洋服やファッションアイテムには、イラストや、刺繍が、ファッション雑誌ではイラストで伝えるページや挿絵など、ファッションとイラストレーターは、切っても切り離せれない関わりがあります。

本連載企画ではイラストレーターだからこそ伝えられるファッションの魅力などを、最前線で活躍する対象者のインタビューを通じて、読者に伝えします。

連載のvol.2は「PUNK CAKE」(古着屋)などで個展も開く、SNSから生まれたイラストレーターAki Ishibashi さんにお話を聞きました。

いつのまにかイラストレーターになった

Aki Ishibashi ( http://akiishibashi.com )・・・神奈川県出身/グラフィックデザイナーを経て、独自の世界観を活かしたテイストでイラストレーターとして活動中。好きな食べ物は白米。

──イラストレーターになった経緯を教えてください。

Aki:幼い頃から絵を描くことが好きで、元々は漫画家になることを目指して『りぼん』とかに投稿していました。でも、挑戦していくうちに諦めてしまい、イラストを描くことも少なくなりました。高校卒業と同時にデザイナーになりたいと思うようになり、デザイン関係の会社に就職し、デザイナーとして仕事をしていく中でたまたま落書きをしていたんです。そしたら知人に「その絵いいじゃん。」って言ってもらってから、もう一回絵を描いてみようかなと思って描いてみたのがきっかけでした。その時ちょうどインスタグラムが流行ってきた頃で、なんとなく自分の描いたイラストを投稿してみました。それから投稿を続けているうちに「イラストのお仕事してみませんか。」とギャラリーから声がかかったりしてイラストのお仕事もするようになりました。そのうちにインスタグラムの方もだんだんフォロワーも増えてきて、気がついたらイラストレーターになっていました。

──インスタグラムというSNSから人気が出てイラストレーターになるってとても現代的ですよね。

Aki:そうなんですよね。絵は好きなんですけど志してるわけでもなく、いつのまにかイラストレーターになったって感じなんです。ある意味呼び方を変えればインスタグラマーと一緒で、自分が好きで投稿してたものが急に職業になっていった感じです。

#アホ絵

──インスタグラムのハッシュタグが、他のイラストを描いてる人とは違い「#ゆるい」、「#アホ絵」、「#落書き」と変わったものですがこれはどこからきたのでしょうか。

Aki:私のイラストはなんとなくアホっぽいな〜と思って「#アホ絵」というハッシュタグを使ってます。また、私の絵は落書きから始まっているのですが、それは全く変わらず今も一緒で落書きなんです。日々自分の疲れとかをテキトーに描いて自分を癒すためなので、他のイラストレーターの方のように作品ではなくて、落書きとして描いています。

──この「ゆるさ」がAki Ishibashiさんの絵の特徴だと思うのですがどのようにして生まれたのでしょうか。

Aki:元々は塩川いづみさんの絵がすごく好きで塩川さんのタッチを真似してました。他にもいろんなイラストレーターの人の絵を見ては真似していて他の人の好きなものを付け足していくうちにいつのまにかあのフォルムになっていきました。うまく融合してたな〜なんて自分でも思いますね。

自称:パクリエーター

──PUNK CAKE(古着屋)で個展を行っていたと思うのですが、なぜ古着屋で展示をされたのでしょうか。

Aki:PUNK CAKEでの個展は向こうから声をかけてくださって実現しました。PUNK CAKEでの展示はものすごく楽しくて、古着屋という場所に展示していることもあり、個性的な人が見に来てくれたりして、個人的に面白かったです。また私のイラストの洋服を買ってくれる人は、まるで自分が作ったものではないかのようにその人の世界観に合わせて着てくれるんです。それがすごく新鮮でした。これは古着屋で展示していないと味わえないことだなと思いました。

──PUNK CAKEでの展示はテーマがレコードや、映画といったカルチャーをピックアップした展示でしたが、そのようなものからインスピレーションを受けているのでしょうか。

Aki:実際のところは映画やレコードもどちらもそれほど詳しくはなく、見たことも聞いたこともない作品が多いです。PUNK CAKEの店員さんに好きな映画などを教えてもらって、そのジャケットを見て描くって感じです。他にも自分は漫画が好きなのでそれを、自分のタッチで描いてみたり、何かいいなと思ったものをモチーフにしたりすることが最近は多いので、自分のことを『パクリエーター』って呼称したりしています。

 

一番大事にしていることは楽しい気持ちで描くこと

──では、いつもどのようなテーマでイラストを描いているのでしょうか。

Aki:特にテーマとかはないですけど、楽しい気持ちで描くことは一番大事にしてます。あとはなんとなく目に入ったものをイラストにしたりすることが多いです。例えばバラの花が目に入ったからバラを使って、バラから出てくる女の子を描こうとか、目に入ってきたものを自分のイラストに関連付けて絵を描いています。

──PUNK CAKEでの展示等で、洋服を作っていて、活動がファッションと近い関係にあると思うのですが、Aki Ishibashiさんにとってファッションとイラストレーションとの関わりとはどんなものだと思いますか。

Aki:人それぞれが自分の価値観に基づいた世界を築き上げていくというところが、ファッションとイラストレーションの共通点だと思います。その波が重なった時にその時代らしさっていうのが生まれていくのではないのかなと思います。

 

──そうですよね。ファッションなんて特に流行とかが常にあって、イラストも受容されているものって時代によって変わっていますもんね。

Aki:自分もいろんなものを見てどんどん変わっているなって思ったりしながら、自分らしい絵を描いています。

デジタルで絵を描く理由

──Aki Ishibahiさんの絵は手書きでなくフォトショップで絵を描いてるということですが、なぜフォトショップで絵を描いているのでしょうか。

Aki:デザインの学校に行っている時、フォトショップのペンツールで描いていた時にすごくいいなと思ってからずっと描いています。ペンの設定とかも自由にできて、私は手書き風に近づけています。デジタルの良さって、自分のいいなと思った時に戻ることができたりすることもできるし、私にはとても向いているんですよね。

中にはデジタルだと原画がないし、いつだってコピーとかできるから・・・という人も中にはいますが、私は手書きにはないデジタルの良さやデジタルにしか出せないものがあると思うし、これからもデジタルで絵を書き続けたいと思ってます。

 

──Aki Ishibasiさんは今後どうなっていきたいでしょうか。

Aki:アニメーションやCG、VRなども取り入れて、新しい時代の流れに乗って合わせたようなものを試してみたいなと思います。

Text:Akari.KREADY TO FASHION MAG 編集部)

READY TO FASHION MAG 編集部

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