「ささげ」とは

ささげとは、「撮影(つえい)」「採寸(いすん)」「原稿(んこう)」の頭文字を並べた造語のこと。

主にアパレル業界で使われることが多い用語で、ECサイトに掲載するための商品撮影やサイズの採寸、商品情報の文章作成を行う業務を指します。

ささげ業務の目的は、消費者がECサイトで商品を購入する際の必要な情報を提供すること。

一般的にアパレル企業内のEC担当者が担う業務ですが、物流のアウトソーシング(業務委託)を行う企業がささげ業務まで一貫して請け負うこともあるようです。

ささげ業務が重要な理由

ECサイトの商品画像や説明文の良し悪しはECサイトの売り上げに少なからず影響を与えるため、ささげは重要な業務の一つ。質感やシルエットなどを的確に伝え、消費者に安心感を与えることで購入率をアップさせたり、返品やクレームをなくしたりする効果があります。

言うまでもなく、ECサイトでは実店舗とは異なり、写真とテキストのみで表現して消費者に購入してもらわなければいけません。

ECサイトで服を購入するハードルが高いと言われていた2000年前後と比較すると、現在はECサイトでの購入が定着してきていますが、商品の情報を正確に伝えるだけでなく、ユーザーの購買意欲を高める商品画像や説明文は必要不可欠です。

ECサイトに掲載する商品画像や説明文は、いわば店舗スタッフによる接客のようなもの。実店舗に例えると、撮影(=ディスプレイ)、採寸(=試着)、原稿(=スタッフの接客)のような役割です。

「ささげ」の歴史

「ささげ」という言葉が使われ始めたのは、ECサイトが台頭してきた2000年初頭

2005年頃にアパレルECサイトを運営する会社が、商品情報を作成する業務「撮影・採寸・原稿作成」を略して「ささげ」 と使ったのが始まりとされています

その後、同社が国内のアパレルメーカーと商談する中で「ささげ」と言う言葉がアパレル業界の各社に広まり、認知されていったそうです。

今ではアパレルEC業界を中心に言葉の認知が進み、業界用語として定着しています。

ささげの業務内容

撮影

名前の通り、ECサイトの商品ページに掲載する商品画像の撮影を行います。

実際には、撮影だけでなくレタッチや実際の商品との色合わせなどの業務まで含まれます。

また、商品の長所を引き出すために、平置きにするのかやモデル・マネキンに着せるのかなど、どんな置き方で撮影するのかも決定するなど、商品ページに掲載できるまでの一連の作業を担っています。

ECページの画像は、素材や透け感、裏地など機能性や装飾が分かる詳細情報を伝えたり、利用シーンを想起させたりすることが重要。

一つの商品に対して複数枚の商品画像を撮影するような、掲載する写真の枚数と種類も大切。最近では静止画だけでなく動画を撮影することもあるようです。

採寸

商品の着丈・身丈・裾幅・身幅・肩幅といった商品のサイズを計測して数値化する業務です。

ユーザーに正確な情報を伝えるための必須業務ですが、配送に使用する梱包資材の大きさや、送料を決めるためにも採寸が必要になってきます。

また、同じ表記でも商品によってサイズ感が異なるのはNG。採寸方法を統一させるなど、実物とイメージの差をより小さくするための工夫も求められます。

原稿

商品ページに記載するタイトルや説明文、補足情報などのテキストを作成します。

原稿の業務では、商品画像だけでは伝えきれない情報をテキストで補い、ユーザーに商品の魅力を伝えることが必要。

サイズや使い方などの商品情報を正確に漏れなく伝えるのはもちろんのこと、目を引くキャッチコピーや、検索キーワードを盛り込んだSEO(検索エンジン最適化)を意識した商品タイトル、思わず買いたくなる説明文などプロモーションの要素も求められます。

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ささげに必要なスキル

基本的な撮影スキル

カメラやライトなどの機材の正しい使い方と基本的な撮影技法が必要です。

企業によって異なりますが、専門的なカメラの知識がなくても、商品イメージが伝わる写真を撮影できればOKというレベルのアパレル企業が多いようです。

また、加工や編集なども担当する場合はPhotoshopなどの画像編集ソフトのスキルがあると良いでしょう。

スケジューリング能力・業務の正確さ

商品の発売日から逆算し、撮影などのスケジュールを組む必要があるため、全体を見通すスケジューリング能力も重要です。

また採寸時には、正確さやスピーディーさが必要。業務フローや採寸方法を確立してマニュアル化や統一化を図るといった工夫を行うことも重要です。

ライティングスキル

原稿作成には5W1Hを意識した文章力が必須です。コピーライティングやSEOライティングのスキルがあれば、より消費者に訴求した商品ページを作成できるでしょう。

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三谷温紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

2000年、埼玉県生まれ。青山学院大学文学部卒業後、インターンとして活動していた「READY TO FASHION」に新卒で入社。記事執筆やインタビュー取材などを行っている。音楽、ドラマ、食、本などすべてにおいて韓国カルチャーが好き。