【レポ|2/3】大手セレクトショップ3社の人事が本当に欲しい「業界に必要な若手の力」とは

2017年8月27日(日)、渋谷レッドブル本社にて若者がファッション業界に繋がるためのイベント『READY TO FASHION OFF LINE』が開催。本イベントでは、将来ファッション業界で活躍することを志す若者に向けて、業界の様々なポジションで活躍する方を招いたパネルディスカッションを実施。三つのテーマで行われたパネルディスカッションを第三回に分けてレポートしていく。

関連記事:

【レポ|1/3】ファッション業界を変えるスタートアップ3社が語る、「いま業界に必要なイノベーションと人材」
【レポ|3/3】インフルエンサーとファッション業界の正しい付き合い方とは

 

2018/02/10 (土) ファッション業界に特化した採用イベント

「READY TO FASHION OFFLINE 002」開催決定!

 

第二回は「今、ファッション業界が求めていること」をテーマに、大手セレクトショップ3社の人事担当が「業界が求める人材」について語った。

グローバルで展開するファストファッションの興隆や、インフルエンサーの台頭などによる消費に対する価値観の変化、ECやメルカリなどのCtoCアプリといった販売チャネルの多様化など、大きな変革期を迎えているファッション業界。このような状況の中で、業界はどのような人材を求めているのだろうか。

 

登壇者一覧:
・ 株式会社ベイクルーズ 人財統括 執行役員 梶村 努
・ 株式会社ササビーリーグ 人事・労務室 リクルート・プロモーション部 部長 笹本 薫
・ 株式会社ユナイテッドアローズ 経営戦略本部 人事部 採用リーダー 佐藤 勇作
モデレーター:クリーデンス 宮本 歩

人事からみる、ファッション業界に進む若者に今、必要なこと。

 

株式会社ベイクルーズ 梶村氏(以下、梶村): 3年前からベイクルーズグループの人事を担当している梶村と申します。これから業界に進もうと考えている方、迷っている方にお伝えできることは、「自発的に行動して、どこにどんなキャリアの可能性があるのかを、自分の五感で体感して欲しい」ということ。SNSが発達して様々な情報を収集しやすくなった時代だからこそ、気軽で身近なファストファッションだけではなく、ラグジュアリーブランドや、セレクトショップなどのお店に実際に足を運んで接客を体験し、商品を手にとって着てみてください。たったそれだけで、自分が本当の意味で知らなかったことを知ることができます。できることなら気になる企業ではインターンシップに参加をしてみて、どんな環境でどんな仕事をしているのかを体感してみてください。心理学的にも、情報に触れるだけより体感することが、クリエーションや成長につながると言われています。

今日ここに来ている方は、既に自発的に行動できています。そうすることで気づきが生まれ、自分の頭の中だけで考えるだけではなく、違う角度で自分を知ることで、自信に繋がると思います。

本格的に就活が始まる頃には、自信を持って自分の言葉で語れるようになっているはずです。今すべきことは、積極的に自分の頭で考え足で動いて、体感するということです。今自分がいる世界だけで可能性を留めないで、もっと視野を広げてみて欲しいなと思います。

 

株式会社ササビーリーグ 笹本氏(以下、笹本):ロンハーマンやアフターヌーンティー、シェイクシャックといった衣料・飲食・ビューティー分野の事業会社を展開するサザビーリーグの笹本です。私の座右の銘の一でもあるのですが、「ファッションはパッション」です。情熱があれば知識や経験は関係ありません。好きという気持ちがあれば、とことん業界の中で暴れて欲しいなと思います。

 

息子が23歳なのでよく分かるのですが、この年齢ってコンプレックスの塊なんですよね。自信を持ってないし、マイナスのイメージしか持たれない。でもマイナスの力は必ずプラスに転じられます。例えば、販売力のある人はコミュニケーション能力が高いかもしれないが一個のことに集中できない。一方、無口で真面目な人は販売力こそないものの、ストックの整理は上手い。間違いなく、マイナスの側面見方を変えればプラスに転じることはあります。

今は情報が多すぎて悩むかと思いますが、福利厚生や休日の数、給料といったことで仕事を決めないほうがいいと思います。好きなことを貫いていれば必ず形になるはずです。好きこそものの上手なれ。皆さんの人生は皆さんが作るので、やりたいことをやりましょう。

