
ラグジュアリーブランドでは新卒採用の門戸が限られるケースもあり、若手がブランドの世界に触れる機会は決して多いとは言えません。憧れのブランドに挑戦したいと思っても、その入り口は狭く、十分な準備を積む場も限られているのが実情です。
「ブランドに必要なのは、販売スキルだけではなく、世界観を体現できる人材です。しかし、その準備を十分に積める仕組みは、これまで決して多くはありませんでした」
そう語るのは、店舗運営代行や店舗コンサルティングなどを手がけるファッション人材エージェンシー、インター・ベルの人事担当者です。
こうした課題を背景に、同社は2026年度 新卒採用より「ブランド選択コース」を新設。インター・ベルに正社員として入社後、最長1年間、株式会社マッキントッシュジャパンが展開する「トラディショナル ウェザーウェア(Traditional Weatherwear)」または「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」の店舗で実務経験を積み、その後同社へ転籍できる特別なキャリアルートが制度化されました。
通常は新卒採用を行っていないマッキントッシュジャパンのブランドに、新卒からチャレンジできる点が大きな特徴です。
では、実際にその準備期間は若手にとってどのような意味を持つのでしょうか。制度開始以前に同様のプロセスを経て「トラディショナル ウェザーウェア」へ転籍した若手スタッフのリアルな声から、その価値を紐解いていきます。
ファッションで人を喜ばせたい。新卒でインター・ベルを選んだわけ
──新卒でインター・ベルに入社されました。
もともと、ファッションの楽しさをお客様に届ける仕事がしたいと考えていて、自然とファッション業界を志すようになりました。自分の接客や提案によって、誰かの1日や気持ちが少しでも前向きになる、そんな瞬間に立ち会えたらすてきだなと。
一方で、ファッションが好きという気持ちはあったものの、未経験の自分がこの業界に飛び込んでもいいのか、という不安も大きかったです。そんな中で出会ったのが、ファッション人材エージェンシーとして複数のブランドで経験できるインター・ベルでした。プロの販売員を育成するために研修制度が整っていると知り、知識や経験がなくても挑戦できる環境だと感じたことが、入社の決め手です。
──複数のブランドで経験を積める点に魅力を感じていたんですね。
そうですね。ファッションって、「この服を着ると、気分が少し高まる」といったように、気持ちと密接につながっているものだと思うんです。どうすれば、そういった高揚感や楽しさを生み出せるかという点に興味がありました。そのため、特定のブランドにこだわるというよりも、現場でお客様と向き合いながら、ファッションの魅力そのものを伝えられる環境で働きたい、という思いが企業選びの軸だったように思います。
入社後は、レディースのハイブランドに配属され、約1年間、基礎から徹底的に研修を受けました。実際にブランドの先輩方の接客を目にした時、その立ち居振る舞いの美しさや説得力に圧倒されたのを今でも覚えています。「こんな販売員になりたい」と、素直に憧れましたし、少しでも早く追いつきたいという気持ちでいっぱいでしたね。

