ファッションをテーマに活動している若者のリアルや、同世代へのメッセージを届ける連載企画「若者VOICE」。第17回目となる今回は大学に通いながら、『そこに美しさがあるのなら、性別はもはや関係ない。』というテーマのもと、KINDNESS PEOPLEのアーティスト名で自分のアートワークを製作している古賀 友理絵さんに語っていただきました。

 

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KINDNESS PEOPLE/古賀友理絵

大学に通いながら、『そこに美しさがあるのなら、性別はもはや関係ない。』というテーマのもと、オリジナリティ溢れる独特な作品を制作している。

Instagram:@kindness_people_

 

 

ー大学では何を専攻していますか?

KINDNESS PEOPLE(以下KP):主にデザイン系です。基本的に自分のやりたいことはなんでもできる学科なので、映像やタイポグラフィー、 詩、色彩論、デザインヒストリーなど、多角的な視点からデザインについて学んでいます。学科の座学と実技が大体同じ割合くらい。いい学科ですが、ただ授業を受けているだけでは課題が増えるだけで、本当に自分の作りたいものが自動で出来上がっていくわけではありません。私は一年生の終盤で大学に見切りをつけ、自主制作を能動的に進めています。

 

 

ー古賀さんの作品にはオリジナリティがあり、かなり独特な世界観があると思うのですが、どのようなツールを利用して作品を制作していますか?またその過程を教えていただきたいです。

KP:基本的にはメイク用品、一眼レフカメラ、照明機材、背景紙、あとは画像編集ソフトとしてPhotoshopを使用しています。作品制作をするとき、被写体のパーソナリティを尊重したいので、基本的に最初は対話から始まります。ポートレートの場合、個々のパーソナリティからインスピレーションを受けることが多いので、対話は私にとって非常に大切なものです。会話の中で被写体の性格や好み、隠れた人間性などをつかみ、それをメイクやポージングやスタイリングに落とし込みます。あとは撮影したものをPhotoshopで画像加工し、Instagramにアップするという流れです。

 

ー作品制作に影響を与えたアーティスト、もしくは事柄などはありますか?

KP:6歳の頃、生まれ育った福岡で草間彌生のポスターを見た時、とても心を動かされたことを覚えています。私は色に対して言葉では表せないような感情を持っています。その後、私は色を解放させて表現するアーティストらに数多く出会ってきました。「マティス」「ジェームズ・タレル」「ヨゼフ・アルバース」「モネ」「トーマス・マックナイト」など。それらは未だに私の直感の中に住み着いていて、私が色を操る際にいつも助言をくれます。彼らの作品は私の中では聖書のようなものです。他には、私の世界を豊かにしてくれるのは様々なリズムや音楽、演劇、歌唱、服づくり、ドールメイクなどがあります。私は常に生活の全てを心地のいい作品だと感じています。また、アート界隈以外にも西村博之氏や茂木健一郎氏、落合陽一氏は私の尊敬する人物です。彼らからは、アートとは別の、楽しい人生の生き方や、これからの社会についての思考法を学びました。既成概念にとらわれず、論理的な思考と自身の感覚で新たな世界を導く科学者やプログラマー、思想家、実業家はアーティストと似ているところがあり、共感できることも多く、とても敬愛しています。知性とユーモアと大胆さと子供らしさを忘れない大人が好きです。
 

 

ー作品制作の他に学生服飾団体「Keio Fashion Creator」にも所属しているようですが、そこでは何を行なっていますか?

KP:主に広告となる映像や、定期的にアップされる写真の撮影・編集等です。

 

ー古賀さんにとってファッションとはどのような物なのでしょうか?

KP:私は元々ファッションが好きというより、人をカッコ良くする・美しくすることが大好きで、自分に向いている絵筆が、メイクやスタイリング、写真や映像だったという感じです。自分の姿が四六時中見えるわけでは無いので、私にとって私自身をスタイリングすることは難しいと感じます。私は外見について考える時間が他人よりも短いです。なので私にとってのファッションは”人を美しくする絵筆”ですかね。
 

 

ー「ファッション業界からの若者離れ」を問題視しているのですが、古賀さんから見てもそれを感じますか?

KP:私は「ファッション業界からの若者離れ」は、そこまで問題視することではないかと思います。今の業界は新しものの誕生が停滞しているように映ります。その原因は、今の時代柄、今までに全くなかったものを発信することがハイリスクだからと思います。ただその停滞自体は貴重なものだと思うんですよね。この停滞によって大手企業が潰れると、新しい若い世代の業界に対するフラストレーションが溜まりだして、また新しい面白いものが誕生すると思うんです。だから今はそのサイクルの中の、若い人達のフラストレーションが溜まっている段階なのではないでしょうか。

 

ーアーティストしての最終的なゴールはなんでしょうか?

KP:将来は活動の拠点を海外に置き、世界中でいろんな人を撮影して、ジェンダー問題だけでなく、各国の美や伝統を尊重しながら様々な固定概念を更新していきたいですね。あとは、アーティストでありながらもコンスタントにお金を稼いで、経済的な面でアーティストになるのを諦めてしまう人々の背中を少しでも押してあげる人になりたいです。クリエイティブディレクター的なことをしつつ、最終的にはやっぱり自分の事務所なり会社なりを立ち上げたいです。

 

ー日本国内ではなく、海外に拠点を置く理由は?

KP:海外では、日本よりも自由に自分のやりたいと思う題材作品を制作することが可能で、それが人々に受け入れられやすいと思うからですね。

 

ー最後に、あと一歩を踏み出したいと思っているファッションが好きな若者にメッセージをお願いします。

KP:5分以内にやりたいことを書き並べて、片っ端から自分の好きな作品の真似をしてどんどん行動してみましょう。毎日「楽しい!」と思うモチベーションを大切に。「最近つまらないな、やりたいことないな」と思う時は、好きなこと,新しいものが発見できていない時、単純にインプット不足である時が多いです。ネットで昔好きだったものを再度調べてみたり、今までやってこなかったことに手を出してみたり、またはそう思っている自分が何に多くの時間を使っているか書き出すのも効果的です。いつからでも人生は変えられる、1秒先の未来は常に自分の選択次第です
 

 

ーありがとうございました。

 

text:タナムラリュウスケREADY TO FASHION MAG 編集部)

READY TO FASHION MAG 編集部

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