 

株式会社ユナイテッドアローズ 佐藤氏(以下、佐藤):私からは2つだけお話しさせていただきます。まず、ファッション業界・アパレル業界を目指すのであれば、そこがどういう業界かを理解することが大事。

今お越しいただいている方は業界で活躍したい方が大半だと思いますが、そもそも業界って何?という方が多いと思うので、簡単に業界構造を説明します。業界は主に3つに分かれていて、川のように例えられています。

繊維・テキスタイルを作るメーカーが川上、その素材を使って服を作るアパレルメーカーが川中、そして出来上がった商品を売る、我々アパレル小売業と呼ばれる川下の3つで成り立っています。

 

なぜこれを説明したかというと、ファッション業界は単一的に見えるけど、実は様々な仕事で成り立っています。ぜひ多角的に業界を見て、自分の仕事を選んで欲しい。それを知った上で、自分が何をしたいのか、できるのかを選んで欲しい。それを考えた上で、自分にはどういう知識や経験が必要なのかを考えればいいと思います。

 

そしてここもポイントなのですが、「この仕事が自分に向いているのかどうか」を理解すること。向いているかどうかって後回しにしたり、考えてないことが多いのですが、向いていない仕事を一生懸命やっても楽しくなくなってしまい、結果自分のキャリアを無駄にしてしまう可能性がある。

好きな気持ちを大事にしつつ、向いているかどうかも天秤にかけて仕事選びをして欲しいですね。学生の方はファッション業界が華やかそうだからといって入りたがる傾向がありますが、仕事観という意味できちんと整理整頓した上で来ていただいた方がいいのかなと思います。

もう一つは、販売という仕事に対する理解です。学生の方にとって販売職は業界のスタート地点、辛い仕事というイメージが大きいかと思います。業界への理解が深まっていない大きな理由だと思うのですが、ファッションビジネスって、突き詰めれば詰めていくほど小売業でしかないんです。どんなにいいブランドでも、お客様に買ってもらわなければ意味がないので、売ることはとても大事な要素。販売というポジションは本来評価されるべきポイントなのですが、軽く見られることが多く、採用をしている身として非常に残念だなと思っています。販売という仕事に対して、もっと理解を深めていただければ可能性も広がるのかなと思います。

 

 

今後のアパレル業界の課題 / 若者に期待すること

 

梶村:課題はたくさんあるのですが、業界の本質的な課題は“クリエーション”に尽きると思います。同質化は、各社がクリエーションを怠った結果だと反省します。クリエーションを怠るからお客様の心が動かない。購買行動に繋がらない。

今業界は変化の真っ只中。マネジメントが一流でもクリエーションが二流の会社は絶対に生き残らない。クリエイティブなことに一緒になって頑張れる個性や力をもった若者が入ってくることが、この業界の成長を握る鍵だと思います。

 

クリエーションといってもモノづくりに関してだけではなく、新しいブランドや業態の開発、プロモーションの仕方、接客販売でもクリエーションが求められます。顧客を理解して共感し、提案をする力が卓越している販売員がいますが、彼らも接客販売というクリエーションをしているのです。

人事という側面でも転換期を迎えていて、いかにクリエーションに焦点に当てて人財を集められるかが必須になっています。5年後10年後、ファッション業界のビジネスは予想もできないほど、大きく変化していくはずです。そんな課題がある中で皆さんに期待することは、ファッションを楽しんでいることはもちろん、様々なジャンルや分野に長けていることです。そのようなマインドや経験を持った若者と一緒に仕事をしていきたいと考えています。実際に弊社では3年前からスタートアップキャンプという新事業提案制度を取り入れています。店舗スタッフから提案してもらい、役員プレゼンを経て実際に新事業を始めるというものです。実例だと、アニメ好きのスタッフが提案したもので映画『東京喰種』とコラボしたTシャツの販売を行いました。自分の得意分野とセンスを掛け合わせた全く新しいものを生み出しています。

自分の得意分野がないという方は、それぞれ自信があると思う力を磨きましょう。行動力だったり、傾聴力だったり、共感力だったり。それが仕事に必ず活きてきます。

 

