古着・リセール・2次流通の概要から、業務内容、働くやりがい、求められるスキルや素質、必要/有利な資格、キャリアプラン、求人情報までを細かく紹介します。

ファッション・アパレル業界の業種を徹底解説する連載シリーズ「アパレル業界業種ガイド」。

ファッション・アパレル業界への就職・転職を検討されている方は必見です。

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古着・リセール・2次流通とは?

古着

古着・リセール・2次流通とは、中古のファッション・アパレル商品、ユーズド商品、ヴィンテージ商品を取り扱う業種です。個人商店からチェーン展開している企業まで経営体制の規模も多種多様で、取り扱う商品のジャンルや年代、コンセプトも店・企業によって大きく異なります。

アメリカやヨーロッパ、場合によっては東南アジアや中東エリアなどの海外から中古のファッション・アパレル商品を買い付ける業態や、消費者が持ち込んだ未使用または使用済みのファッション・アパレル商品を買い取る業態など、商品の仕入れ方はさまざまです。

古着・リセール・2次流通の代表的な企業

株式会社ティンパンアレイ(「RAGTAG(ラグタグ)」など)

株式会社ティンパンアレイは、全国16店舗存在するデザイナーズブランドのユーズドセレクトショップ「RAGTAG(ラグタグ)」「rt(アールティー)」の運営を行う企業です。

株式会社ティンパンアレイ

株式会社プリマベーラ(「ドンドンダウン」など)

株式会社プリマベーラは、リユース事業を軸とする店舗運営事業、法人に向けてセミナーやコンサルティングを行う経営サポート事業の2つの事業を主力とする企業です。「ドンドンダウン」や「ベクトル」、「ゴールディーズ」などを運営しています。

株式会社プリマベーラ

株式会社ゲオホールディングス(「2nd STREET(セカンドストリート)」など)

株式会社ゲオホールディングスは、レンタルビデオショップやリユースショップなどを全国に展開するゲオグループの持株企業です。リユース市場では国内シェア第1位を誇り、ファッション・アパレル業界では、「2nd STREET(セカンドストリート)」などを展開しています。

古着・リセール・2次流通の仕事内容

古着

古着・リセール・2次流通の仕事内容は、取り扱っている商品や企業規模などに応じて大きく変わります。

そもそも買い付けなのか、買い取りなのかなど、仕入れの段階からその仕事内容は異なるため、ここでは古着・リセール・2次流通全般に関する基礎的な仕事内容の一部を紹介します。

買い付け・バイイング

国内外から中古のファッション・アパレル商品を買い付ける業務です。

設計した戦略や予算をもとに、国内外にバイヤー自身が足を運び、自店に合う商品を探し出して商品を買い付けます。

バイヤーは1日に数万着の古着を見て、その中から商品となりえる古着を買い付けを行います。そのため、トレンドやマーケットの動向を把握した上で、店舗などのテイストにあわせつつ、売れる商品を買い付けることが重要です。

また、商品の買い付けの際には、取引先との商談が必要となります。バイヤーは決められた予算内で、必要な数を仕入れなければなりません。そのために取引先との交渉も発生することがしばしばです。

市場理解や商品知識が求められる仕事になるため、古着に関する知識量のあるバイヤーが適役でしょう。

買い取り

消費者が持ち込んだファッション・アパレル商品を買い取る業務です。

買い取りの際には、持ち込まれた服の状態やブランド、市場価値、流通量や希少性、市場ニーズ、相場など商品として販売できるものなのかどうかを査定します。またそれらの要素を考慮した上で買取価格を設定します。

値付け

古着・リセール・2次流通では、取り扱う商品の値段を確定させる必要があります。

値付けする際は買い取り時と同様、買い付けした商品の状態や市場価値、流通量や希少性、市場ニーズ、相場などを考慮した上で値段を設定します。

商品価値は時期などによって大きく変動するため、古着・リセール・2次流通の同業種企業などから市場をリサーチする場合もあります。

買い付け同様、市場理解や商品知識が求められる仕事になるため、バイヤーなどの知識量のある人が担当します。

商品のクリーニング・管理

商品管理は、商品を店頭に並べられる状態に整える業務です。

古着・リセール・2次流通の場合は、一般的なアパレル小売同様に検品するのももちろんですが、海外からの買い付けまたはお客様からの買い取りした商品に関してはシワが寄っていたり、匂いがついていたり、汚れていたりすることもしばしばです。

