「何もしていない時間=ラグジュアリー」 Foo Tokyo代表が提唱する至上のリラックススタイル

 

株式会社Next Branders(ネクストブランダーズ)が展開する、新しいリラックススタイルブランド『Foo Tokyo (フー トウキョウ)』。肌へのストレスを徹底的に排除し、デザインや品質にこだわったパジャマやナイトウェアなど上質な“リラックススタイル”をラインナップしている。

そんな「Foo Tokyo」代表の桑原真明さんに、新しいライフスタイルの在り方や、ファッション業界をどう捉えているのか、若者へのアドバイスなどをインタビュー形式で語っていただいた。

 

ーFoo Tokyoのブランド概要を教えてください

 

 

いま、生身の人間の技術を超えたところで機械の進化が進んでいます。一方で生身の人間は急に機械みたいには進化しないのに、その機械の成長スピードに人間がついていかなきゃいけないと思っている人が多すぎると感じるんです。頑張っている人ほど頑張りすぎている。「何もしていない時間=悪」「家に帰っても勉強しなきゃいけない」「休みの時間に休んじゃいけない」といったような呪いに苛まれていて。実際自分もそうでした。そのような状況にある、頑張っている人に対してブランドとして伝えたいのは、「何もしていない時間=ラグジュアリー」で、何もしていないアナログな時間というのは誰にでも与えられている特権なのだということ。それを踏まえ、頑張っている人たちの避暑地、拠り所になるようなブランドでありたいと思っています。技術の進歩についていこうとするばかりではなく、その世の中の流れの中でアンカー(船の碇)のような、そんなブランドを作りたいなと意識しています。

ブランドとは何かを突き詰めて考えてみると、一人一人が持っている言語化できない何かを服などの表現・スタイルとして昇華するものだと思います。基本的にラグジュアリーファッションはトップダウン式です。ただ、私たちは歴史のない新しいブランドなので、ボトムからブランドの土壌を作っていきます。俯瞰的にファッション業界を見てみると、世界のラグジュアリーブランドには歴史があり、かつ憧れの存在。そういうブランドに並ぶジャパンブランドが自分の孫、ひ孫の時代、100年後の日本にあるようにしたいですね。しかし、今の日本にビジネスとデザイン・アートの歯車が噛み合っているブランドは少ないと思っていて、私たちは計画的に日本発のエルメスのようなブランドを作りにいくことを目指しています。五年後にはニューヨークに店を出すことが目標ですね。

 

 

ーD2Cモデルを採用した理由を教えてください。

よくあるD2Cブランドとして、商品を他より安く買えるということを唄うところが一般的には多いですが、自分たちはそのようなD2Cブランドを作りたいわけではなく、たまたまブランドを作る手法と時代性がD2Cだっただけなんです。D2Cの定義もこれから曖昧になってくると思っていて、「Warby Parker(ワービー・パーカー)」や「Bonobos (ボノボス)」のように、サンフランシスコやニューヨークで成功しているD2Cは基本的に実店舗を持っているんです。ただ従来の実店舗のように在庫がある、スタッフがいるというではなく、いわゆるショールーム化、在庫を持たずサンプルを持っていて買うときはネットで購入と言う仕組みを作っている。これからのアパレルはそのようなスタイルになっていくと思いますし、自分たちが目指すスタイルもそこにありますね。

 

 

ータンクトップが9,800円、カシミヤのナイトダウンは149,500円と高めの価格帯となっていますが、ファッション業界が停滞する今、このようなスタイルで成功できている秘訣はありますか。

まだ成功してないので大きなことは言えませんが、一貫して作りたいブランド像はブレていないです。提携先として、ミシュラン五つ星を九年連続でとられている京都の高級老舗旅館「貴船 右源太」さんに弊社のタオルを使っていただくというように、提携先や創る商品に対して妥協したことはありません。安い商品にすればトライアルで買う方はいても、リプレイスしやすいので熱狂的なファン層は作りにくいと考えています。そこで私たちはロイヤルカスタマーを大事にしていきたいと思っています。100人のにわかファンよりも一人のロイヤルカスタマーの方が長期的に見たら私たちにとって嬉しい存在。それを考えての価格設定となっています。ただそこだけに固執するとビジネスが回るかどうかは不確かなので、2本目、3本目のビジネスの柱も考えてあります。とにかく、日本の最高級の生地、最高級の縫製工場を使うと当たり前のようにこの価格帯になります。しかし、その価格帯をつけられないため、日本国内のブランドでそういった生地を使って世界に発信できるブランドはそうそういないんです。私はそこにチャレンジしようとしているから工場さんもバックアップしてくださると思います。日本のいいものを日本のブランドが使って世界に発信するというところにチャレンジするために、オールジャパンの生産背景で挑んでいきます。

 

 

ー初のショールームを7月20日金)より三日間開催なさったとのことですが、業界/顧客からの反応はいかがでしたか?

