
アパレル業界におけるサステナブルなコットン栽培について学ぶセミナー「SUSTAINABLE COTTON JOURNEY 2025」が6月6日(金)にTRUNK(HOTEL) にて開催されました。
本イベントは環境保全団体である、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)主催のもと、株式会社TSIホールディングス、スタイレム瀧定大阪株式会社、タキヒヨー株式会社、学生団体「やさしいせいふく」や「carutena」が登壇。それぞれの目線からコットンにまつわる社会課題やこれまでの取り組みについて語られました。
オーガニック栽培の定着に向けた各社の取り組み
アパレル産業は、石油産業に次いで世界で第2位の環境汚染産業と言われています。特にコットンの栽培においては、①水の汚染・枯渇、②遺伝子組み換えによる生態系への影響、③児童労働や低賃金労働、④農薬散布による生産者の健康被害など、さまざまな社会・環境課題が指摘されています。
こうした問題を解決していくには、作り手が置かれている労働環境のみならず、原材料の生産から製造、流通までサプライチェーン全体の透明性と責任が求められます。
本イベントでは、まず日系アパレル企業3社による、インドでのサステナブルなコットン栽培の取り組みが紹介されました。

インドで現地法人を設立しているスタイレム瀧定大阪は、農家がオーガニック農法へと転換できるよう自立支援を行っています。
また、オーガニックコットンが普及しづらい理由として「土壌がオーガニックの基準を満たすまでには一定の期間が必要なため、転換期の作物がオーガニックとして認められず、市場で十分な認知や評価がされにくい」という難しさも共有。そうした課題に向き合いながら、オーガニック農法が根付くまでの継続的な活動とさらなる拡大を目指していると語りました。
TSIホールティングスは、サステナブルコットンを調達する短期的な取り組みと、サステナブルコットンを育成・活用する中長期的な取り組みを紹介。2022年からインドで独自の綿花の試験栽培をスタートし、2025年6月には日本の大手アパレル企業として初めて、原材料から最終製品までの履歴を追跡し、オーガニック製品のトレーサビリティを証明する国際認証、「OCS認証(Organic Content Standard)」を取得。
今後は、サプライチェーンでの透明性を確保しつつ、オーガニック素材を本格導入し、26年春には傘下ブランド「ナノ・ユニバース」よりジェンダーレスのオーガニックシャツを発売するそうです。

タキヒヨー株式会社は、2019年からアパレル・繊維業界のサステナビリティ向上に取り組む国際NPO「テキスタイルエクスチェンジ」のメンバーに加入。現地の農家を訪れた際には、「継続的な支援がなければ、サステナブルな農法は根付かない」という現場の声があったとし、日本企業がその担い手として、インドの農家とつながりを持ち、共に価値を高めていくことへの期待が語られました。
サステナブルの本質を問うトークセッション
クリエイティブディレクターの辻愛沙子氏をファシリテーターに迎えたトークイベント「日系ファッション企業による、インドでのサステナブルなコットン栽培」では、各登壇者が現地での取り組みを通して感じたリアルな声を発信する場となりました。
スタイレム瀧定大阪の髙森氏は、オーガニック栽培への切り替えにより、「農家の方から、手の荒れや体調不良がなくなった」と言われたエピソードを紹介。「それこそが本質的なサステナブルだと実感した」と話しました。
また学生団体「やさしいせいふく」の福代氏は、「消費者のリテラシーを高めていく必要がある。ファームトゥークローゼットの意識が当たり前になってほしい」と呼びかけました。

セミナーの後半には、TSIホールディングスによるOCS認証取得の背景に迫るプレゼンテーションも実施。
「ナノ・ユニバース」デザイナーの大澤氏は、企画をする際に「ファッションを悪者にされたくない。よりよくファッションを売っていくために何をしたらいいかを考えた」と企画する上での思いを語りました。
学生団体carutenaの横田氏も「エコを全面に押し出すよりも、自然と手元に置いておきたいと思う商品作りを心がけている」と話し、立場の異なる両者が意見を交わす場となりました。
今回のセミナーを通じて、農業をサステナブルにする取り組みがどんな変化をもたらしているのか、現地のリアルな声を通して知ることができました。普段着ている服が、実は農業と深く関わっている、そんな気づきを与えてくれる貴重なイベントになったのではないでしょうか。
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