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繊研新聞社主催の大型合同展示会「JFW-IFF」が、2016年9月26日(月)~28日(水)の3日間、 東京ビッグサイトにて開催された。

同展示会は、2000年のスタート以来、

1.デザイナーに露出の機会を提供
2デザイナーや事業者、小売の連携の促進

を通し、東京をもっとおしゃれで楽しい町にする目的を持って行われている。欧米やアジアから19社、地域の有力専門店13社が一同に集うビッグイベントだ。展示会内では各社の代表者の対談イベントが行われていた。来場者であるバイヤー、プレス、販売員、団体などのファッション関係者に対して、業界動向の予見からVRなどの最新技術の発表までさまざまな対談が行われていた。

今回のレポートでは、その中から、今回はFashion×ITの分野に焦点を当ててレポートする。

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【アパレル大手と、新興テクノロジー企業の取り組み】

■STYLER(スタイラー)×アーバンリサーチ

「アパレルとテックの垣根が無くなってゆく。」と、スタイラー株式会社の代表取締役 小関氏は語る。

ECサイトの隆盛・VRの応用・店員とお客のダイレクトコミュニケーションなどといった昨今のアパレル業界の動向を辿ってみても、小関氏の意見は的を射ている。その証拠として、大手アパレル会社2社がベンチャー企業と組んでいる。そのひとつが、スタイラー×アーバンリサーチだ。アーバンリサーチの斉藤悟氏はスタイラーのサービスを導入してよかったと言う。

スタイラーのサービスというのは簡単に言ってしまえば「ファッション版の食べログ」であると小関氏は説明していた。

同社は、口コミを投稿したり、商品を検索したり、たくさんの人の意見や評判を参考に買い物を成功させることができるツールであり、着々と利用者を増やしている。 アーバンリサーチは神南店で実験的にスタイラーのサービスを導入したところ、顧客のニーズ分析につながり、「売れる商品」を効率的に把握することができるようになったという。スマートフォンやタブレットを駆使し、店舗に足を運んでくださったお客様と一緒に商品を検索、紹介、提案を行える点もスタイラーのサービスを導入してよかった点であり、さらには、店員のアイドリングタイム(お客さんがおらず、手持ち無沙汰になっている状態)の削減にも繋がり、LINEのような感覚でお客様の声を聞くことができる点が非常に優れているようだ。

課題はないのか、と質問が挙がった。

その課題は店員がスマートフォンやタブレットを利用することによるお客の反応だという。

店員は仕事をしていても、お客に「サボっている」と思われてしまっては報われない。さまざまな店舗でタブレットを導入する流れがあるが、実際に活用している例はまだ少なく、「店員がタブレットで仕事をしている」という認知が一般的になるのはまだ先のことであるし、そういった空気感は一朝一夕に作れるものではないのでじわじわと浸透させていかなければならない、と今後の課題を挙げていた。

アジアの動向に関しては,SNSでのコミュニケーションがより盛んであり、SNSコニュニケーションを武器にした日本のベンチャー企業には明るい市場であるようだ。今後の海外展開にも着目してゆきたい。

そして、もうひとつのタッグは、

■sitateru(シタテル)×ベイクルーズ

ベイクルーズは何といってもブランド数が多い。つまりは傾向として多品種小ロット生産を要する。大きな工場ひとつに丸投げすることができない。そこで sitateruのサービスを利用した。 sitateruのサービスと「生産の依頼者と工場をつなげる」サービスだ。工場によって繁忙期や閑散期が微妙に異なることもあり、比較的すいている工場に受注を流すことで、お互いがwin-winの関係になれることがsitateruの特筆すべきポイントのひとつとなる。小ロット生産も可能であり、ベイクルーズにとってビジネスにスピード感をもたらしたと統括ディレクターの石川氏は語る。

大手アパレル会社とも提携し、順風満帆かに見えるsitateruであるが、課題もあるようだ。

というのは「工場がITに対応していない」ということだった。iPadなどを導入したはいいが埃をかぶった無用の長物になっている事例がおおいそうだ。高齢化が進んでいる工場では、ITの使い方を噛み砕いて技術の恩恵を受けられる環境整備が急がれると今後の課題を語った。高齢化や自動化が進む向上では、技術の流出も叫ばれている。アジアからの労働者が縫製工場などで働き、出稼ぎであるので3年ほどで帰国してしまうようだ。そうすると、技術が日本に蓄積することがなく、財産として残らない。 工場の抱える問題は大きく多く、既に廃業となっている生産工場が後をたたない。今後、工場の復権もアパレル業界の大きな課題となっているようだ。

【最後に:顧客満足と手段の多様化】

両社が共通して話していたのは「どう顧客体験を作るか」ということであった。

昨今さまざまなサービスが開発され、しのぎを削りあっている。ただ、その目的というのは顧客満足の創造に帰結するのだと斉藤氏は力強く語る。

スピード感・リスクテイクを武器にしたベンチャー企業と安定感や規模感を持つ大手アパレル企業のタッグはこれからも増えてゆくことが予想される。めまぐるしい変化に柔軟に対応できる企業がこれからは主導権を握ってゆくだろう。

すぐ買えるショーやVR,ECコミュニケーション、5年前では一般的になると予想だにしなかった空気がアパレル業界を包んでいる。これからもアパレル×ITの分野は飛躍的に発達し続けるだろう。新たな顧客体験を通し、よりファッションを愉しむことができる世界へなることを願う。

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READY TO FASHION MAG 編集部

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