グローバリズムとローカリズム。

相対するこの二つの言葉を合わせるとグローカリズムっていう言葉になるらしい。世界中がSNSで繋がった今、僕らはSNSを介して国境を越え、時差を越えて世界中の動向を瞬時に確認できる。そんな世界中の日常風景が気軽に覗けるようになった今だからこそ、均質化をもたらすグローバリズムばかりではなく、コンサバなローカリズムの中に生まれる”グローカリズム”に注目したい。

ボクはここから1年間、ハワイ島のヒロという街に留学する。雨の街、なんて呼ばれるほど降水量が多い街は日系人によって作られ、ホノルルに次ぐ第2の都市である。しかし所謂ハワイのイメージとは違い、庶民的でコジンマリしている。ここでは繋がりたいと思ったモノやヒトに繋げてくれるのはヒトだ、SNSじゃない。住み始めてすぐに地元民のオープンさとコミュニティ力の強さを感じることが多々ある。もちろんハワイだから観光客も来るし、何と言ってもハワイ大学ヒロは全米でもトップクラスの人種の多様性を誇る。まさにローカルとグローバルが介在する街である。

連載第一回目となる今回は、そんな様々な人種で溢れるハワイ島ヒロに住むユース5人のファッション事情に迫ってみた。この島には基本的に服を買うことのできる店が少ない。それに何と言ってもここは常夏。ファッションに気を遣っている場合ではないのかも。学生を見てみると大半が「ファッション<筋肉」。スナップを撮影するとともに、軽く質問に答えてもらった。

1.ローカルハワイアンガール、マナ

ーまずは何と言ってもビッグアイランド出身の子がいい、て思ってたらぴったりな子を見つけた。17歳のローカルハワイアンガール、マナ。ハワイ島ヒロにあるローカルスケートボードショップの店員をやっていて、来年からハワイ大学に進学してアートを学ぶ予定。日本にもいたことがあるんだって。休学中でもバイトに作品制作、アーティストのお母さんの手伝いと大忙し。

──いつもどこで服買うの?

マナ:リサイクルショップとか古着屋みたいなところが多いかな。このTシャツも25セントくらいで買って、自分で着丈切って短くしたんだよ!

──ファッション好きなんだ、この島の人たちはファッションにあまり興味がないように見えるのだけど…

マナ:そうだね、ハワイ大学ヒロにもオシャレな人なんてほぼいないよ(笑)若いのに服装に気を遣わないのは本当に嫌!ハワイは暑いからしかたないのかもしれないけど、なんとかしてほしいなぁ

──将来はファッション関係に進みたいの?

マナ:まだ分からないかな、でも服のデザインだったりブランド立ち上げはすごい興味ある!思いついたデザインはいつもノートに書いてるよ。このスケボーの絵も自分で描いたんだよ

──この街は本当に服を買える店が少ないよね

マナ:その通り!でも意外と穴場みたいなところもあるから今度紹介してあげるよ!

2.いつもスポーツウェアばかりのニック

サンフランシスコからやってきたルームメイト、ニック。サッカーも勉強も熱心で将来の夢は警察。ファッションに関してはいつもスポーツウェアばかりで無頓着。久しぶりにオシャレをしていたから撮影をお願いしてみた。ぶっちゃけこれで仲良くなれた。

──普段から服装はあまり気にしないの?

ニック:うん、ジャージやスウェットばっかりだよ。楽だし、サッカーチームの練習にもそのままいけるしね。

──服はいつもどこで買うの?

ニック:ハワイでは買ったことがないな。全部実家から持って来たやつばかり。この前ロサンゼルスに10日間行って来たの覚えてる?あの時も買ったのはサッカーグッズだけだよ。

──せっかくだったのに…笑 ここには2年間だよね、服はどうするの?

ニック:特に買う予定はないよ。必要になったらスポーツショップやウォルマートで買おうかな。年末にサンフランシスコにも帰るしね。

3.ワークテイストが目を引く、テイラー

次はハワイ島ヒロ出身のテイラーくん。趣味はギターにドラム、溶接と実に多彩な18歳のローカルボーイ。機械溶接のクラスを専攻してるらしい彼のワークテイストなファッションが気になって声をかけてみた。

──服はいつもどこで買うの?

