【連載】「古着の取扱説明書」 vol.2: ビンテージとユーズド

近年、注目度が高まっている古着の本質的な魅力を探っていく本企画【古着の取扱説明書】。第二弾となる今回は、ビンテージとユーズドの違いとそれぞれの魅力についてお話ししようと思う。

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古着に興味のない人でも、ビンテージという言葉を耳にしたことはあるのではないだろうか。最近では、カフェや雑貨屋の内装としてビンテージ風のデザインを採用することも多く、様々な場面で耳にする言葉になった。しかし、様々な場面で使用されるがゆえに、『ビンテージであることの定義』がどんどん曖昧になってきている。まずはビンテージという言葉自体から、その定義を考えてみようと思う。

 

“vintage”の語源が「ブドウを収穫する」という意味であったことからも分かるように、本来は年代物のワインに用いられる単語であった。そして、それが転じて「古く、価値のある物」全般を指す言葉となる。このように、ビンテージは一般的に価値のあるものに対して使われる言葉なのだ。辞書などで調べても、単純に古いだけでなく『価値を持っているものである』というニュアンスが含まれている。その一方で、“used”という言葉は文字通り「使用済みの」という意味になり、そこに価値を見出している言葉ではない。古着においてこの二つの言葉を混同している人もいるかもしれないが、「古さが価値となるかどうか」という点においてビンテージとユーズドでは大きな違いがある。

ここで気になるのが「何年以上経っていればビンテージと呼べるのか」という点ではないだろうか。実は、似た意味の英単語である“antique”は、100年以上前のものという厳密な基準が存在しているが、“vintage”という言葉にはそれがない。つまり、ビンテージかどうかという明確な客観的基準は存在せず、主観的な判断に委ねられている部分が大きいのだ。そのため、「1970年代以降のものはビンテージとは呼べない」という主張の人もいれば「古さに関わらず、その当時しか生産されていない貴重なものはビンテージである」と見解の人も存在する。実際にバンドTシャツなどは、90年代頃のものでも驚くような高値で取引されることがある。このような値段や希少価値では判断しきれない主観的な価値基準というのもビンテージ古着の魅力の一つなのではないだろうか。

 

Into storage they go!

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とは言うものの、特にデニムやスニーカーなどビンテージ物は高価なことが多く、なかなか手が出せないという人も多いのではないだろうか。そのような点では、ユーズド古着は非常に魅力的だ。国内外問わず、人気のブランドやショップの商品が定価の半額以下で購入できることも少なくない。このような、古さという価値基準からくる価格の違いがビンテージとユーズドの最も大きな違いだろう。どちらが良くどちらが悪いというものではないので、着るシチュエーションによって使い分けて楽しんでほしいと思う。

ここからは少し、それぞれの魅力についてお話ししようと思う。ユーズドの魅力は何といってもコストパフォーマンスだろう。リユースショップで掘り出し物を見つけた経験のある人もいるかもしれない。実際に、洋服の定価や使用状態を見てお買い得な商品を見つけるのは、古着を選ぶ審美眼を養うのに最も有効な手段の一つだろう。自分に合ったサイズを選んで買うショップでの買い物とは違い、古着はそこにあるサイズと色の洋服を買うしかない。一期一会で一目惚れした洋服を着こなす。これが手軽に楽しめるのがユーズド古着なのだ。これに対してビンテージ古着の魅力は、その圧倒的な雰囲気ではないだろうか。ダメージやリペア、ペンキが飛び散った汚れなど新品の洋服や意図的に加工されたものとは全く異なる迫力のある服がたくさんある。一見すれば汚い洋服に見えてしまいがちだが、「見る人が見ればわかる」こともマニア心をくすぐるのかもしれない。

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ユーズドとビンテージのそれぞれの違いや魅力に気づいていただけただろうか。どちらが優れているわけでも劣っているわけでもなく、それぞれに個性と魅力があるのだ。今までどちらかに傾倒していたならば、ぜひもう片方の古着も魅力にも気づいてほしい。次回以降も、さらにマニアックな古着の魅力についてお伝えしていこうと思う。

 

Text:K.Noguchi(READY TO FASHION MAG 編集部)
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