連載企画「その道のプロから聞く!ファッション業界の仕事紹介」では、実際にファッション業界の第一線で活躍されている方々にインタビューを行い、READY TO FASHION の読者にお届けする。第2弾は若者に絶大な人気を誇るWEGOで店長の経験を持ち、現在は原宿のエリアマネージャーを担当されている宮田康弘さんにインタビューを行った。

”店長”という職業への興味関心は?

今回の連載企画をやるにあたり、READY TO FASHION は ”学生はファッション業界についてどのくらい理解しているんだろう”と言う疑問から、学生100人にアンケート調査を行った。業界の理解度や興味のある職業を専門学生、4年制大学生を分けた結果はこちら。

そして、今回はこのアンケートの結果の中で”うる”という職業に注目した。上記のグラフを見て分かるように服飾専門学生で”デザイナー”を目指す人数は大学生に比べて圧倒的に多いが”店長”は両者で唯一大きな差がないことに注目。これは、学生にとって”うる”という現場に最も近く、身近な職業だからではないだろうか。一体”店長”という仕事はどんなことを考えて、どんなことをしているのか。身近だけどもよく知らない”店長”の仕事について聞いた。

お客様が喜んでもらえることをすること

今までの接客スタイルの常識にとらわれない自由な接客を貫きながらも、絶対に守るべきルールを決めていた。そのメリハリの秘密とは。

──店長という立場で、達成したい目標はありましたか?

宮田:実は当時、原宿のエリアマネージャーとして働いていたんですけど、色々あって店長に戻り悔しい思いもありました。しかしその経験を活かし悔しさをバネに通常の店長よりも広い視野でスーパー店長になってやる!と意気込んでたのを覚える。それは、前提として、原宿の待ち合わせ場所といえばGAP前(現TOKYU PLAZA)と言われていたのをWEGO原宿竹下通り店にするということを1つ目標にした。原宿の中で人気ショップにして、原宿に来たら必ず行く、行きたくなる場=WEGO原宿竹下通り店にしたいとも思っていたね。

──実際に中高生は原宿に行ったら必ず立ち寄るショップになっていますよね。具体的にどんな施策を行ったのですか?

宮田:行った施策で、一番効果があったのは、人気者SNS有名人(=インフルエンサースタッフ)が働きやすい環境を用意したことだと思う。人気者のスタッフが活き活きと働いている環境を気に入って、お客様には気軽に会える店にしたいって考えていて、実際、そうなったと思っている。あと、”お客様は、目当てのスタッフではないスタッフのこともよく見てる”ということを意識して、いい印象を持ってもらうようにとしっかり伝えてたかな。

──お客様への応対についてスタッフに直接何かアドバイスなどはされましたか?

宮田:そんなに細かいことは言ってないよ。でもこれだけは守れっていうルールがあって、”お客様が喜んでもらえることをすること”っていうこと。これはやってはいけないという、細かいことは言わなかったけど、これの逆の事だけはしないでほしいというルールだけは徹底した。お客様が嫌な思いをすることは絶対にしないでほしい、と伝えていたかな。スタッフの個性は大切にしたくて、お客様に喜んでもらうためのやり方に決まりはなく彼らに任せたよ。

お客様に喜んでもらうために、他のお客様に迷惑をかけてしまったみたいなこともあったけれど、これはスタッフなりにお客様を喜ばせようとした結果だから、そこまでは怒らなかったよ。

アパレルスタッフって、カッコつけていて、堅苦しいイメージがあるだよね。でも、自分の店舗ではお客様との距離を縮めて、お買い物をより楽しんでもらうために、”接客言葉”はあんまり使わなくてもいい様にしてて、アパレルスタッフはこうじゃないといけないという型に、はめないやり方を貫きました。”洋服を売っているお店”というより、”スタッフと楽しい時間を共有する場”としてお店にきてもらえるようなアットホームな感じを目指したんだ。

あとになって考えてみるとこのやり方が、お客様の年齢とかにあっていたんじゃないかな。”かしこまりました。”とか堅苦しい言葉よりも、もっとコミュニケーションが取りやすい柔らかい言葉で接客していたことが良かったのかな。

──同じものを買うなら竹下通りのスタッフさんに接客してもらいたい!という人はとても多いと思います。スタッフさんとお客様の距離が近いという接客スタイルは昔は少なかったと思います。今の接客スタイルだからこそできたことなどはありますか?

宮田:ツイッターなどのSNSを用いたコミュニケーションを実践している。ツイッターが流行る前から、使用していて、お店の情報を発信したり、スタッフとお客様がツイッターを通してやりとりをするっていうこともしているよ。

それと、お客様と距離が近いからこそ、”服を買う”以外に”求められている事”があると考えていて、お店じゃない場所でスタッフとお客様が集まって運動会をしたことがあるよ。これらの施策により、他のお店と違う”原宿竹下通り”の強みが出来たと思ってる。

(スタッフとお客さんが集まって代々木公園で運動会を開催した時の集合写真)

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今回お話を伺ったのは若者に大人気で、小中高生が原宿に行けば必ず訪れるお店WEGO原宿エリアマネージャーの宮田康弘さん。店長という立場であった時でも、エリアマネージャーの現在でも、店頭はもちろんSNSでもお客様と直接コミュニケーションをとり、常に様々なイベントを仕掛けてお客様を楽しませる。そんな宮田さんに出会って、アパレルに興味を持った学生も少なくないのではないだろうか。

取材を通して”店長”という仕事は、その店舗をどのようにプロデュースするかが重要だわかった。そのためには、お客様を笑顔にするために、スタッフに何をどう伝えるか、どうコミュニケーションをとるのか、また店舗の雰囲気づくりなど、お客様が求めてるものをいち早く察知する能力が必要なのかもしれない。ファッション業界の中で一番お客様に近い職業である”店長”の仕事は、普段の店頭で見かけるよりもさらに深い世界があった。

【店舗紹介】
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-8-2
お家みたいなあたたかいお店、WEGO原宿竹下通り店では、毎日スタッフがブログを書いている。
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READY TO FASHION MAG 編集部

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