200名近くの方々にお越し頂きました。その中で、プレゼント用として買いたいと言う声も多く頂きました。一方で、マダムのように年配の方だと何商品かまとめて買ってくださる方もいましたし、大手百貨店の方からもお声をかけて頂きました。なかでも特に嬉しかったのが、生地を作ってくださった生地屋さん、縫製工場さんの方々が、愛媛の今治や静岡の掛川など、県外からも来てくださり、激励いただけた。同窓会みたいな雰囲気が出ていました。これは普通のブランドだったら、ODM・OEM等で分断されてしまう事も多いので、あまり無いことだと思います。そういったところで「オールジャパンでブランドを育てていく」という雰囲気が創れました。

 

ー工場さん含め、オフラインでの交流を大事にしている印象を受けますが、意識はしていますか?

とても大事にしているところですね。結局ECでやっていくのがメインにはなってくるのですが、全く知らなくて価格も高いブランドをECで買うのは難しい。だからまず顧客に実際に触ってもらう機会だったり、リアルに出会う機会を創出したいと思っています、ポップアップ、ショールーム、あとはロイヤルカスタマー向けのイベントを開いたりして、ECだけじゃなく、リアルも盛り上げていけるようなブランド作りをしていきたいですね。

 

 

ー学生時代にファッション業界につながるような活動はしていましたか?

元々、株式会社ヒューマンフォーラムというSPINNS等のアパレルブランドを展開する会社で2年間アルバイトをしていました。また学生の時、ファッションショーの開催も経験しました。あとはストリートダンスをしていたので、パフォーマンスをするときはどんな服装で出演するか、仲間と考えていました。そもそも変な服が好きだったのですが、自分の中ではそれが自己表現のルーツだったと思います。ファッション、というより表現することが好きだったんです。その中でもコミュニティーやイベントを作るという表現方法が好きで。学生時代にはダンスの全国大会で、今でも大好きな仲間達と共に優勝できたり、イベントが病みつきになりタイで1年間留学した際に東北大震災の復興イベントを主催したりだとか、イベントでお金を集めてラオスに学校を建てるという活動もしていました。そこからもう少し国際協力を学ぼうと思い、同志社の英文学科卒業後は、東京大学大学院で計量経済学の勉強をし、その後Bank of America Merrill Lynchという 外資系投資銀行の投資銀行部門で3年半、M&AやIPO等、金融関係の仕事をしていました。

 

ー金融系にいながらファッション業界へ行こうと思ったきっかけは?

金融業界は無形だったので、金融業界の卒業後は、何かプロデュースする時に手触り感があるものを作りたかったのです。衣食住の中で一番アート、クリエーションに近いものが自分としてはファッション、その中でも自分が前職時代に一番欲しかった「安らぎ」というものを得られるようなブランドがいいと思った時、自然とナイトウェアにたどり着きました。Foo Tokyoのビジネスドメインは「人が家に帰ってきてから、次の日出ていくまでの時間帯」です。その時間をもっと上質なものにできるのではないかという思いで、ブランドを創っています。

 

 

ーファッション業界を目指す若者にアドバイスをいただけますでしょうか 

ファッション業界は正直稼ぎにくいです。だからこそ、この業界の人がもっとお金を稼げるようになって、業界に入りたい人も増えて欲しいので、まずは私もしっかりブランドを創り上げます。私がそうであるように、「業界外の人間がやっていいんだ」「自らが自由に表現していいんだ」と思えるような道しるべになりたいですね。私達のような会社が何社が成功すれば、本当はファッションの仕事をやりたいけれど、稼げないから諦める人たちが、ファッション業界に入ってきてくれる。

今の学生の人は、まずは自分の好きなこと、得意なことで稼げるような人間になることが、成功に繋がりやすいと思います。五年後になれば、他の業界からこちらに入って来る人も増えると思います。いいところに就職しろと言っているのではなく、例えば影響力・発信力をつけるために、インスタグラムのフォロワーを増やすことに専念してみたり。どのようなものでもいいので、何か自分の武器を作れるといいですね。「100人に1人しかできないことを3つ作れ」とよく言われますが、まさにその通りで、できることの個数の掛け算でその人のバリューがついてくるんです。また、ずっとファッション業界にいなくても、一旦外に出てみて業界外でしかわからないことを学んでみるのも一つの手だと思います。ファッションが好きということにプラスで、何か自分だからこそできることを持っている人のほうがこれからは面白いことができる可能性が高いのではないか、と思います。

 

 

-editor’s view

人はリラックスするとき、「ふぅ」とゆっくり息をはく。だから『Foo Tokyo』なのだそうだ。その「ふぅ」が至上のナイトウェアを着ることで、至上の「ふぅ」になる、『Foo Tokyo』は現代人が最も渇望しているブランドのあり方なのかもしれない。

桑原さんは様々な経験を積んだ上で、今の『Foo Tokyo』のカタチにたどり着いた。「急がば回れ」と言うが、技術が進み、仕事が増え、「忙しい」に振り回されそうな今だからこそ、自分に何が必要かを考え、自分だからこそできることを増やす。忙しい社会の流れの中に、自分のペースを作ることも大事なのではないだろうか。いずれにせよ現代日本人は、この忙しい時間の中で頑張り続ける。技術も進み続ける。頑張らずにはいられない現代、たまにどこかで出したくなる「ふぅ」の時間の代名詞が『Foo Tokyo』になる日が来るのかもしれない。

 

text: S.Kamegai  (READY TO FASHION MAG)編集部

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