【連載】幸せを呼ぶ、ファッション教育vol.2:「アパレル求人の9割は販売員募集」ですよ!

ITやファストファッションの普及により、人がファッションに触れる機会は以前よりも格段に多くなった。しかし、「キャリア」の視点に立ってみると、業界の現状を知る教育者や、学生が現場を体験する機会は不足していると言える。

この連載では、そのような課題を解決するために、ファッション業界を志す学生が本当に知るべき「生」の情報を伝えていく。文章は株式会社StylePicks CEOの 深地雅也氏が執筆する。

 

Profile : 深地雅也

株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。

Twitter:https://twitter.com/fukaji38

Blog:https://note.mu/fukaji

ファッション専門学校の講師などしておりますと、これから入学を考えている高校生と面談をよくする事になります。なりたい職種をヒアリングしますと出てくる答えは、

 

◯デザイナー
プレス
スタイリスト
◯MD・バイヤー

 

あたりが頻出ワード。まあ確かに「すごいお仕事」っぽく見える職種ですし、実際すごいお仕事だとも思います。なので憧れる気持ちもよくよくわかります。ただ、専門学校によせられる求人の9割は「販売員」の募集なんです。

卒業後に就職する確率が一番高い職種は「販売員」です

 

求人の9割が販売員なんですから、当然どのコースを出ようが確率的に販売員になる可能性が圧倒的に高いのは明白です。

じゃ何故、販売員以外を目指す学生ばかりが後を絶たないのでしょうか。一つの原因は専門学校の営業手法にあります。

今現在、販売ってどういう風に見られているんでしょうか?学生さんのご両親ともお話する機会がよくありますが、総じて皆さん販売員は「労働条件が悪い割りに給与が少ない」というイメージを持たれています。

そのイメージのせいか、ファッション業界に入る事すらご両親の同意を得られなかったり、また学生さん本人も販売というお仕事にネガティブだったりします。つまり「販売員」を推す事は営業的に旨味が少ないのです。

 

 

現実的な話をすると入学者数が減少する? 

 

結果、販売員推しは入学希望者受けが悪く、上記の「デザイナー」「プレス」「スタイリスト」「MD・バイヤー」向けの営業ばかりになる。

枠が少ない、もしくは新卒採用では枠すらゼロの職種を目指す学生が増えてしまうという構図です。

専門学校の営業が適当な事ばっかり言って夢ばかり見させるせいで現実を直視しないようになってるんです。

ただ、「求人の9割が販売員」という現実があるからと言って「夢を見るな」とは言いません。しかし夢を見る前にリスクを考えた事はありますか?と問いたいのです。

 

 

売る事を学ばずに現場に出てしまうリスク 

 

専門学生が抱える一番のリスクはこれでしょう。「販売」について事前準備もしないでいきなり現場に立って実績が出せるのか?という事です。

「卒業後は企画やるから販売なんて知らなくていいよ」

と思ってる人もいるかも知れません。自分が狭き門を運良く勝ち取れたらそれもいいのかもしれません。でもその確率って10%にも満たないんですよ。

しかも販売ってエンドユーザーに触れれるところだからやっといて何の損も無いんです。現場でユーザーのニーズ拾ってれば色々なところで活かせます。商品企画する際にマーケティングしますよね?それと一緒ですよ。

 

「販売を目指せ!」と言いたい訳ではない 

 

これを読んだらまるで「販売を目指せ!」と言ってるように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。ただ、現実見たら販売員になる確率高いんだから準備くらいしときましょうよ、って事なんです。この現実無視して

「デザイナーに俺はなる!」

って言って新卒採用でなれなかったらどうするんでしょうか。現場でおろおろするの目に見えてますよ。

大手企業では「社内公募制」があり、現場から本部に昇格できる制度があります。今の時代、販売から様々な職種にステップアップする事が可能なのです。そして販売で実績をあげるって事は「売上を取る」という事と同意です。

 

講師を5年以上続けていますが、その頃から専門学校の状況は何も変わっていません。未だに旧態依然のやり方は続いていますし、入学時は希望に胸を膨らませ、1年後には現実に直面し激しい憤りを感じている学生さんは後を絶ちません。僕が発信し続ける理由はここの問題を解決したいからに他なりません。

「アパレル求人の9割は販売員」

まずはここを知ってからがスタートです。これから業界を目指す若い学生さん諸君は、この言葉を忘れずにこれからの学校生活を過ごしてほしいと思います。

 

text:READY TO FASHION MAG 編集部

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