起業を目指す16歳、”だっつ”による、新連載「高校生ファッションユーチューバーが見るIR※」。

IRとは?・・・
「Investor Relations」の略で、企業が株主や投資家に対し、財務状況など投資の判断に必要な情報を提供していく活動全般を指す。

第2弾は日本のファッションEC(ネット通販/オンラインストア)を代表する、「ZOZOTOWN」。普段は聞き慣れれないIR情報を、特にここではファッションに関わる企業に焦点を当てて、ファッションユーチューバーの”だっつ”が解説する。さて、高校生がみる「ZOZOTOWN」のビジネスのポイントとは?

ZOZO主要ユーザーは実はファッション興味ない層。ZOZOTOWNユーザーを徹底分析。

「ファッションECといえば」ですぐに連想されるのは「ZOZOTOWN」。それほど業界で有名かつ大きいZOZOですが、実際にはどのような層が利用しているのでしょうか?

というわけで、今回は「株式会社スタートトゥデイ」のIRを読んでZOZOユーザーを徹底分析してみました。

先に結論だけいっておくと、主要ユーザーは「ファッションに興味がない層」です。そう結論づけられる理由をいくつか述べていきたいと思います。まず、、

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ZOZOの年間購入者数のグラフを見ていただければ一目瞭然だと思いますが、購入者の大半はアクティブ会員です。最新の2017 4Qでは約6:4=アクティブ:ゲストとなっています。そして他の時期でも大体その割合は変化しません。

いや、言っても6割じゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそもZOZOにはゲスト購入なるものが存在します。他のファッションECでは、基本的には会員登録をしなければ購入できない場合がほとんどです。その中で、会員登録をせずとも買える中で、アクティブ会員の方が多い=会員登録をして買う人の方が多いということですから、6割というのは十分な数字になります。

それほどZOZOユーザーはリピート率が高いということですね。

根拠①アクティブ会員の属性

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では次にそんなアクティブ会員の分析です。

まず男女比ですが大体7:3=男性:女性と、女性の方が多いことがわかります。

また、年齢は思っていたよりも高く、平均年齢32.8才といわゆるプレッシャー世代が多いようです。そして注目すべきは地域分布です。ネット通販なのでショップが少ない地方の方が多いかと思いきや圧倒的に関東圏が多数を占めています。つまり、ショップが充実しているにも関わらずネットで買う人がZOZOユーザーの中心であるということです。そしてプレッシャー世代が多いということで、基本的に消費に意欲的でないユーザーが多いということもわかります。

まずこの「地域」と「年齢」からZOZOユーザーの中心であるアクティブ会員はあまり消費したがらない、「ファッションに興味のない層」が多いということが言えます。

根拠②件数と単価

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これはまたまたアクティブ会員のグラフになるのですが、ぱっと見で金額と点数が比例していることがわかります。つまり点数が増えれば金額が増える、当たり前なようですが、点数が減って金額が上がる=より高級志向になるということでもあるので、先ほどのことも踏まえて大方比較的価格の低い商品を買うという傾向が変わっていないのだろうと予想を打ち立てておくことができます。

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そして件数ですが、視覚的に基本増えていることがわかります。服は基本的に秋冬の方が単価が高いので3Qの方が価格が高かったり、その分件数が減ったりするのですが(2015 2Q 2782854 →2015 3Q 2557804 と顕著に減少しています。)、

その中で2017 2Q 5391093→2017 3Q 586580と2Q→3Qにも関わらず上昇していることがわかります。そして、そんなファッションの性質上重要なのが棒ではなく折れ線の方の前年同期比になるのですが、それも前後はあるものの基本的に正である=上昇しているということが分かります。

そしてここで比較するのが単価です。

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先ほどの話と同様に3Qでは単価が急増しますが、前年同期比は基本的に負である=減少していることがわかります。(先ほどと同様に率の前後はありますが)

さてここで先ほどの件数と照らし合わせてみましょう。

件数→上昇傾向

単価→減少傾向

件数と単価はほぼ反比例の関係、つまりどんどん高級志向から遠ざかっていることが分かります。そもそも、最初のグラフで触れはしませんでしたが年間購入者数が増加しているということがパッと見てわかっていると思います。ですから、基本的にサービスが盛んになっているわけで、件数は上昇傾向になります。なので安いものをよりたくさん買うようになったというわけではなく、ただ単純に単価がより安いものを買うようになったと言えます。

しかしよく見てみると単価のグラフには少し気になるところがあると思います。それは、

2017 2Q -14.4%

2017 3Q -4.8%

2017 4Q -2.5%

と、減少傾向が弱まってきているということです。

ここで注目したいのがこの出荷単価ではなく商品単価のグラフです。

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両者の前年同期比を比べると、基本的に比例していることがわかります。

例えば、顕著な変化が見られた16 2Q→3Qですがこちらも

出荷 2.7→ -12.2

商品 -4.6→ -12.5

とどちらも急減していることがわかります。

この出荷単価と商品単価がほぼ比例しているということが何を意味するのかというと、商品単価が上がれば出荷単価が上がる=売っているものが高くなったから比例して買うものも仕方なく高くなっているということです。つまり、最新の2、3、4Qの出荷単価の上昇傾向は商品単価の上昇傾向の影響であり、ユーザーが高級志向になったというわけではないと言えます。

よって、ユーザーの中心はあまり高いものを買いたがらないファッション意欲の低い層であると言えます。

このように、今回はZOZOユーザーの属性分析をしてみました。

逆に言えばコアな層ではなく、大衆向けの、誰でも入り込みやすいファッションECであると分かります。そして当日配送が中止になったりフリマをやめたりと何かと話題のZOZOTOWNですが、そのユーザーの中心は二つの観点から「ファッションに興味がない層」であることが言えたと思います。


READY TO FASHION MAG 編集部

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