アパレル業界歴10年の私が服飾学生にもどったらやりたいこと

アパレル業界に限りませんが、学生のときにもっとこうしておけばよかったなということは誰にでもあることです。

学生のうちは無限に時間があるように思いますが、社会人になってからはじめてそうではなかったことに誰もが気付きます。

今回はアパレル業界で長く働く私が今になって思う、学生時代にやっておけばよかったことや学生のうちにやっておいて損のないことなど、アパレルに関することを中心に紹介します。

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服飾学生にありがちな生活

服飾学生にありがちな生活

学生のうちは時間があると言っても、服飾の専門学生は大学生が送る生活とは少し異なります。

想像を絶する量の課題が出る学校も多く、何日も徹夜する日が続くこともあります。

テスト前はこの課題の山にテスト勉強が重なり、泣きたくなる日も。

そんな課題の多さに退学してしまう人もたくさんいました。

少し課題に慣れてくると学外でも活動する人が少しずつ増えてきます。

自分のブランドをつくり、その服をつくって売ったり、ファッションショーを行ったりしている友人もいました。

このような感じで服飾学生の2〜3年は世の中にファッション以外がないような感覚で服にまみれ、あっという間に終わります。

今考えると人生の中で一番睡眠時間の少ない時期だったなと思います。

もっとやっておきたかったこと

もっとやっておきたかったこと

服飾学生時代、周りにいた大人はほぼ全員がアパレル業界の人でした。

今考えると当たり前のことですが、社会に出て、世の中がそういうわけではないと気付きます。

ファッションに集中するばかりで、自分の視野の狭くなっていることに気づけなかったのです。

留学

やっておけばよかったことの一つに学生時代の留学があります。

短期留学でも良いですが、休学して留学したり、高校を卒業したあとに留学して、そのあとに服飾の専門学校に入る方法もあります。

社会人になってからも留学はできますが、あまり長い期間行くことはできないので、良くて語学留学が無難な選択だと思います。

ですが、学生のうちに留学にいけば、自分の興味のある分野を外国語で学ぶことができます。

アパレル産業は川下でも川上でも海外と密接に関わっている業種が多くあります。

専門分野の仕事を英語やその他の言語で進めることができる能力はとても重宝されます。

ためになる資格を取る

在学中は資格試験のお知らせがたくさん耳に入ります。

それらを受験するのは良いことですが、就職活動や将来のことを考えずむやみやたらに受けても時間とお金の無駄になってしまいます。

私はいくつかアパレル系の資格を持っていますが、恥ずかしいことに就職活動や転職活動で役に立った経験がありません。

ただ、資格を取得することで有利になる場面は少なからずあるはずです。

受験する前に、将来の自分の進むべき方向性でその資格が役に立つのかしっかり確認してみましょう。

就職した先輩や、就職経験のある先生に聞いてみるのもおすすめです。

ためになるソフトを習得

服飾学生は手書きでデザイン画を書き、模造紙に実寸のパターンを書き、ミシンで服をつくります。

そのあとに内容をまとめるレポートも手書きで書いている人が多くいました。

パソコンとはほぼ無縁の生活を送りました。

アパレル企業に入ってから手作業で行う作業はほどんどなく、パソコンでの作業が中心になります。

デザイン画やAdobe IllustratorやPhotoshopで、パターンはアパレルCADで引きます。

ミシンは職場にない場合も多くほとんど触りません。

これらのアナログな方法を理解しないとパソコン上で作業が出来ないので、授業の意図はわかります。

ですが、学生のときに、社会に出てから使うソフトにもっと慣れておけばよかったなという後悔があります。

学生のうちにぜひ習得しておいてほしいソフトをご紹介します。

Adobe Photoshop

AdobeのPhotoshopは学生のうちに一番習得しておけばよかったと思うソフトです。

デザイナーは多くの人がPhotoshopでデザイン画を書きます。

イメージマップを作る際に重宝するのでマーチャンダイザー(MD)の人も使っている場合があります。

広告を打つ際にデザインを作るのもPhotoshopですので、広報(プレス・PR)の方もPhotoshopを使えると役立つ場面があります。

Adobe Illustrator

同じくAdobe製品でIllustratorも習得しておくと良いでしょう。

Illustratorは製品図を書いたり、縫製仕様書の図解部分を書くのに重宝するので、デザイナーやマーチャンダイザー(MD)で使っている人をたくさん見かけます。

手書きで作成するよりも何倍も早く作成できるので、習得しておくととても役立ちます。

また、Adobe製品はアカデミック版という機能は通常のものと同じで、価格が安くなっているものがあります。アカデミック版は学生しか購入できないので、学生の間に購入するのもおすすめです。

