
バイイングとは
バイイングとは、ブランドやショップで販売する商品の仕入れを行う業務のことです。アパレル業界では洋服や服飾雑貨の買い付けを指すことが多いですが、広義では原材料・雑貨・生活用品などを扱う小売業の「購買・調達」も同じ意味で使われます。
ただしアパレル文脈では、バイイングはあくまで 「仕入れに関わる判断・交渉・数量決定」を指し、
デザイン開発や仕様決定=商品企画(MD/デザイナーの領域)とは別工程であることが多い点には注意が必要です。
バイイングの業務内容
バイイングの業務は、大きく3つのステップに分かれます。
①情報収集・事前準備
ターゲットに合う商品を選ぶため、事前に多角的な調査を行います。
- SNS・雑誌・展示会を活用したトレンド分析
- 過去の売上データや在庫回転率の確認
- 客層・販売価格帯・ブランド世界観の整理
- 今季の打ち出しテーマの確認
近年は流行の移り変わりが非常に速く、“売れるかどうかの判断” は難易度が高い仕事です。データを基準にしても、売れ残り・在庫過多のリスクが常に存在します。
②実際の買い付け
国内外の展示会やショールーム、マーケットで商品を選びます。
- 展示会での商品確認・オーダー
- 色・サイズ・数量の決定
- 価格交渉・納期調整
- 海外マーケットでのバイイング(パリ、NY、ソウル、LA など)
- 古着山から選別するラグバイイング
- デッドストック買い付け
自社ブランドの場合は、OEM/ODMで作られたサンプルから商品を選ぶケースもあります。
ただし、デザインの決定や仕様の指示はMD・デザイナーの領域である場合が多く、バイイングと役割が分かれることも一般的です。
③入荷後の管理と販売準備
仕入れ後は商品がスムーズに売り場へ並ぶよう調整します。
- 検品(汚れ・破損・サイズ確認)
- プライス設定
- 店舗ごとの在庫配分
- オンライン掲載用情報の整備
- 売れ行きの分析
- 必要に応じてリストック(追加注文)
バイイングは“買って終わり”ではなく、販売開始までの過程にも関与することが多い仕事です。
アパレル業界のバイヤーの仕事について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
バイイングの種類(業態別)
セレクトショップのバイイング
海外ブランドや国内ブランドを中心に商品を仕入れます。世界観・テイストの統一感が重要で、キュレーション能力が求められます。
自社ブランドのバイイング
OEM/ODMのサンプルから商品選定を行うことが一般的。コスト・素材・仕様・量産性まで理解し、MDとの連携が欠かせません。
古着・リユース業のバイイング
古着市場の成長で最注目の領域。
- ラグバイイング(古着山の選別)
- デッドストック買い付け
- 海外マーケットバイ
“価値の判断” が最も重要となり、目利き力が育つ業態です。
EC特化型のバイイング
オンライン販売に最適化した仕入れを行います。リアル店舗と異なり、下記の数値管理が非常に重要です。
- アクセス数
- 回転率(どれだけ早く売れるか)
- 在庫効率
- 返品率
- 配送・物流コスト
「売れるかどうか」以上に、「どれだけ効率よく在庫を回せるか」が重視されるのがECならではです。
バイイングに必要なスキル
- 売上・粗利・在庫回転率などの数値理解
- トレンド把握力・情報収集力
- 展示会で即断できる判断力
- 価格や数量、納期を調整する交渉力
- コミュニケーション力
- (海外バイイング)語学力
- 商品理解・ブランド世界観の解釈力
- リスク管理能力(売れ残りを想定した判断)
特にアパレルでは、「感性 × 数字 × 現場理解」のバランスが求められます。
未経験からバイイング職を目指すには
- 販売スタッフ → 店長 → MDアシスタント → バイヤー
- 古着ショップで商品知識と目利き力を身につけ、買い付け同行へ
- EC企業でデータ分析・在庫管理を経験し、ECバイヤーへ
- 個人で古着仕入れ〜販売の一連を経験し、実績をつくる
アパレル業界は経験値が重視されるため、販売経験や古着知識、EC運用経験は大きな武器になります。
バイイングの使用例
A「来季のバイイングは、ECで回転率が高いアイテムを中心に仕入れたいね」
B「了解です。昨年のデータを基に、数量と在庫効率を考えて候補をまとめます」
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