが発表された数日後には、このメディアを通じて、欲しいと思ったアイテムをすぐに予約購入ができるようになっている。

導入予定ブランド

以下のブランドの参加が発表されており、今後の展開に注目したい。

AKIKOAOKI (アキコアオキ)
ATSUSHI NAKASHIMA (アツシナカシマ)
Galaabend(ガラーアベンド)
KEISUKEYOSHIDA(ケイスケヨシダ)
MofM(Man of Moods)(マンオブムーズ)
MOTO GUO(モトゴー)
SOMARTA(ソマルタ)
TALKING ABOUT THE ABSTRACTION(トーキングアバウトジアブストラクション)
YEAH RIGHT!!(イェーライト!!)
And more…

さいごに

若者の検索が、「グーグル→Instagram」へ移行しつつある現状から、その流れをうまく活かした「シーナウトウキョウ(@SeeNowTokyo)」について紹介しましたが、ここで伝えたいのは、「ファッション業界→消費者」への情報の届け方が次第に変化しているということ。

検索のあり方や、コレクションが発表されてから消費者へ届くまでの変化など、まだまだ大きな流れではないが、今後ファッション業界を目指す若者や業界内の若手が、このような新しい動きをキャッチアップしていきながら、どのような選択をしていくのか、考えるきっかけになれば幸いだ。

READY TO FASHION MAG 編集部

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