【まとめ】過去から現在、未来まで ファッション業界と繋がるおすすめ

「古き良き時代には別れを告げるべき。古き時代がいつも良かったとは限らない。明日だって悪くは見えないから」。

『VOGUE』編集長のアナ・ウィンターの名言だ。

人々の気持ちの半歩先を提示しなければならないファッション業界は、常に未来を見据えなければならない。でも、未来は現在の世界がもとになって出来ている。さらに、現在は過去からできているではないか。 そう考えると、彼女の言葉には、過去にしがみつくのではなく、過去や現在を知り、未来に活しなさいという、裏の意味が隠されているのかもしれない。

前置きが長くなったが、本記事では、ファッション業界の歴史、変遷、その時代を生きた人考え、そして未来までを照らしてくれる本を10冊紹介する。

ぜひ、一つでも手に取ってもらい(今の時代はスマホからワンクリックになるところだが)、ファッション業界と繋がるきっかけにしていただけると幸いだ。

1.ちぐはぐな身体―ファッションって何?|鷲田 清一

ちぐはぐな身体―ファッションって何? 表紙

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「ちぐはぐな身体-ファッションって何?」はファッションに興味を持ち始めたあなたにおすすめ。 著者は、哲学者という肩書きを持つ鷲田清一氏。高校生でも理解できる文章で書かれており、学生がイメージしやすい”制服”などを例に”そもそもファッションってなんだ?”ということを考えさせられる内容で、思考の出発点に立ち返ることができる一冊。

2.20世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人|成実 弘至

0世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人 表紙

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ファッション業界がどのように出来ていったのかを、各年代で活躍したデザイナー軸でわかりやすく紹介。ワース、ポワレ、シャネルから、ウエストウッド、コム・デ・ギャルソン、マルジェラを取り上げ、現在に至るまでの大まかな構造を理解するのにぴったりで、ファッション業界でビジネスをしようと考えている方はもちろんのこと、歴史を理解する真のファッショニスタになるためには必読の一冊となってる。

3.ファッションビジネスの魔力|太田 伸之

ファッションビジネスの魔力 表紙

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ファッション業界で働いている方であれば、この著者の名前を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?現在の東京コレクション(通称:東コレ)の基礎を作り上げ、イッセイミヤケの代表取締役を経て、現在は、クールジャパン機構の代表取締役を務める「太田 伸之氏」だ。コレクション/百貨店に興味のある方は一度読んでいても損ではない一冊。業界の先輩との会話のネタになったりするかもしれない。

4.モードの社会学(上)ファッション帝国の〈裸のプチ王様〉|土屋 淳二

モードの社会学〈上〉ファッション帝国の“裸のプチ王様” 表紙

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ユナイテッドアローズ栗野上級顧問の言葉で、「表層的な流行ばかりを追いかけていても、時代の先は見えてきません。社会潮流を読まなければいけない」というものがある。一言で言うと、社会とファッションというものは切っても切り離されない関係にあるということ。そんな社会の流れや人々の行動を軸にファッションについて書かれている一冊。早稲田大学でファッションについて教鞭を執る、土屋教授が著者。

5.拡張するファッション アート、ガーリー、D.I.Y.、ZINE……|林 央子

拡張するファッション アート、ガーリー、D.I.Y.、ZINE…… 表紙

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『花椿』の元編集部であり、ファッション・ジャーナリストの林央子氏がこれまで交流してきた現代ファッション界の担い手たちとのインタビュー記事で構成されており、リアルな生きざまが活写されている。”クリエイティブ”に興味のある方におすすめかもしれない。本著書が反響を呼び、「拡張するファッション」展も開催された。世界がインターネットでゆるやかに繋がりはじめた時代に、ファッション業界で注目された一冊。

6.ファッションは語りはじめた 現代日本のファッション批評|西谷 真理子

ファッションは語りはじめた 現代日本のファッション批評 表紙

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ファッションの在り方について問題意識を持つ書き手やクリエイターがジャンルを越えて寄稿してできた一冊。一つ前に紹介した『拡張するファッション』の林央子氏も著者の1人。編集は、『装苑』、『ハイファッション』などを経て、現在は京都清華大学で、講師を務める西谷真理子氏が担当。『ACROSS』編集部による『ストリートカルチャー&ファッション年表 1989‒2011』も収録されており、ファッション界の変革を社会の動きと同時に俯瞰することが出来る。

