洋服やファッションアイテムには、イラストや、刺繍が、ファッション雑誌ではイラストで伝えるページや挿絵など、ファッションとイラストレーターは、切っても切り離せれない関わりがあります。

本連載企画ではイラストレーターだからこそ伝えられるファッションの魅力などを、最前線で活躍する対象者のインタビューを通じて、読者に伝えします。

連載のvol.1は、「KEISUKEYOSHIDA」ともコラボレーションし、ファッション誌のコラムも手がけるくらちなつきさんにお話を聞いてみた。

イラストレーションにたどり着いた経緯

くらちなつき・・・フリーランスイラストレーター。1993年7月13日生まれ。2016年活動開始。武蔵野美術大学油絵学科卒業。人物、ボタニカル、インテリアなどをメインにファッションイラストレーションを製作する。東京都在住。

──まずイラストレーターになった経緯を教えてください。

くらち:物心着いた時からずっと絵を描いていたのですが、中学生の時に美術大学に進学しようと思い、それに向けてデッサンなどを書き始めました。その甲斐もあり、武蔵野美術大学の油絵科に入学することがでました。授業では油絵を学んでいたのですが大学2年生の時に「私、絵画で食べていけるのかな・・・」って思ったんですね。せっかく美術大学に入るからにはそれを職業に繋げないといけないなって思ってて、自分はもともとイラストを描くのが好きだったなってふと思ったんですね。そこがまず、イラストをやってみようと思ったきっかけです。

だけど、武蔵野美術大学にはイラストを学ぶところはないんです。だから独学でイラストを勉強しました。そこから、大学4年生の“就職”を迎える時にイラストレーターになる人って、デザイナーやってから転換する人が多いんですけど、そのデザイナーをやる数年間も大変な思いをするだろうし、デザイン自体も基礎的なことしかできないので結局、デザイン事務所に勤めてもうまくできる気がしなかったので、そのままイラストレーターになろうと決意し、イラストの営業などを始めました。

──くらちさんの絵は独特なバランス感とファッションの描写がものすごく印象的ですがこのようなイラストレーションにたどり着いたのはどうしてでしょうか。

くらち:最初は動物とか今とは違う雰囲気の絵を描いていました。でもそれがどうしてもしっくりこなくて、どうしよう・・・って思った時に人物を描きたいなと思ったんです。人物画がすごく苦手だったのですが、無理矢理人物を描き始めました。でもやっぱり描けなかったんです。だったらその元のうまく描けないのをそのまま使っちゃおう!と思って今の頭身がすごく長い絵になりました。そこにもともと好きだったファッションを取り入れるうちにだんだん「人間はサブ。メインは服。」という形に確立していきました。毎回イラストに描く服は自分で考えたオリジナルのもので、洋服を重視して描いています。

「KEISUKEYOSHIDA」とのコラボレーション

──ファッションとの関係といえばブランド「KEISUKEYOSHIDA」とのコラボレーションもされていますがどのような経緯でコラボレーションが実現したのでしょうか。

くらち:吉田圭佑さん※とのコラボレーションは突然でした。私はその時吉田さんのことも知らなかったんですけどなんとなくフォローして、フォローが返ってきてツイッターのダイレクトメッセージが急にきて一緒に仕事をさせてくださいって連絡がきたのがきっかけです。私の絵をすごく気に入ってくださって、コラボレーションが実現しました。

※「KEISUKEYOSHIDA」のデザイナー

──コラボレーションされた時のイラストは自分で考えたものなのでしょうか。

くらち:ヨシダさんがだいぶ細くイメージを伝えてくださっているのでそれを元に描いていきました。空間、部屋を描くことが多いのですが、ラフスケッチの段階で細かく言ってもらって、描いています。

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──ファッションとイラストレーションが共演して気づいたことなどはありましたか。

くらち:もともとデザイナーさんとのコラボレーションはすごいやってみたいのはありました。自分の中のイメージではテキスタイルのパターンでコラボレーションされる方が多いので、そういう感じでヨシダさんともコラボレーションするかと思ったら、スウェットに絵をプリントしてくださり、ファッションとイラストが融合することを肌で感じました。

──イラストで描かれる洋服はオリジナルということだったんですけど、どのような洋服が好きだったりするのでしょうか。

くらち:仕事の時だとクライアントさんのイメージに合うようにしていつも通り描いています。例えば、女性的なお仕事が来たときはドレスのような女性らしいものを描いています。でも、個人的に描くときは、民族衣装とかが好きなのでそのようなものを描いたりもします。変わった洋服がすごく描きたくなりますね。あとは、ダボっとした洋服が好きなので大きめのシルエットのものが多いですね。

なににも偏りたくない

──くらちさんのイラストは人物と同じくらい背景の印象も強いのですが、背景はどんなイメーシで描かれているのですか

くらち:もともと油絵をやっていたこともあり、背景をつけることが普通になっていました。ここに人が立っていてじゃあ背景はこうしようっていうのが自然に描けますね。1枚絵で考える癖なのかもしれません。お仕事に合わせてカットイラストも描きます。

──くらちさん自身ファッションがものすごく好きだと思うのですがお気に入りのお店などはありますか。

くらち:私が着ているものがほとんど古着なんですよね。ずっと大学生の時からよく行ってるお店は吉祥寺の「Orfeo(オルフェオ)」ですね。ヨーロッパ系の洋服で可愛いです。あとは、外苑前にある「GRANPIE(グランピエ)」にもよく行きますね。民族系の輸入雑貨がメインなんですけど洋服やアクセサリーなども置いてあります。

──古着屋さんの洋服とかからイラストの洋服のインスピレーションを受けたりするのですか

くらち:そうですね。実際のところ参考とかにはすることはないですね。なににも偏りたくないのでなるべく参考にはしないです。それは他のイラストレーターの方や画家の方にも同じことで他の人に寄らないようにしてます。

──くらちさんは今後どうなっていきたいですか?

くらち:まだ、活動を始めて1年半しか経っていないのでやりたいことは山ほどありますね。やったことのある仕事もごく一部なので、他のイラストレーターさんがやっているような広告だとか大きなお仕事などもやっていきたいです。40歳、50歳、もっと年をとって、中堅、ベテランになった時に、新人のイラストレーターさんにこんな風になりたいって思ってもらえるようなお仕事をして、憧れの存在になっていけたらと思います。


Text:Akari.KREADY TO FASHION MAG 編集部)

READY TO FASHION MAG 編集部

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