笹本:ネットでモノが買える時代に、アパレルは店に来てもらえる面白さを見直すべきだと思います。あの人から買いたいなと思わせることが大切。「人に人がつく」ということが、業界の中で課題なんじゃないかなと。アパレル各社が、スタッフに対していかに愛を与えられているか。それを感じたスタッフがお客様に愛を橋渡しすることができない限りは、実店舗である意味がないのではないかなと思います。

皆さんに期待したいことは、自分のオンリーワンを信じて欲しいということ。コンプレックスは武器になる。隣の人と比べて劣っていることを悲しむよりも、自分にしかない強みを磨いていきましょう。

 

佐藤:どんな業界や商品においても、トレンドや時代性はあります。その出発点は若い方。若いみなさんの感度をいかに発揮していくかということが、業界を盛り上げる上で大事なのです。なので、皆さんの「ファッション業界で働きたい」という気持ちや情熱は我々業界にとっても大事。

ただ、さらに発展するためにこれから皆さんに期待したいことは、「今と過去」を見て欲しいということ。ファッションってちゃんと歴史があるんです。海外のファッションビジネスの学校だと歴史の授業があります。物事には歴史があるので、今流行っているからかっこいいではなく、それが今の時代にあっているからかっこいいというのが理解できれば強いと思います。

 

やりたい・やらせたい子にチャンスが回ってくるので、その時にチャレンジできるようチャンスを掴める準備をしておきましょう。説明会でもよく言いますが、洋服以外にもアンテナを張ってください。ビジネスの観点で言うと洋服以外のことを理解するのはとても大切です。お客様に対して何をどのように提案すべきかは、世の中の動きを理解しなければわかりません。これはよく弊社の栗野※も言ってるんですが、ファッションビジネスには世の中の気分が反映されています。皆さんに期待したいことは、自分の好きなモノという小さなカテゴリーだけではなくて、その周りに興味を持って生活するだけでも、視点が変わるし理解の仕方が変わるし、仕事をする上で大切なことだと思います。

※栗野 宏文
UNITED ARROWS Creative Adviser ユナイテッドアローズ クリエイティブディレクション担当 上級顧問

 

Text:READY TO FASHION MAG編集部
登壇社プロフィール:
株式会社ベイクルーズ
人財統括/執行役員/チーフディレクター
梶村 努 (かじむら つとむ)
コンサルティング会社にて組織人事等のコンサルタント業務に従事した後、サービス業、IT企業で人事責任者を経験。2013年1月にベイクルーズへ入社し、2014年9月より人財統括 執行役員 チーフディレクター (現職) としてベイクルーズグループの人事を統括。オシャレのこだわりはフレンチをベースにしたスタイリングを楽しむこと。休日は時間があれば、房総で友人とゴルフをしたり、九十九里のビーチで愛犬とくつろぐ。
株式会社ササビーリーグ 人事・労務室 リクルート・プロモーション部 部長
笹本 薫 (ささもと かおる)
茨城県水戸市出身、1961年生まれ。1984年4月新卒一期生として設立6年目の株式会社トゥモローランド入社。10年営業、20年人事を担当する。2013年11月株式会社アダストリア入社。社長室兼特例子会社取締役を担当する。2015年4月株式会社サザビーリーグ入社。座右の銘「好きこそものの上手なれ」「ファッションはパッションである」
株式会社ユナイテッドアローズ 経営戦略本部 人事部 採用チーム リーダー
佐藤 勇作 (さとう ゆうさく)
1995年、株式会社ユナイテッドアローズへアルバイトとして入社。社員へ登用後、二子玉川店~原宿本店~二子玉川店~渋谷公園通り店~有楽町店にて、販売員として従事。2004年、全社教育担当として、人事部人財開発グループ (当時)へ異動。社内教育機関:束矢大學設立へ参画。その後、採用(新卒、中途)担当~労務担当を従事し、2017年6月より、現職。

 

2018/02/10 (土) ファッション業界に特化した採用イベント

「READY TO FASHION OFFLINE 002」開催決定!

 

ファッション業界と繋がる
この記事をシェアする
READY TO FASHION をフォローする