アパレルCAD

アパレルCADはパタンナーが使うソフトです。

パタンナーは一部のコレクションブランドを除くほとんどの企業でCADを使いパターンをい作成します。

CADが使えないとパタンナーの仕事が出来ないくらいの使用頻度です。

パターン作成、グレーディング、マーカー(パターンの各パーツを生地に落とし込む作業)などの作業をCADで行います。

CADの種類にはいくつかありますが、アパレル業界で主に使われているのは東レのクレアコンポというCADソフトです。

服飾の学校と言えど、学生全員が触れる数のCADはないと思いますが、進んで触ってソフトに慣れておくと良いでしょう。

企業の見学やインターン

企業の見学やインターンは本当にやっておけばよかったと後悔していることの一つです。

卒業して一つの企業に属すると、自分の企業のことはわかっても、他の企業のことは全くと言っていいほどわかりません。

他の会社は取引先や仕入先として関わりを持ちますが、それらは企業の外の顔です。

インターンとして働けば、その会社の内情を見ることができて、良いところも悪いところもわかります。

インターンができるのは学生の特権です。

仮に、インターンができなくても見学をさせてくれるところは沢山あります。

有名ブランドなどのコレクションブランドに就職できる人はほんの一握りです。

そのような企業を見学することは、とても視野が広がります。

企業側も優秀な新卒の人材がほいしいため、快く見学させてくれる企業がたくさんあります。

服飾学生として、日々の課題をこなしていると、自分がどんなことをしたいのか、どんな会社に入りたいのか、しっかり考える暇もなく就職活動の準備に追われて、そのまま就職活動に入ります。

今思えば、将来的に自分が何をしたいのか、そのために新卒でどんな会社に入りたいのか、しっかり考えておけばよかったなと思います。

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もっと勉強したかったこと

もっと勉強したかったこと

服飾の専門学校は洋服を作る実技的な教科と講義を元に知識を習得する教科に分かれています。

課題がたくさんでるのは実技の教科で、実際にデザインを考えて、パターンを引き、素材選定をして縫製するところまでを行います。

この実技の教科にどんどん夢中になり、講義の教科はおろそかになりがちです。

素材や染色について、実技はほとんど行わず、講義を聞きテストを受けるものばかりでした。

ですが、実際にアパレル業界で働いて、もっと勉強しておけばよかったなと思うものは大体はこれらの教科です。

素材について

卒業してから同級生とも素材についてもっと学んでおけばよかったよねと言う話になったこともあるくいらい、私だけでなく、多くの卒業生が思っていると言えるでしょう。

具体的には、綿ブロードやオックスフォードなど素材一つ一つの名称、ニットやカットソーの糸番手の名称や特徴などです。

また素材の混率などもアパレル業界で働き始めるとよく使います。

綿やポリエステルなどの特徴やどの生地がどんな混率でできているのかもっと勉強しておくと、スムーズに仕事ができます。

染色について

染色についても、もっと学んでおきたかったことの一つです。

染色はテキスタイル業に就かない限り、必要なさそうと思うかもしれませんし、実際に私も思っていましたが、アパレル業界で仕事をするときでも頻繁に使います。

何かのアイテムを作るときには、数色展開で作ることも多く、染色具合を確認するのも仕事の一つです。

カットソーの仕事でTシャツをつくるときには、プリントがあることも多くあり、その場合には染色の知識を使います。

学生時代はほとんど染色について勉強しませんでしたが、学んでおけば、役立つ機会がたくさんあっただろうなと思います。

まとめ

学生時代は得られるものがたくさんあるとても大切な時間です。

何かを見て感じること、考えることができる時間も、社会に出てからよりたくさんあります。

ですが、専門学校に通うと専門的な知識の習得に集中するあまり、それ以外のことを忘れてしまいがちです。

そのことに気が付くのは大抵が社会人になり、しばらくたってからです。

遠い将来を考えるのは難しいかもしれませんが、すこしだけ先のことに考えると今自分のやるべきことが見えてくるかもしれません。

ぜひ一度、自分の近い将来について、ゆっくり考えてみてください。

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morinagi

文化服装学院卒業後、勢い余って中国に就職。帰国後にアパレル系商社で生産管理や企画を経験したのち、現在はフリーランスでアパレル系の仕事をする傍ら、ライターとして活動中。就職活動をするときはいつも就職氷河期だったので、試行錯誤しながら戦ってきました。縫製工場が好きすぎて、見学させてもらうのが趣味です。そのためアパレル産業を工業的視点で解釈する癖があります。三種の神器はMacBook AirとJIKI SL-280と日中英服装技術用語辞典。

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