そのため、店内でアイロンがけをしたり、クリーニングをしたり、場合によっては業者にクリーニングを委託することも業務に含まれます。

店舗管理

店舗管理は、店舗に来店したお客様がお店に入りやすい、商品を手に取りやすい店舗をつくる業務です。

アパレル販売が清掃をしたり、商品にホコリがかかっていないか確認したり、商品をきれいに畳んで陳列し直したりと、常に店舗の清潔感を保ちながら商品を見やすく手に取りやすい状態をつくります。

店舗の雰囲気やブランディングにあわせて、商品のディスプレイや陳列を考える必要があります。

古着・リセール・2次流通が取り扱う商品は、当然基本的に使用済みの商品になるため、ほこりや汚れが付いている場合も少なくありません。新品の商品と比べてほこりもでやすい場合もあるため、店内清掃は欠かせません。

接客

店舗に来店したお客様に商品の販売などを行う業務です。

気持ちよく買い物できるよう消費者とコミュニケーションをとり、必要に応じて声をかけたり、試着したい人は試着室に案内したり、コーディネート提案が必要な人には今季のトレンドを伝えながらコーディネートを紹介したりします。

どのようなブランドなのか、どういった背景を持つアイテムなのかなど、取り扱う商品についての知識が求められます。

それ以外にもレジ打ちや電話対応も接客に含まれます。

EC運営・SNS発信

EC・オンラインでの販売全てに関わる業務です。最近は店舗での販売に限らず、自社ECを運営する古着・リセール・2次流通は少なくありません。

ECで商品を販売する際は、ささげ業務も発生します。ささげとは、「撮影・採寸・原稿」の頭文字をとった用語です。EC業界では一般的に使われる用語になります。

ECサイトで売上に関わってくるポイントは「商品の写真」です。写真が良ければ売上が上がり、写真が悪ければ商品は売れません。「写真と実物が違う」というクレームが多いため、実物のイメージを正確に伝えることも大切です。

近年では、InstagramなどのSNS、youtubeなどのインターネットサービスを活用している古着・リセール・2次流通も多数存在します。その場合は、コンテンツの作成なども付随する業務が発生します。

古着・リセール・2次流通の規模によっては、アパレル販売員やアパレル店長など現場職が担当することもあります。

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古着・リセール・2次流通で働くことのやりがい

古着

古着・リセール・2次流通で働く上でのやりがいを紹介します。

自由な服装・髪型で働ける

古着・リセール・2次流通では、一般的なファッションブランドやアパレル企業と異なり、特定のブランドを着なくてはならないなどの服装・頭髪の規定がない場合も少なくありません。

そのため、自由な服装・髪型で働ける点が、古着・リセール・2次流通で働くことのやりがいと言えるでしょう。

ファッション・アパレルに関する幅広い知識が身に付く

古着・リセール・2次流通ではブランド・年代問わず、幅広いカテゴリのファッション・アパレル商品を取り扱うことが大半です。

そのためほぼ必然的に、ファッション・アパレルに関する広範な知識を身に付けることができると言えます。

古着・リセール・2次流通で働くために求められるスキル・素質

アパレル 業種

古着・リセール・2次流通で働くには、求められる能力や責任が多くあります。

職種に応じて適正は異なりますが、概して古着・リセール・2次流通で働くために求められるスキル・素質の一部を紹介します。

ファッション・アパレル全般に関する知識

古着・リセール・2次流通を利用する消費者には、ブランドや年代、ファッションの歴史や背景、関連するカルチャーに関する造詣が深い方が多くいるため、一般的なファッション・アパレルショップの接客で必要とされる商品情報やコーディネートの提案、サイズ感、トレンド感などに加えて、より多くの知識量が求められます。