──インター・ベルの研修では、具体的にどんな内容を学ばれたのでしょうか?
座学からロールプレイングまで、幅広いカリキュラムが用意されていました。正直に言うと、ロールプレイングはあまり得意ではなかったのですが、最終的には高い評価をいただくことができ、自信につながりました。
社内研修だけでなく、実際の現場でも、接客の基本から顧客作りに至るまで、段階を追って丁寧に教えていただきました。アシスタント業務をこなしつつ、先輩方の接客について顧客作りを学べる環境だったため、段階的に接客・販売の土台を築いてから現場に立てるのは、大きな安心材料でしたね。
──実際に店頭に立ってみて、いかがでしたか?
新卒で、しかも最初の配属がハイブランドだったので、最初はかなり緊張しました(笑)。ゼロからのスタートで、最初は顧客作りに苦労しましたが、さまざまなお客様と接する中で、少しずつヒアリング力に手応えを感じられるようになり、顧客数も増えていきました。
異動前には、私のために来店してくださるお客様もいらっしゃって。その時は、ここまで頑張ってきてよかったな、と心から思いました。接客において常に大切にしていたことは、お客様を第一に考え、「どうすればこの時間を楽しんでいただけるか」を考え続けること。とてもシンプルですが、その基礎だけは、どんな時もブレずに意識していました。
一体感のあるチームが、転籍を後押し
──その後は、どのようなキャリアを歩まれたのでしょうか。
派遣としてハイブランドで約2年間経験を積んだ後、30代向けのレディースブランドの代行店舗を担当しました。店長業務を任せていただくなど、店舗運営に深く関われましたね。その後、スポーツブランドの代行店舗を経て、「トラディショナル ウェザーウェア」に配属されました。
──トラディショナル ウェザーウェアでの経験をきっかけに、同ブランドへの転籍を決意されたそうですね。きっかけは、「人に魅了されたこと」だったとか。
はい。ファッションに対する熱意や知識の高さも印象的でしたが、それ以上にチームとしての一体感を強く感じたんです。それまでは、自分の業務や成長に意識が向きがちでしたが、トラディショナル ウェザーウェアでは、周囲のスタッフや先輩の働き方を通して、自分の仕事以外にも目を向けることの大切さを実感しました。
派遣という立場であっても、親身に寄り添い、対等に接してくださる方が多く、自分もチームの一員なんだと自然と感じられたんです。
その温かい空気感は、接客にもそのまま表れています。一つひとつのアドバイスやフォローに愛情があり、このブランドにもっと深く関わりたいと思ったのが、転籍を決めた一番の理由です。
──スタッフ同士の熱量が、ブランド全体に伝播しているんですね。
まさにそうだと思います。「ここで働きたい」と、初めて一つのブランドに気持ちが定まった瞬間でした。当時は転籍が制度としてまだ確立されていなかったので、人事の方に相談し、トラディショナル ウェザーウェアへの転籍が決まりました。転籍後は、新店舗のオープニングスタッフとして配属されました。
──転籍後、派遣として働いていた時とギャップを感じたことはありましたか?
店舗が変わっても、チームの一体感は変わらなかったですね。転籍後に最も感じた自分の変化は、日々の業務を点ではなく面で捉え、仕事を俯瞰して考えられるようになったことです。
それまでは販売を最優先に、目の前の業務をこなすことで精一杯でした。ただ、顧客管理やVDMなど、任せていただける業務が増えるにつれ、自分の仕事がチームやお客様、その先のブランドの価値にまでつながっていることを強く意識するようになりました。組織として店舗を運営する視点を養えたのは、転籍を経験したからこそだと思っています。
──一つのブランドに腰を据えて向き合うことで、ブランドの価値を継続的に育てるためのスキルが培われていったんですね。
そうですね。顧客作りやブランドビジネスを、短期的な成果ではなく長期的な視点で捉えられるようになったことは大きかったです。また、やりがいが増えたことも転籍のメリットの一つです。仕事を知れば知るほど、次はこれに挑戦してみたい、という気持ちが自然と湧いてくるんです。
それに、尊敬できる方の存在が身近にあるのも大きいと思います。丁寧なご提案をされる接客姿勢はもちろん、困った時には必ず的確なアドバイスをくださる。そんな姿を見て、純粋に近づきたいと思える方々がいます。

──インター・ベル時代に培ったスキルは、現在の仕事でどう活きていると感じますか?
インター・ベルでは、幅広いブランドを経験し、さまざまなお客様と向き合ってきました。その積み重ねがあるからこそ、今もヒアリング力や提案の引き出しには自信があります。
たとえ、お客様のご希望の商品が店頭になかったとしても、おもてなしの気持ちを忘れずに別の選択肢をご提案する。最後まで足を動かし、退店されるまで全力でご対応するといった、接客の土台を築けたのは、インター・ベルでの経験があったからです。
──入社当初、特定の好きなブランドをまだ見つけていないとおっしゃっていましたが、今は心から働きたいと思えるブランドに出会えていますね。
そうですね。正直、こんなにも好きになれるブランドに出会えるとは思っていませんでした。そこで働く方々が好きにさせてくれた、という感覚が近いかもしれません。
ファッションに真摯に向き合う人たちと一緒に働くことで、商品の魅力は自然とお客様に伝わるものだと思っています。洋服を通して人を喜ばせたい、という思いは入社当初から変わっていません。自分の価値観や仕事への姿勢と共鳴できるブランド、そして人に出会えたことが何よりの財産です。

──荒木さんをはじめとするインター・ベル社員の仕事ぶりが評価されたことを受け、マッキントッシュジャパンへの転籍制度が「ブランド選択コース」として制度化されました。ファッション業界を目指す学生にとって、どんな意味を持つものになると思いますか?
新卒採用を行っていないハイブランドも、新卒で挑戦できる選択肢としてあるのは、大きな魅力。また、幅広いブランドを経験できる環境でありながら、将来の道筋をある程度描いた上で働ける点は、学生にとって安心材料になると思います。不安を抱えすぎることなく、自分の目指すブランドに向かって努力できる制度だと感じます。
──最後に、「ファッション業界を目指しているけど、まだ好きなブランドが決まっていない」という方にメッセージをお願いします。
インター・ベルの最大の魅力は、未経験でも安心して挑戦できる点。研修制度を活用しながら、自分が本当に入りたいと思えるタイミングでブランドを選べる道が用意されています。
ブランド選択コースは、一見ハードルが高く見えるかもしれませんが、仕事に真摯に向き合える人で、「挑戦したい」「成長したい」という気持ちが少しでもあるなら、自分を変えられるきっかけにもなると思います。自分が成長すれば、その姿を見てよろこんでくれる人が必ずいます。ぜひ一緒に、一歩を踏み出しましょう。
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