テイラー:ヒロは店が少ないから基本的にオンラインショップが多いよ。このカーハートのパンツやジョージアブーツもそう。アメリカ本土やカナダからなら送料はそんなに高くないから、大手ECサイトやブランドホームページで購入しているよ。

──エンジニアって感じの格好でイケてるよね。服のこだわりはある?

テイラー:特別なこだわりはないんだけど、リーバイスやカーハート、バンズのアイテムが最近のお気に入りかな。

4.オシャレボーイ、アレクサンドロ

イタリアからやってきたアレクサンドロ、20歳。ミラノ近くの街出身で、いつも服装にある程度の気遣いが見られる。ファッションに疎い街に住む、ファッションの国からやって来たオシャレボーイのファッション事情とは。

──好きなブランドはある??

アレクサンドロ:グッチが大好き。今日履いているアレクサンダーマックイーンのスニーカーもお気に入りだよ。日本だったらヨウジヤマモトがすごいかっこいいと思う。

──この大学の学生のファッションについて思うことはある?

アレクサンドロ:ファッションスタイルは個人的なものだから言い辛いけど、オシャレな人は少ないよね。でもこんなに年中暑いんだし、気候に合わせたらそれも仕方ないのかな。

──季節ごとのファッションを楽しめない環境だけど、大丈夫?

アレクサンドロ:その通りだね。それも含めて、本当はアメリカ本土に行きたかったんだ。今年はここで一年暮らして来年から本土に行きたいんだよね。

──こっちにいる間はどうやって服を買う予定?

アレクサンドロ:実は今日着ているDSQUAREDのTシャツはこっちに来てからオンラインで買ったんだ。カナダから取り寄せたんだけど、17ドルくらい(約1900円)の送料だったよ。店が少ないからオンライン購入が多くなりそうだね。

──将来はファッション関係に進みたい?

アレクサンドロ:夢はまだ決まっていないんだ。でも興味はあるし、ファッションをライフスタイルの一部として生きていきたいと思ってるよ。

──冬服は恋しい?

アレクサンドロ:もちろん(笑)イタリアの冬が恋しくてもう年末のイタリア航空券予約しちゃったよ

5.自分磨きを怠らない、マーヴィン

圧倒的な身長の高さとルックスで存在感を放っているドイツからの留学生、マーヴィン。陽気な性格で、来るヒト拒まずってっいう感じがハワイ留学生のイメージにぴったり。ゴルフが得意で、早寝早起きに自炊、肌の手入れまで自分磨きを怠らないんだって。

──いつも違うスニーカーを履いているようだけど、スニーカーが好きなの?

マーヴィン:スニーカーはドイツからたくさん持ってきたよ。今日はジム用のスニーカーだからあんまりオシャレじゃないんだけど、、今度違うやつを履くからまた撮ってよ!

──スニーカー以外のファッションのこだわりは?

マーヴィン:そこまで強くないかな。ナイキだったりていうスポーツ系のブランドで購入するのが多いよ。

──ヒロとドイツのファッション感の違いは感じる?

マーヴィン:ラフさだね(笑)何しろここは本当に暑いし。

──服は今後どうやって買っていくつもり? 

マーヴィン:まだ分からないけど、店も少ないしオンラインが多くなって来ると思うよ。

writer’s view

僕のこちらでの普段の服装というと、大体リーバイスの501スキニーかREDCAPのシェフパンツに無地Tシャツといった感じだ。よくスケボーもするから日本にいる頃からそこまで高い服はあまり着ない。しかし稀にいつもよりオシャレをしたくなる時があって、そういう時は決まって「今日はなんでドレスアップしてるの?」「パーティでもあるの?」っていう声をかけられる。ここヒロでは基本的にファッションに気を遣うという概念がないという声も聞く。特に年齢が上がるほどその傾向が強そうだ。反面、街の人をみてオシャレだな、と思うことはほぼなくても、こうして実際に若い世代に話を聞いてみると気にしている学生もちゃんといる。この街の若者もまたSNSやオンラインショップの普及が、服屋の数の少なさに関係なく彼らのファッション感を次第に刺激しつつあるのだろう。世代間においてもローカリズムとグローバリズムの違いがありそうだ。飛行機で一時間の距離でも、オハフとは全く違うファッション事情だと言われるハワイ島ヒロ。ここならではのグローカリズムをこれからも探してみたい。


READY TO FASHION MAG 編集部

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