起業を目指す16歳、”だっつ”による、新連載「高校生ファッションユーチューバーが見るIR※」。

IRとは?・・・
「Investor Relations」の略で、企業が株主や投資家に対し、財務状況など投資の判断に必要な情報を提供していく活動全般を指す。

第4弾では欲しい商品を注文すると、世界中にいるパーソナルショッパー(出品者)たちが日本に届けてくれるサービス「BUYMA」。普段は聞き慣れれないIR情報を、特にここではファッションに関わる企業に焦点を当てて、ファッションユーチューバーの”だっつ”が解説する。さて、高校生がみる「BUYMA」のビジネスのポイントとは?

BUYMAの課題はARPUの維持。その鍵を握るメンズ会員をよりアクティブにする為にはメンズ「POST」をより盛んにすべき。

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ソーシャル・ショッピング・サイト「BUYMA」の運営を行っている「エニグモ」。最近会員数も急上昇し好調のように見えますが、その課題点とはなんなのでしょうか。それは、ARPUの維持。そしてその鍵を握っているのがメンズの「POST」サービスです。

今回はこれについて述べていきたいと思います。

BUYMAはファッションを民主的にするような「誰でもファッションの仕事ができるCtoCサービス」です。海外現地で安く手に入れて、それを日本の価格より安く買えるというイメージがあると思います。

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そんな同サービスですが、視覚的にわかるように基本的に取扱高は上昇傾向、特に、2016年1月期→2017年1月期→「+8837(百万円)」と、この一年は大幅な成長が見られました。

そんな2017年1月期を細かく見たものがこちら↓です。

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先ほども述べたように基本的に増加傾向になっています。そんな中で異質なのが「会員数」と「ARPU」になります。特に上昇率の高い「会員数」が今期の急上昇の要因と言えると思います。というわけでまずは、何故会員数が上昇したのか考察していきたいと思います。

会員数増加の要因

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まず1つ挙げられるのが取り扱い件数の増加=アイテムの多様化です。

2015-2016 +183,895

2016-2017 +544,103

と、2016-2017間では前期に比べ約3倍の増加が見られました。このアイテムの多様化が何を意味するのかというと、それは「ユーザーの多様化」です。

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アイテムの多様化により、元々レディースが主であったBUYMAにメンズ層が増えました。2016-17では前期に比べ約2倍の増加数が見られました。つまり、取り扱い件数の増加に伴ってメンズ層も増加すると言えます。

レディースに関してはそもそもある程度確保しているので、メンズほど取り扱い件数に伴って顕著に表れるということはありません。そして、BUYMAでは購入する際に会員登録をしなければならないのでこのメンズ層の増加が会員数増加の1つの要因となります。

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そしてもう1つが「オウンドメディア」です。

具体的な数値がないので視覚的になりますが同じく2016-2017で特に「STYLE HAUS」による新規会員数の増加が著しいことがわかります。「STYLE HAUS」は女性向けのサービスなのでレディース会員の増加は「STYLE HAUS」、メンズ会員の増加は「取り扱いアイテムの多様化」が要因となると言えます。

ではここで先ほど異質であった「ARPU」ですが、今回はこれこそが課題であると言っています。それは何故なのでしょうか。

ARPUが課題である

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先ほどの表でもわかったと思いますが、「ARPU」のみ微減となっています。20015〜2017にかけて約1000〜1500円/年のペースで減少しています。

そもそも「ARPU」というのは何かと言うと、「年間購入金額」のことでどれほど会員がアクティブに機能しているかが分かります。ここで、会員数が上昇したのに対して「ARPU」が減少すると、機能しない会員が増えた「空洞的な会員数の増加」ということになります。

そのため、「ARPU」というのは維持すべきものであるのです。しかし今期は、微減であるため顕著なものではありませんが質の伴わない会員数の増加に近いことが起こっています。ですから、BUYMAの課題は会員数の増加と共に「ARPU」を維持することになります。

「ARPU」を維持するには、、

では「ARPU」を維持するにはどうすればいいのでしょうか。

ARPU=単価×件数となるわけですが、ここで上げるべきは件数になります。

というのも、先ほどメンズ層の増加、つまりユーザー層の多様化を要因として示しましたがこれによってより単価が下がることが予想されるからです。

特にメンズ10代が

2015-2016 +320

2016-2017 +811

と、2016-2017で前期比約2.5倍の急増を遂げています。

この若い層が伸びてきたということで、今までのインポートブランド購入可能圏内層で構成されていた頃に比べて今の方が単価が下がるのは確実と言えるでしょう。ですから、単価が下がる分件数をあげていかなければ「ARPU」を維持できないのです。(そもそもBUYMAはハイブラ中心なので元々単価が高いですが)

ではそんな「件数」をどのようにして上げていけばいいでしょうか。ここで鍵を握ってくるのが新規開拓層であるメンズユーザーと「POST」です。

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もう1つのオウンドメディアである「POST」は見てわかるように新規会員獲得にはあまり貢献していません。しかし、オウンドメディア経由の取扱高を見ると半数以上が「POST」経由になります。新規会員が少なく取扱高が高いということは、つまり件数に直結してくる既存ユーザーのリピート促進能力が非常に高いということが言えます。

ですから、この「POST」をさらに活用してより会員をアクティブに機能させて件数を上げるというのが維持方法のひとつだと言えるでしょう。

ここでメンズユーザーとの関わりですが、実はレディースPOSTとメンズPOSTでは盛ん度に差があるのです。

【メンズ】       【レディース】

5/12         6件           9件

5/11         4件                                  9件

このようにメンズPOSTはレディースに比べて少なめです。しかし今、新規開拓層の取り込みにあたってメンズ層が急増中です。

ここでメンズPOSTを盛んにすることができれば会員数と共に件数も増加させることができるでしょう。例えば、メンズPOST投稿者にはなにかしらの特典を付与したり、あるいはPOST自体の露出をもっと増やしたり。

方法は定まったものではないと思いますが、今回「ARPUの維持にはメンズPOSTを盛んにすべき」だということは確かであると思います。


READY TO FASHION MAG 編集部

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