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【経済発展が著しいアジア市場のリアルに迫る】

今回、近年経済発展が著しく盛り上がりを見せるアジアについて、「ファッションに携わる人や業界を繋げる場を作る」というコンセプトを掲げている”Bridge of fashion“という団体がイベントを開催。最前線で活躍されている、マッシュスタイルラボの鈴木さんと伊藤忠ファッションシステムの河合さんが、現在のアジア市場のリアルを語ってくれた。

【Fashion Asia Nightを開催した”Bridge of Fashion”について】

ファッション業界に関わってきた4人で任意団体として結成される。各々がファッション業界に関わっていく中で、「ファッション業界が他の業界の人々を触れ、知る機会が少ない」という問題意識を持ち、その問題を自らの手で解決するために2ヶ月に一度、ファッション業界に携わる人々を集め、今話題になっている業界やファッション業界にメリットをもたらし得るような業界の人々を繋げる場を提供できるイベントを開催している。

スナイデルが中国で成功した理由】

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「まずは運とタイミングが良かった。」と話す鈴木さん。中国市場に参入したのは2011年頃。当時は、中国市場に参入するのであれば、どこかとパートナーを組んでやるか、大陸から攻めるのではなく台湾から攻めていくというのがファッション業界で定説になっていた。しかし「独資でやらなければ、何か失敗した時に自分たちのノウハウにならない。そして、失敗したことをパートナーのせいにすることもしたくない。」という思いがあった。また、「やるなら徹底的にやろう!」という情熱を掲げ、「中国に参入するなら一気に大陸に攻めていこう」という方向に至った。

現在、中国では130億円の規模までに成長した。中国でのブランディングとして、注目すべき点の一つに店舗作りが挙げられる。日本であれば、店舗を作るのに2000万円かかるところが、中国では1000万円で出来る、しかし、「安くできる」と喜ぶわけではなく、「逆に2000万円かけてより豪華な店舗作りをしよう」とさらに攻めていく。そして、店舗を構える場所にも抜かりはない。必ず、No.1の場所にしか置かないという徹底ぶり。それにより、中国でのブランディングが上がることにつながった。また、中国でのファッションショーも、よくある合同ファッションショーではなく、マッシュスタイルラボ独自で本気で取り組んでいることも功を奏している。

【中国でこれから可能性を秘めているのは?】

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中国でこれからの可能性を秘めているのはジェラート ピケだ。まだまだ、「部屋着までオシャレ」という文化が根付いていないため、これからもっと伸びる可能性を秘めている。なぜ「部屋着までオシャレ」の文化が根付いていないのかという理由に中国人は見栄っ張りという性格が関係しているのではないかと予想される。外着にはお金をかけるがまだまだ部屋着にまでお金をかけるところまでいっていないというのが現状のようだ。そして、日本ではよくギフトにジェラート ピケが使われるが、中国ではギフト文化も日本に比べると圧倒的に少ない。しかし、近年中国人女性は圧倒的にオシャレになってきたので「部屋着までオシャレ」という文化が根付くのもそう遠くない未来にあるだろう。

【タイで成功する日本ブランド、失敗する日本ブランド】

4年前に初めてタイに訪れた時「すごくオシャレだ」と感じたという河合さん。タイでのアパレルの市場は日本の約1/10くらいで、バンコクに集中している。そして、驚くほど路面店が少ない。タイでは駅直結型の商業施設が多く、それが一つの街のようになっている。路面店が少ない理由としては、おそらく交通渋滞が激しいため、なかなか個店に寄るのが難しかったり、雨が多いためモールの中で移動することが便利というような要因が考えらえる。

タイに進出している日本のブランドとして挙げられるのは、UNIQLOだ。価格帯は日本の1.1〜1.2倍で若干高めではあるが、順調だという。また、SUIT SELECTearth music&ecologyも進出しており、それぞれ長く続いている。タイではプリント柄などが好まれ、このようなナチュラル系のブランドは今まであまりなかったようだが、これからもっと人気が出る可能性が十分にある。また、ハイエンドクラスでは、ISSEY MIYAKEYohji Yamamotoも人気だ。また、セレクトショップなどでも、sacaiなどが置かれている。中国では日本のクリエーターはあまり人気がない傾向があるが、タイでは親日文化も影響しているのか、日本人クリエーターは人気がある。そのため、実はそこまで失敗例がないという結果で、一概には言えないが日本のブランドはタイに進出しやすい傾向があるようだ。また、タイの気候は非常に暑いため、重衣料は売れないのではないかという疑念があるが、逆にタイで重衣料が作れないため、海外ブランドに頼る傾向がある、そのため、需要はあるようだ。しかし、タイで注意すべき点としては、価格帯の設定として1〜1.3倍が限界という点だ。タイ人は親日の文化であるため、よく日本に訪れている人が多い。そのため日本の相場を知っているため、1.3倍以上の設定にすると商業施設に受け入れてもらえないという。

【日本に進出しているタイブランド】

モダン&スタイリッシュ路線でタイで大人気のGreyhound。カジュアルラインではPLAYHOUNDというブランドも持ち、最近ではカフェも出している。そして、2014-15A/Wからジャパンファッションウィークに参加しているSRETSIS(スレトシス)や、ラフォーレ原宿で驚異的な売上を出したチュアンピサマイなど近年タイブランドが日本に進出し始めている。タイ政府も長年デザイナー育成に力を入れており、タイの若手デザイナーたちはこれから非常に注目すべき存在だ。

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チュアンピサマイ

【アジアで今起こっている変化】

最近のアジアは健康志向が高まってきているようだ。中国人女性は上海・北京を中心に、より健康志向が高まり、日本の感度の高い女性たちと同じぐらい気をつかっているようだ。その点に目をつけているマッシュスタイルラボは日本で取り組んでいるヨガウェアブランドを中国でも打ちだしていけるのではないかと考え始めている。また、中国人女性はどんどんとオシャレになっていく一方で、中国人男性はあまり変化が見られない。そのため、逆にこれから伸び代があるだろうと、新たな市場を生み出す可能性を提示する。タイでも中国と同様、健康志向が高まり、フィットネスやサイクリングの施設等が増加傾向にあるため、これからタイでもスポーツウェア等のアパレルブランドはさらに盛り上がっていけるのではないだろうか。

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《イベント開催後、懇親会にて》

イベント後には懇親会が開かれ、参加者たちはイベントの感想など意見交換などをして、大いに盛り上がっていた。「イベントの内容自体が専門的で、かなり濃い内容だった」と大満足のようだった。ファッション業界では、トレンド関係の勉強会は多かったがこのようなイベントはまだまだ少ない。”Bridge of fashion”の方々によって、このような機会が増えるともっと業界は盛り上がっていけるのではないだろうか。

※イベント開催概要はこちら

report by Reiko.S

READY TO FASHION MAG 編集部

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