ファッション業界の疲弊が叫ばれる中、あえて地方から“オシャレ”について考える連載企画「オシャレしなくていい街で、オシャレする。」の第2弾となる今回は、スナップを通して山口を活性化させようと活動する大学生の声を聞いた。

山口にもこんなにおしゃれな人がいるってことを発信したかった

清水研一・・・
山口大学工学部機械工学科2年。航空宇宙システム工学を専攻している。大学内でオシャレな人にフィーチャーしてスナップを撮る“Y.U.snap”と並行して、各大学の学生が自身の大学の魅力を発信するウェブマガジンである“キャンパスグラフィティ”の山口大学チームの立ち上げを行っている。ファッションや学生生活を通して、山口県を若者の力で盛り上げることを目標に活動している。

──清水さんは、キャンパス内でオシャレな人のスナップを撮影しているそうですが、まずファッションに興味を持ち始めたキッカケを教えてください。

清水:一つ鮮明に覚えているのが、中学二年生くらいの時に、Tシャツとシャツを重ね着している人を街で見た時にすごくかっこよく見えたんです。それ以来いろいろな洋服を組み合わせてコーディネートすることに魅力を感じるようになって、自分自身のこだわりを持つようになってきました。ファッションは自分を表現するものだと思うんですけど、そこにこだわりを持つことってとても素敵なことだと思ったんです。あと、僕は徳島県出身なんですけど、大阪や神戸は比較的アクセスが良くて、そういった街に行くと自然とそこで服を買いたくなって、都会やオシャレな場所にどんどん憧れるようになっていきました。

──いま行っているY.U.snapの活動に関して教えてください。

清水:Y.U.snapでは山口大学のキャンパス内でオシャレな人のスナップを撮って、twitterやinstagramなどのSNSで発信しています。

──清水さん一人で活動しているんですか?

清水:そうですね。今のところはほとんど一人でやっています。ただ、せっかく新しいものを始めたので、僕が卒業した後も活動が続いていくように後継者を見つけたいと思っています。

──ファッションを楽しむ立場だった清水さんが“発信する立場”になろうと思ったのはなぜですか?

清水:もともと高校時代から写真を撮ることが好きだったこともあって、「何か新しことを始めよう!」って思ったときにスナップを思いついて。自分のスナップを撮ってもらうことは何度かあったんですけど、自分がとることによって新しいことに気付けるかもしれないって思いもありました。山口県は都会に比べるとお店やおしゃれしている人は少ないかもしれないけれど、それを悲観的に捉えるんじゃなくて「山口にもこんなにおしゃれしてる人がいるんだぞ」ってことを発信したかったんです。

──スナップを撮ったり発信する立場になって気づいたことや思うことはありますか?

清水:やっぱり、山口大学には際立って目立つようなオシャレな人は多くはないんだなってことは実感しています。あとは都会と地方では情報量に差があることも感じます。雑誌やSNSなどはもちろんあるけど、街の中で得られる情報が少ないんですよね。僕がファッションに興味を持つようになったキッカケと同じような体験をすることが少ないのかなと感じています。

──それは街にいるオシャレな人や店から得られる情報ということですか?

清水:そうですね。僕が県外出身だからこそ客観的にそういったことに気づけたのかもしれません。

文化や街の活気を創るのは若い世代の役目

「Y.U.snap|Twitter」: @snap_YMDI
「Y.U.snap|Instagram」: @yu_snap2017
「山口大学キャンパスグラフィティ|Twitter」:@yamadaigraffiti

──現在、Y.U.snap以外にも『山口大学キャンパスグラフィティ』の立ち上げを進めていると聞きました。

清水:はい。キャンパスグラフィティはファッションの情報に限らず、大学の魅力やサークル活動などについて全国に発信していくウェブメディアです。山口での学生生活の楽しさなどを伝えることで、山口を盛り上げてくことにつながると思っています。Y.U.snapのコンセプトも服装やオシャレさだけでなく“ファッションを通して山口を盛り上げる”ことに重点を置いているので、キャンパスグラフィティと並行することでより山口を全国に発信できると思っています。実はキャンパスグラフィティの担当の方にY.U.snapを見て頂いたことが立ち上げのきっかけでした。自分一人で始めた活動がこのプロジェクトに繋がって、一緒に活動してくれる仲間も今では10人前後集まっています。段々と大きな活動になってきていることを実感できています。

──キャンパスグラフィティに参加している大学を見ると関東若しくは関西の私立大学がメインのように思えました。

清水:基本的にはそうですね。先日東京でキャンパスグラフィティの説明会に参加したんですけど、参加しているほかの大学も関東の私大ばかりで、司会者の方に「山口大学から来てくださいました」と紹介していただいたときは会場がざわつきました(笑)

──国立大学というのも珍しいですよね。

清水:国立大学でキャンパスグラフィティに参加しているのは、現段階では、京都大学・東京大学・山口大学ですね(笑)。でもそれが逆に良いインパクトになるんじゃないかと思ってますし、他の大学と同じ活動で情報を発信することで「山口だって負けてない!」ってことを伝えられると思ってます。

──Y.U.snapとキャンパスグラフィティ、この二つの活動のこれからの展望や目標を教えてください。

清水:二つの活動の共通の目標は“若い世代から山口を盛り上げる”ことです。文化や街の活気を作るのは若い世代の役割だと思っているので。そして、最近は段々とY.U.snapの活動を知ってもらえるようになってきたのでもっともっと活動を大きくしていきたいって思いはあります。僕は洋服のプロではないので、お店を出したり服を作ったりすることはできないと思うんですけど、いま山口にあるものを発信していくことは大学生でもできると思っていますし、そういった情報発信のツールとしてY.U.snapが機能すればと思っています。今年の秋ごろからキャンパスグラフィティの活動が本格化してくる予定なので、そこに向けて二つの活動のコラボレーションも考えています。ただ僕はこの二つだけでは満足していない部分もあって(笑)なので最終的には山口の雑誌やフリーペーパーみたいなものを作ってみたい気持ちもあります。SNSには過去の投稿を簡単に見返すことができる利点はあると思うんですけど、一つの作品みたいな感じで形に残るものを作ってみたいです。

──ありがとうございました。


READY TO FASHION MAG 編集部

1000社・25万人/月間が利用するファッション・アパレル業界の求人WEBサービス「READY TO FASHION」を運営する株式会社READY TO FASHIONが、業界での就職・転職活動に役立つ情報を発信するメディア『READY TO FASHION MAG』。業界の最新情報をお届けするコラムや業界で活躍する人へのインタビュー、その他ファッション・アパレル業界の採用情報に関するコンテンツを多数用意。

PERSON