7.中身化する社会|菅付 雅信

中身化する社会 表紙

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インターネットやソーシャルメディア全盛期を迎えた時代以降に出版された書籍が、これより後ろに紹介する4冊となる。 インターネットの普及によって、全てが可視化され、テレビや広告などによるイメージ操作がほとんど聞かなくなってきた現代では、もはや見た目だけの重要性は低下することを示唆。ファッションやそれ以外のライフスタイルの境目がなくなるという、「ファッションのライフスタイル化」がキーワードになった時代を象徴する一冊。このような、本質を求める時代でどのように生きるのか?キャリアについても考えさせてくれる一冊。就活の際にも是非、読んでいただきたい。

8.ファッションは更新できるのか?会議 人と服と社会のプロセス・イノベーションを夢想する|水野 大二郎

ファッションは更新できるのか?会議 人と服と社会のプロセス・イノベーションを夢想する 表紙

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2012年9月から約半年、全7回にわたり実施されたセミクローズド会議「ファッションは更新できるのか?会議」から端を発した書籍。

「インターネット+テクノロジー+SF+アート+ものづくり+コミュニティ+FAB+デザイン+情報社会+法律+アーカイブズ+複雑系+哲学」」×ファッションという超横断的なテーマを掲げ、総勢57人が、インターネットが前提となった現代の社会において、ファッションの現在と未来についての考えをまとめた一冊。著者は、慶應義塾大学/准教授の水野 大二郎氏。

 9.グローバリゼーションとデジタル革命から読み解く―Fashion Business 創造する未来|尾原 蓉子

グローバリゼーションとデジタル革命から読み解く―Fashion Business 創造する未来 表紙

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「ファッションが売れない」、「百貨店の不振はファッションが売れないから」など世間を賑わすニュースが溢れている。ファッションビジネスという、繊維・アパレル・小売りを包含する複雑な産業の変革が求められているのではないか。ファッション・ビジネスの草分けとしてまた、ファッション業界で働く女性を支援する「WEF」会長などを務める尾原 蓉子氏が業界に向けた提言書となっている。「未来は、予測するものではなく、創るものである。」という言葉が特徴的で、今後、ファッション業界を目指す若者だけでなく、業界に従事する方にもオススメの一冊。

10.誰がアパレルを殺すのか|杉原 淳一,染原 睦美

誰がアパレルを殺すのか 表紙

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経済誌「日経ビジネス」の記者が、アパレル産業を構成するサプライチェーンを取材した一冊。不振にあえいでいるアパレル企業と、業界の将来を担うであろう新興企業の取り組みを紹介。アパレル産業の「今」と「未来」を映し出す、2017年の現在では、最新の事例が紹介されているのではないだろうか。

紹介したファッションの歴史を学べる本10冊

  1. 鷲田清一『ちぐはぐな身体―ファッションって何? 』(筑摩書房、2005年)
  2. 成実 弘至『20世紀ファッションの文化史―時代をつくった10人』(河出書房新社、2007年)
  3. 太田 伸之『ファッションビジネスの魔力』(毎日新聞社、 2009年)
  4. 土屋 淳二『モードの社会学:上―ファッション帝国の<裸のプチ王様> 』(学文社、2009年)
  5. 林 央子『拡張するファッション アート、ガーリー、D.I.Y.、ZINE……』(スペースシャワーネットワーク、2011年)
  6. 蘆田裕史・その他『ファッションは語りはじめた 現代日本のファッション批評』(フィルムアート社、2011年)
  7. 菅付 雅信『中身化する社会 』(星海社、2013年)
  8. 水野 大二郎・その他『ファッションは更新できるのか?会議 人と服と社会のプロセス・イノベーションを夢想する』(フィルムアート社、2015年)
  9. 尾原 蓉子『グローバリゼーションとデジタル革命から読み解く―Fashion Business 創造する』(繊研新聞社、2016年)
  10. 杉原 淳一・染原 睦美『誰がアパレルを殺すのか』(日経BP、2017年)

さいごに

以上、10冊のファッションと関わるための書籍の紹介でした。 この記事では本を通じて、ファッションには”身にまとう”楽しさがあると同時に、それを取り巻く社会や産業(ビジネス)が存在ことを知ってもらえればと思っている。そして、ファッションを本からだけで知るのではなく、是非、人とのコミュニケーションや、仕事を通じて、体験してもらいたい。

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