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シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)17ss collection プレゼンテーションは冷たい雨の降る 原宿VACANTで行われた。

会場の中に入ると、アフリカやアジアの民族音楽を彷彿とさせる陽気な音楽が来場者を出迎え、その音から私たちは”様々な国の文化が混じり合うことで新しい発見が出来る事を、シアタープロダクツがこれから見せてくれるのではないか?”と期待で胸を膨らませる。そして、私たちの目の前に現れたコレクションは まさにその期待に応えるものだった。

『GOLDMINE(ゴミの山は誰にとっても宝の山)』をテーマに発表された17ss。まず、今回のコレクションで最初に注目すべき点は15ssぶりのインスタレーション形式での発表だったことだ。

気流や潮に流されて様々な国から流されて集まった漂流物の山は、一見ゴミの山にも見えるかもしれない。しかし、漂流物に対しそのような感情を持つのは”漂流物の過去の姿と現在の姿を比べるから”ではないだろうか。比べるからこそ、それが ”もう使うことが出来ないもの”と決めつけてしまう。そこで、過去と比べることで”ゴミ”として認識されてしまう物に未来の新しい価値を見いだし、それを多種多様の漂流物が集まるマーケットのように見立てたインスタレーションを行い発表した。また、モチーフにはどこから流れ着いたのかわからないものの、アフリカや中東を彷彿とさせるマテリアルやヒンドゥー文字、アジアのどこかの民族衣装を使用。色鮮やかな色彩と素材が溢れたコレクションとなっている。

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”気流や潮に流されて集まってくる漂流物のマーケットをイメージした”というオリジナルテキスタイルは一つ一つに注目すると、ペットボトルや缶、小包シュガーやバター、歯磨き粉にリップスティックの紙箱などが描かれていることがわかる。これは漂流してきたゴミをモチーフにしたもので、デザインは東アフリカを中心に衣服などに使われる”カンガ”をイメージしてデザインされた。

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最近、ドルチェ&ガッバーナやユニクロが新ラインとして発表したことからさらに注目を集めているムスリム。シアタープロダクツでは”ムスリム風ヒジャブ・ドレス”を発表。スカートの1部を頭にかぶることが出来、用途によって使い分けることも出来る。ドレスの他にも、サリー・ラップ・スカートやサリーパンツなども用途によって使い分けることが可能だ。これらは、過去の姿(元々提案された形)と比べることなく、新しい価値(提案された形とは別の着方)を見出すということを服を通して提案している。

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アクセサリーやバックにも漂流物からインスピレーションを受けている様子を見ることが可能だ。

猫の写真のイヤリング・キーホルダー、よく見ると透明なケースの中にシアタープロダクツオリジナルのテレホンカードが入っている。”カードの中に入っているマネーが使い終えられると、捨てられてしまう”そんなテレホンカードにアクセサリーとしての新しい役割を与えることでそれはこれから先も使い続けられていく。

他にも、いらなくなったリップの紙箱や、プラスチック製のスプーンなど、一般的にはゴミとしてみなされてしまうものに新しい未来を提案している。

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そして、今回はBRINGプロジェクト(日本環境設計機構会社が手がける繊維製品のリサイクルプロジェクト)とのコラボレーションアイテムも発表。オリジナルのリサイクルロゴが入っており、再利用するための服を持ち運ぶためのバックをイメージして作られたそう。

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「洋服があれば世界は劇場になる」というコンセプトのもとブランドを立ち上げてから15年。今回のコレクションのテーマはこのように締めくくられている。

「豊かな発想が世界を平和にする。ゴミの山は誰にとっても宝の山=GOLDMINEだ。」

衣服を通して訴えらたこのメッセージはコレクションはもちろん演出の細かいところにまでに通っており、空間全体がブランドのテーマを表現していた。そして、何より今回インスタレーションの形式を取ったことで私たちはモデルが纏う服やアクセサリーの細部までを取材することが出来たのだ。

”ファッションのプレゼンテーションは、ランウェイの上だけではない!”

と”空間を作り出す”ということを大事にしているシアタープロダクツから服の持つ魅力や時間が存分に引き出されたインスタレーション(空間)によって改めて訴えられたような気がする。

Text: Tomomi Abe

シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)公式インスタグラム:

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READY TO FASHION MAG 編集部

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