要求される知識に関してはある種際限がないため、ファッション・アパレル全般に関する知識を吸収しようとする向上心を学んでいこうとする姿勢が重要になるでしょう。

コミュニケーション能力

古着・リセール・2次流通で働く際は、店頭業務などに携わることも少なくありません。その場合、ある一定レベルのコミュニケーション能力が求められるでしょう。

コミュニケーション能力の中にもたくさんの種類がありますが、中でも初対面の消費者に話しかけ、瞬時にその消費者が心地よい接客をするという能力が必要です。

消費者にはたくさん話したい消費者もゆっくりと自分だけで商品を見たい消費者もいて、それぞれの人により心地よい対応は異なります。その雰囲気を察知し、気持ちのよい接客を提供して、購入につなげる能力が大切です。

また、店舗販売では他のアパレル販売と連携して売上を獲得していくので、販売員同士のコミュニケーション能力も必要です。

古着・リセール・2次流通で働くために必要/有利な資格

アパレル 業種

古着・リセール・2次流通の事業に関しては、必須の資格が存在します。就職に有利な資格もありますが、ここでは「古物商許可」を紹介します。

古物商許可

古着・リセール・2次流通が取り扱う古着は法律上、古物営業法が規定する「古物」に該当します。また事業として古物を取り扱う事業者を古物商と言い、古物商としての営業を行うために必要な資格が古物商許可です。

古着・リセール・2次流通にて、中古品を売買するためには必携となります。古物商許可は事業の責任者が取得していれば、従業員全員が取得する必要はありません。

ただ、将来的に古着・リセール・2次流通としての独立・起業などを検討している場合は、取得するといいでしょう。

【応募サイト】
古物商許可

古着・リセール・2次流通で働くためのキャリアプラン

アパレル 業種

古着・リセール・2次流通に採用されるには、必須の条件はありません。

もちろん、ファッション・アパレル全般や古着に関する幅広い知識が求められるため、ファッション・アパレル業界に関わる業務経験があるとさらに有利でしょう。

古着・リセール・2次流通の場合、個人商店からチェーン展開している企業まで経営体制の規模などがそれぞれ異なるため、求人形態はさまざまです。

古着・リセール・2次流通で働くのであれば、希望する古着・リセール・2次流通それぞれに求人情報を確認の上、求人プラットフォームなどを通して応募してみてください。

ファッション・アパレル業界または古着・リセール・2次流通での勤務未経験の場合、直接バイヤーなどの要職に就くことは難しいでしょう。アパレル販売などからはじめて、古着などの知識・経験を積んからキャリアアップを目指すといいでしょう。

また、個人商店などの古着・リセール・2次流通に特に顕著ですが、そのお店の消費者としてアパレル販売員と良好な関係を築いていると働きはじめやすいかもしれません。古着・リセール・2次流通以外のファッション・アパレル企業で働く上では、その店・ブランドのファンであることは大切です。前提となるその店に対する好意が伝わり、選考もスムーズに進行しえるため、検討してみてください。

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【参考文献】
「ファッション辞典(第4版)」(大沼淳、萩村昭典、深井晃子 監修、文化出版局、1999)
「増補新版 図解服飾用語辞典」(杉野芳子 編著、ブティック社、2003)
「1秒でわかる!アパレル業界ハンドブック」(佐山周、大枝一郎、東洋経済新報社、2011)
「ファッション業界大研究[第2版]」(ファッション&ソフトマーケティング研究会 編著、産学社、2019)
「ファッション業界大研究【改訂版】」(オフィスウーノ 編、産学社、2008)
「アパレル素材企画 プロフェッショナルガイド」(野末和志、繊研新聞社、2019)
「役に立つアパレル業界の教科書」(久保茂樹、文芸社、2016)


秋吉成紀(READY TO FASHION MAG 編集部)

ライター・編集者。1994年東京都出身。2018年1月から2020年5月までファッション業界紙にて、研究者インタビューやファッション関連書籍紹介記事などを執筆。2020年5月から2023年6月まで、ファッション・アパレル業界特化型求人プラットフォーム「READY TO FASHION」のオウンドメディア「READY TO FASHION MAG」「READY TO FASHION FOR JINJI」の編集チームに参加。傍ら、様々なファッション・アパレル関連メディアを中心にフリーランスライターとして活動中。

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